出版社を探す

ちくま新書 1761

情報公開が社会を変える

調査報道記者の公文書道

著:日野 行介

紙版

内容紹介

公文書と「個人メモ」の境界は? 電子メールも公開請求できる? 「不開示」がきたらどうする? 調査報道記者が教える、市民のための情報公開請求テクニック。

公文書と個人メモの境界はどこ?
電子メールも公開請求できる?
「不存在」は疑え!
黒塗りからファクトを見つけ出す方法
「不開示」が届いたらどうする?

一通の文書が政治を動かす!

行政が押し進める理不尽な政策。そこに共通するのは、意思決定過程が不透明で結論や負担だけを市民に押しつける点だ。真実を知り、民主主義を守るためには、私たち一人ひとりが行政を監視し、政策をチェックすることが求められる。役所の不正に立ち向かうとき、強力な武器となるのが情報公開制度だ。これまでに千件もの情報公開請求を行い、数々のスクープを伝えてきた調査報道記者が、長年の経験をもとに、そのしくみとテクニックをわかりやすく伝授する。

目次

はじめに  

第1章 報道は期待できない―市民が自ら情報公開請求すべし
突然の建設計画/役所に騙されないために/情報公開請求したことがない記者たち/コロナで仕事がなくなった/緊急事態宣言下でひたすら下調べ/情報公開請求は誰でも使える「正攻法」

第2章 はじめての情報公開請求
プレスリリースを見てみよう/実は肝心なことが書かれていない/情報公開と公文書管理の基本知識/一連の「公文書スキャンダル」が示したもの/冤罪事件の弁護に似ている

第3章 意思決定過程を解明する―狙いは非公開の「調査」と「会議」
隠された政策のテーゼを言語化する/「公表」と「公開」の違い/狙うのは非公開の「調査」と「会議」/非公表「調査」の探索法/見つけるのに苦労した調査/チェルノブイリ法を否定するアンチョコ/非公開会議の目的はシナリオのすり合わせ/いじめ自殺問題で市教委に情報公開請求/市教委と学校が隠したかったこと

第4章 「不存在」を疑う―役所のごまかしをどう見抜くか
情報公開と公文書管理は民主主義を支える車の両輪/「不存在」の文書があった/公文書と「個人メモ」の境界は/「保存期間一年未満」の文書/決裁文書が付いたものだけが公文書?/「決裁文書がないから不開示」/請求取り下げの要求には要注意/特例延長について/期限の定めがない特例延長

第5章 請求テクニック―目的の情報にたどり着くために
議事録は一つではない/録音データも公文書/電子メールも公文書/独立行政法人にも情報公開請求できる/情報公開請求は挑戦状/開示の決め手は気迫と見識

第6章 黒塗りに隠されたもの―役所の「痛点」を見つける
不合理な黒塗りから透けて見える真意/「知られたら勝手に避難されてしまう」/会議のマトリョーシカ人形/役所のアピールと矛盾するファクトを見つけ出す/途中で葬られた選択肢を探す/密かに確保していた除染費用/消化不良の理由

第7章 審査請求のススメ―「不開示」がきたらどうする?
市民でもできる/「のり弁」と審査請求/審査請求書の書き方/過去の開示事例を探す/他の役所の開示事例を探す/審査請求後の流れ/情報公開審査会の答申/元委員が語る審査請求のススメ

おわりに/参考文献/あとがき

著者略歴

著:日野 行介
日野行介(ひの・こうすけ):ジャーナリスト・作家。1975年生まれ。元毎日新聞記者。東京電力福島第一原発事故の被災者政策や、原発再稼働をめぐる安全規制や避難計画の真相を調査報道で暴いた。著書に『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』(岩波新書)、『調査報道記者――国策の闇を暴く仕事』(明石書店)、『原発再稼働――葬られた過酷事故の教訓』(集英社新書)など。

ISBN:9784480075918
出版社:筑摩書房
判型:新書
ページ数:224ページ
定価:880円(本体)
発行年月日:2023年11月
発売日:2023年11月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JP