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ちくま文庫 こ-2-2

ジャンパーを着て四十年

著:今 和次郎

紙版

内容紹介

世間に溢れる「正装」「礼儀」「エチケット」、形ばかりになってはいないか? 「考現学」の提唱者によるユーモア炸裂の服装文化論集。解説 武田砂鉄名著復刊!「考現学」的ファッション論ユーモア炸裂、人間生活観察結婚式でも大使の前でも、いつでもジャンパー。柳田國男に破門され、「考古学」ならぬ「考現学」を生み出した今和次郎。戦前戦後の日本社会を市中から観察してきた著者がユーモアたっぷりに服装文化の今と昔を語りだす。“服”とは一体なにものか? 世間に溢れる“正装”“礼儀”“エチケット”とは? “装う”という行為の意味は? 時代を超える隠れた名著、待望の復刊! 解説 武田砂鉄

目次

一、ジャンパーを着て四十年 1 着出したきっかけ/2 世間とのまさつ/3 先輩・同僚・学生・妻・子供たちは/4 演壇に立つと/5 ジャンパーの定義/6 冠婚葬祭には/7 宮様からの招きに/8 国際的パーテーに二、礼儀作法の由来 1 作法の探求/2 礼儀作法という言葉/3 作法のいろいろなスタイル/4 日本の古代の礼儀作法/5 武家による破壊と建設/6 近世礼法の確立/7 明治の国粋主義という錯覚/8 世界大戦による改革/9 カトリック系のエチケット/10 プロテスタントと作法三、きものの伝統 1 歴史のあら筋/2 哀感をそそる衣裳/3 外人に理解してもらうのはむずかしい/4 伝統という名でおどらされた明治時代/5 現実の問題四、服装改良の歩み 1 改良とは/2 文化生活とショート・スカート/3 開襟シャツの提唱/4 第二次大戦前後五、ユニホームとは 1 服装は魔物だ/2 田舎娘・銀座令嬢・婦人警官/3 ユニホームのいろいろ/4 警官と駅員で実験/5 有職故実の世界/6 儀礼的束縛で/7 士農工商の身分制から/8 明治以来の官員・軍人の礼服と制服/9 背広服と学生の制服/10 今日の企業経営学とユニホーム/11 インダストリアル・コマーシャル・シンボリカル六、地方にみる洋服姿 1 農村婦人たち/2 戦災をのがれた都市の人々の姿七、感覚か生活か 1 コマーシャル・アートの座席/2 生活行動と個性八、流行の価値を探れば 1 益なくて害ありという思想/2 健康の点、家計の点からは/3 だが、流行は現代に生きる人々のもの九、歓楽を求めるための衣裳〔古代エジプト〕 1 過去時代の服飾を味わう心/2 神像の化粧と衣裳/3 司祭・王の装い/4 歓楽にひたる女性の装い十、神に近づくための服装〔初期キリスト教〕 1 教養高きローマの紳士のなやみ/2 信仰と服装/3 貧しい人々の服装十一、人づくりの哲学 1 試験のない学校/2 入学考査は/3 思い出/4 湧き立つ世論/5 知能的底辺の問題/6 「一日受刑者」となってみて/7 囲いの中だけにヒバリが巣を/8 そして刑務所と学校と十二、大衆に直面して 1 被指導者の群れ/2 その性格はさまざま/3 生活以前の問題をどうするか/4 欲求のコントロール/5 上野と浅草/6 インテリと大衆とは反発する/7 生活指導者としてのインテリ十三、家庭科にもの申す 1 門外漢として/2 倫理と技術と金/3 慣習の分析と流行の認識/4 地域・職域の問題/5 家庭と家庭の外との関連/6 その要点十四、服装への発言 ショーかドラマか/造形美と服装美/服装行為/男性たちの服装/上品とか下品とか/結婚披露の会で演説/美しさと気楽さ/洋装か和装か/スタイルの定着/衣服と家計/衣料費一兆円/ソ連の流行誌/アメリカの服装/伝統とは/風俗という言葉/流行企画/家政学と被服学/家庭科はどこへいく/服装研究と民族学/民俗服をみる目/服装は道路と関係がある/近代的式典/衣服と機械/宇宙服とデザイン界/量産服への着眼/昔と今とこれからと/戦後の服装界/リアルとロマンあとがき 解説 TPOをわきまえない 武田砂鉄 

著者略歴

著:今 和次郎
1888年、青森県弘前市生まれ。建築学者、風俗研究家。1912年、東京美術学校図案科卒業。17年頃から郷士会へ参加、柳田国男らと農村・民家の調査を行う。20年~59年まで早稲田大学教授。23年の関東大震災後、吉田謙吉とともに「バラック装飾社」や「考現学」を始める。その後の研究範囲は服飾・風俗・生活・家政にまで及んだ。73年没。

ISBN:9784480438287
出版社:筑摩書房
判型:文庫
ページ数:288ページ
定価:860円(本体)
発行年月日:2022年07月
発売日:2022年07月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC