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経営者が知っておくべきジョブ型雇用のすべて

著:白井 正人

紙版

内容紹介

メンバーシップ型からジョブ型へ。日本企業の人事システムを移行すべきという主張・議論が喧しい。

背景には人材の獲得競争がグローバル化し、新卒重視、年功序列を前提にした日本型の雇用形態では、海外の優秀な人材を採用しにくくなってしまうという事情がある。さらに、コロナの影響によってリモートワークが進み、数字に表れないもの含めて成果を適切に捉えるマネジメント手法が現場レベルでも求められている。

しかし、この問題意識は今に生まれたことではない。1990年代、バブル崩壊による売上・利益の落ち込みから、それまでの年功序列による賃金の右肩上がりを抑えるべく、多くの企業がアメリカから持ち込まれた「成果主義」を導入した。しかしその試みは長期的なテーマやリスクの高いテーマにチャレンジしなくなるばかりか、株主や消費者、市場を欺く不正が生まれる構造まで作り出してしまう。

ジョブ型雇用も成果をベースにした仕組みである。正しい理解のもとでこの移行を進めなければ、前例と同じ轍を踏むこととなる。

人事システムの変革は経営と人事部門だけでなく、全ての部門が直接的に関わる取り組みであり、それぞれで適切な理解・行動が求められる。本書は、メンバーシップ型が生まれた背景や利点、ジョブ型における採用や報酬といったサブシステムのつながり、最適な移行のプロセスなど、ジョブ型雇用とその移行の全体像を経営者が知っておくべき水準まで解像度を高めて解説したものである。人事・組織変革のコンサルタントとして、日本企業の人事システムの設計から運用までサポートしてきた著者が、ジョブ型雇用の効果を最大限発揮するための移行ノウハウを経営者に向けて示す。

目次

第1章 日本経済と雇用システム

高まるジョブ型への期待/ひとり負けの日本企業/アジアでも低水準の日本の賃金/グローバル化・デジタル化で遅れた日本企業

第2章 メンバーシップ型雇用

メンバーシップ型雇用の歩みと特徴/メンバーシップ型雇用のほころび/ほころび1:高度専門人材を確保・活用できない/ほころび2:若手優秀層を採用できない/ほころび3:中高年のぶら下がり人材が恒常的に発生する/ほころび4:女性社員・外国人社員・シニア社員の活用が進まない/企業だけでなく社会全体の問題/

第3章 ジョブ型雇用

ジョブ型雇用の特徴/変わる報酬・リーダー育成・福利厚生/雇用システムの部分変更は難しい/ジョブ型雇用のメリット・デメリット/クローズドコミュニティとオープンコミュニティ/個人の雇用リスク対策でもジョブ型雇用が逆転/採用における違い/配置の違い/教育の違い/報酬の違い/

第4章 日本企業における人材マネジメントの行方

第5章 ジョブ型雇用に必要な人事機能変革

人事機能変革の4要件/4つの要件が組織にもたらす変化/人事機能変革の要点

第6章 ジョブ型雇用の施策コンセプト

ワークフォースプランニング/リクルーティング/タレントマネジメント/人材開発/パフォーマンスマネジメント/報酬マネジメント/組織開発/ピープルアナリティクス

第7章 ジョブ型雇用への移行

乗り越えるべき課題/ジョブ型雇用への移行のモデルケース/採用される人材マネジメント施策としくみ

対談1 ソニー・人事センター 望月賢一氏

対談2 経済産業省・産業人材政策室 能村幸輝氏

著者略歴

著:白井 正人
白井正人(しらい・まさと)

マーサージャパン株式会社 執行役員 パートナー 組織・人事変革コンサルティング部門代表 

早稲田大学理工学部卒、ロッテルダム・スクール・オブ・マネジメント(MBA)修了。デロイトトーマツコンサルティング、アーサーアンダーセン、プライスウォーターハウスクーパース等を経て現職。組織・人事領域を中心に、マネジメントコンサルティグサービスを25年以上提供し続けている。また、メディアへの露出として、NHKでの解説、全国紙5紙への寄稿、コメント等多数残している。コンサルティング業務のみならず、500人以上のエグゼクティブアセスメントに加えて、経営レベルの選抜人材開発プログラムの経験も保有している。

ISBN:9784478107652
出版社:ダイヤモンド社
判型:4-6
ページ数:336ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2021年07月
発売日:2021年07月08日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJ