動く地球の測りかた
宇宙測地技術が明らかにした動的地球像
著:河野 宣之
著:日置 幸介
内容紹介
地球表面の動きを統一的に説明するプレートテクトニクスとはどのような考え方か、そしてそれを初めて実際に測った宇宙技術はどのようなものか、宇宙測地技術の開発と国際実験はどのようにして発見があったのかを紹介する。
目次
目次
まえがき
第 1 章 動く地球:地震とプレートテクトニクス
地震はなぜ起こる
地球深部は熱い
沈み込むプレート
第 2 章 巻尺で届かない距離をどう測るか
数百メートルまでの長さ(距離)を測る
数百メートル以上の距離を測る地上測量
地図の基準になる三角点
地上測量でプレート運動は測れるか
誤差の主原因は大気
第 3 章 宇宙測地技術で大陸間の距離を測る:
大鑑巨砲の80 年代(SLR と VLBI)
衛星レーザ測距(SLR)
衛星までの距離からなぜ局位置が分かる
専用衛星は球形
レーザパルスの幅は100億分の1 秒
軌道決定精度は局位置決定精度を左右する
わが国でのSLR の研究・開発
超長基線電波干渉法(VLBI)
VLBI の原理
周波数変換とバンド幅合成
VLBI に適した天体電波源
水素メーザ原子時計は人類出現以来1秒以下の狂い?
VLBIとSLR
わが国でのVLBIの研究・開発
VLBI の国際・国内観測が本格化した80 年代
第 4 章 宇宙技術でとらえられたプレート運動
SLR によるプレート運動の検出
地球全体の形が変化している
VLBI によるプレート運動の検出
プレートの動きとプレート境界の変形
第 5 章 4 つの衛星で位置を測るGNSS と海底測位:
宇宙測地技術が身近になった 90 年代
GNSS(全地球航法衛星測地システム)とGPS(全地球測位システム)
軍用に開発されたGPS
いつでも,どこでも,誰でも簡単に現在地を知る
単独測位:4 つの衛星を観測して自分の位置を知る
4 つの衛星を同時に見る
相対測位では搬送波位相を連続観測する
位相差をとって時計のゆらぎを消す
二重位相差による相対位置の推定
様々な解析ソフトウェアと精密単独測位
日米貿易摩擦とGPS
精度の向上と新たなフロンティア
音波を利用した海底測位
6 つの過程から成る海底測位
海上の位置は移動体GNSS相対測位で
舟やブイの回転運動の測定
深さ方向の音速の変化に強い観測方法(アレイ型海底局)
東日本大震災以後に増えた海底局
第 6 章 GNSS による高密度な観測と日本列島の動き
GNSS で測ったプレートの動き
日本列島の変形
余効すべりとゆっくり地震
キネマティックGNSS で見た東北地方太平洋沖地震直前直後の地表の動き
東北地方太平洋沖地震による海底地殻変動
南海トラフ付近の地殻ひずみの分布を明らかにする海底測位
第 7 章 基準座標系と地球回転変動
天体基準座標系と地球基準座標系
人工衛星の軌道
二つの基準座標系をつなぐ地球回転パラメータ
最小二乗法による局位置の推定
地球回転とその変動
歳差・章動
極運動
地球自転の速さと1 日の長さの変化
協定世界時と「うるう秒」
第 8 章 宇宙測地技術の将来
GPSから複数GNSSへ
将来期待される測位技術
合成開口レーダーとGNSS
重厚長大型宇宙測地技術の将来
おわりに
参考文献
索引