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聖地巡礼コンティニュード

著:内田 樹
著:釈 徹宗

紙版

内容紹介

思想家であり武道家の内田樹と、比較宗教学者で僧侶でもある釈徹宗が、日本人が失っている霊性を再発見すべく日本各地の「聖地」を旅する聖地巡礼シリーズ第4弾。最新の第4弾は、日本人にすら忘れかけられている長崎県「対馬」。
福岡空港から空路で30分(100キロ)のところに対馬は位置する。人口3万2千人。
この対馬こそ、日本の原点であり、日本人の源流の地といえる。
日本書紀の「国生み」によれば伊邪那岐(イザナギ)・伊邪那美(イザナミ)の二柱の神は、大八島の国を次のように形成していった。
 淡路島→四国→隠岐島→九州→壱岐→「対馬」→佐渡島→秋津島(本州)。
 
対馬は、その地理的な位置から、朝鮮との国境の島としての運命を担う。魏志倭人伝の最初に出てくる日本の地名が対馬である。今でも晴れた日には、対馬から釜山が見える。対馬と福岡は100キロだが、対馬と朝鮮半島は50キロ未満の近さである。対馬を訪れれば、韓国人のあまりの多さに驚愕するが、この近さを思えば、もっともことである。看板や値段は、日本語とハングル語がほとんど併記されている。ちなみに、携帯電話も場所によっては海外モードになってしまう。

 歴史上、いくつかの重要な戦場にもなった。白村江の戦い、元寇、日露戦争(当時は、バトル・オ・ツシマと呼ばれた)。にもかかわらず、朝鮮との友好な関係を築きあげてきた、外交能力。日本人の海民性を物語る。
 応神天皇、神功皇后をはじめ、数々の神話・伝説を生み出した古代の信仰。
 さまざまな形式の神社やご神木、ご神体が示す、日本人の信仰心の原点。
 神仏習合の上をいく、神仏キの習合。
 
内田樹、釈徹宗の両著者は、まさに、日本人の霊性、心性の原点が、対馬から発せられていることを実感をこめてつづっていく。

【目次】

目次

Chapter1  1日目
はじまりの対馬(魏志倭人伝、日本書紀)
 小茂田浜(元寇 日露戦争:バトル オブ ツシマ)
 法清寺(胴塚 平安時代の仏像)
 矢立山古墳(白村江の戦い)
 厳原(朝鮮通信使接遇の地、通信使の港、漂民屋跡、石垣と鏝(コテ)絵)
 金石城跡(李王家宗伯爵家御結婚奉祝記念碑)
 万松院(国書偽造によって朝鮮との国交回復、誠信の交隣、諌鼓鳥かんこどりの由来)
 厳原八幡宮(応神天皇、神功皇后、小西マリア、安徳天皇、神仏キの習合

Chapter2 2日目
海を走る人々(雞知(古墳時代遺跡)、浅茅湾(浅海浦)
 万関橋
 海民の信仰
 倭冦の隠れ家
 三根(弥生時代遺跡)
 海神神社(藻小屋、ヤクマの塔、仏像盗難事件、古代の舞)
 対馬海峡遭難者追悼碑
 和多都美神社(磯良、磐座、海の中の鳥居)
 東アジア共同体

Chapter3 3日目
 ツ、ツツ、ツシマ(対馬の地名、住吉信仰)
 雷神社(亀卜)
 太陽の神(アビル、アマテル)
 多久頭魂神社(梵鐘、観音堂、高御魂神社、御神木、神功皇后)
 龍良山

著者略歴

著:内田 樹
1950年東京生まれ。思想家・武道家。神戸女学院大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論など。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。主な著書に『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書・第6回小林秀雄賞受賞)、『日本辺境論』(新潮新書・2010年新書大賞受賞)、『街場の文体論』(ミシマ社)、『竹と樹のマンガ文化論』(竹宮惠子との共著、小学館新書)、『困難な結婚』(アルテスパブリッシング)、『転換期を生きるきみたちへ』(岡田憲治他9名との共著、晶文社)などがある。
著:釈 徹宗
1961年大阪府生まれ。浄土真宗本願寺派・如来寺住職。相愛大学教授。専門は比較宗教思想。特定非営利法人リライフ代表。私塾「練心庵」も主宰している。論文「不干斎ハビアン論」で第5回涙骨賞受賞。主な著書に『いきなりはじめる仏教生活』(新潮文庫)、『ゼロからの宗教の授業』(東京書籍)、『宗教は人を救えるのか』(角川SSCC新書)、『日本霊性論』(内田樹との共著、NHK出版新書)、『死では終わらない物語について書こうと思う』(文芸春秋)などがある。

ISBN:9784487808427
出版社:東京書籍
判型:4-6
ページ数:360ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2017年08月
発売日:2017年08月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WTL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:WTR
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:1FPJ