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ちくま学芸文庫 ミ-2-7

霊魂の民俗学

日本人の霊的世界

著:宮田 登

紙版

内容紹介

出産・七五三・葬送など、いまも残る日本人の生活儀礼には、いかなる独特な「霊魂観」が息づいているのか。民俗学の泰斗が平明に語る。

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出産・七五三・成人・結婚・葬送など日本人が経験する人生儀礼や、各地に伝わる習俗や祭りのなかには、いかなる「霊魂観」が反映されているのだろうか。本書は、ミロク信仰から都市伝説までの多様な事例とともに、霊魂という実在が「この世」と「あの世」のあいだを往還するという日本独特の世界像と、その移動にともなって不安定になる霊魂をおちつかせるためにも儀礼が必要とされたことを説く。迷信の一言では片づけられない、日本の生活文化にいまも息づくアニミズム的心性を解明した宮田民俗学の真髄。講演記録を中心に編集された、平明な語り口による一冊。   解説 小松和彦・林 淳

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宮田民俗学は「霊魂観」に収斂するーー
いまも息づく日本人の
アニミズム的心性

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目次

【目次】
【目次】霊魂の民俗学
Ⅰ 日本人の一生 
日本人の一生
〔出産の儀礼/犬供養/誕生の習俗/産神信仰/産神問答/氏神の公認/夫の役割/七五三/東京の風習/成年式/嫁入りの時間/葬式の意味〕

Ⅱ 神・妖怪・祭り 
神と妖怪の民俗学 
〔木曽の御嶽信仰/稲荷信仰と初詣/七福神に決まるまで/日本人の民族性/流行神/ポルターガイスト〕
祭りのコスモロジー 
〔都市化現象と初詣/都市の思考・村の思考/不浄と排除/生まれ清まり/変えてはならない部分/老人と女と子供〕

Ⅲ 女・子供・老人 
女の霊力 
〔現代社会と妖怪/血の不浄視/洗濯女の存在/女の霊力/母親と子供の絆/老人と子供〕
サブカルチャーとしての老人文化 
〔祖父母のイメージ/ウバステ山/翁のイメージ/老人の霊力〕

Ⅳ 現代社会と民俗学 
ミロクと世直し 
〔ミロク信仰と世直し/アニミズムへの関心/韓国の弥勒信仰の展開/女性の信仰/嵩山のミロク様〕
「血」と「スジ」 
〔ジャパノロジーの課題/継承・断絶・再生/家筋と血筋/「河原巻物」の由緒書/天皇と常民〕

【補論】日本人の霊魂観と仏教 

 あとがき 
 洋泉社版解説「常民」としての自己発見を誘う個性豊かな民俗学者 小松和彦 
 文庫版解説 ユートピアと再生の民俗学 林淳 

著者略歴

著:宮田 登
宮田 登(みやた・のぼる):1936?2000年。神奈川県生まれ。東京教育大学文学部卒業。同大学大学院修了。筑波大学教授、神奈川大学教授を務める。著書として『ミロク信仰の研究』『都市民俗論の課題』『江戸のはやり神』『妖怪の民俗学』『ケガレの民俗誌』『はじめての民俗学』など多数。その関心は民俗学から日本史学、人類学等、周辺諸学におよび、研究の成果は国内外で評価された。

ISBN:9784480511935
出版社:筑摩書房
判型:文庫
ページ数:288ページ
定価:1100円(本体)
発行年月日:2023年07月
発売日:2023年07月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBGB