地方自治法講義〔第6版〕
〔第6版〕
著:猪野 積
内容紹介
旧自治省行政局行政課課長補佐、同理事官、公務員課長等を歴任してきた著者が、地方自治法の基本をわかりやすく解説した入門書。第6版にあたり、令和6年4月1日施行の地方自治法の改正を反映。
・旧自治省で、地方自治法の立案に携わった実務家の手による数少ない解説書。
・複数の大学での講義や自治大学校や市町村アカデミーでの職員研修にて教科書採用されている実績ある入門書。
・最新の総務省発行「地方自治月報」や判例を織り込んだ解説により、地方自治法の理論と実践の体系的な理解が可能。
・知りたい事項がすぐ見つかる詳細な目次を掲げ、職員の事務処理にあたり拠り所となる地方自治法の内容がすぐ見つかるよう工夫された、公務員必携の書。
・令和6年4月1日施行の改正内容を盛り込んだ最新版!(議員の兼業禁止の緩和等、議会の役割及び議員の職務の明確化、議会に係る手続きのオンライン化、指定公金事務取扱者制度の導入、指定納付受託者制度等)。
目次
第1章 地方自治制度総説
第1節 地方自治の意義と役割
1 地方自治の意義
2 地方自治の2つの要素
⑴ 団体自治と住民自治
⑵ 団体自治の沿革等
⑶ 住民自治の沿革等
3 国家と地方自治の関係
⑴ 固有説
⑵ 伝来説
4 地方自治の役割
⑴ 民主主義の基盤としての役割
⑵ 内政の要としての役割
第2節 我が国地方自治制度の沿革
1 旧地方自治制度の生い立ちと変遷
2 新地方自治制度の成立と発展
第3節 地方自治に関する法制度
1 地方自治に関する法源と法体系
⑴ 地方自治の法源
⑵ 地方自治に関する法体系
2 日本国憲法上の地方自治の原則
⑴ 地方自治に関する基本原則(憲92)
⑵ 地方公共団体の機関と直接選挙(憲93)
⑶ 地方公共団体の権能(憲94)
⑷ 地方自治特別法(憲95)
⑸ 憲法規定の体系的理解
3 地方自治法の目的と位置付け
⑴ 地方自治法の目的
⑵ 地方公共団体の組織・運営の基幹法としての地方自治法
第2章 地方公共団体の意義と種類等
第1節 地方公共団体の意義等
1 憲法上の地方公共団体と地方自治法上の地方公共団体
2 地方公共団体の構成要素
⑴ 区域、住民、自治権
⑵ 地方公共団体の区域の意義とその変更
⑶ 市町村の規模の適正化
⑷ 基礎的自治体の数と規模の国際比較
⑸ 市町村の境界の決定
⑹ 所属未定地域の編入
3 地方公共団体の名称、事務所及び休日
⑴ 地方公共団体の名称
⑵ 地方公共団体の事務所
⑶ 地方公共団体の休日
第2節 地方公共団体の種類
1 普通地方公共団体
⑴ 都道府県
⑵ 大阪都構想(大都市地域特別区設置法)の問題点
⑶ 市町村
⑷ 市制度の特例
⑸ 都道府県と市町村の関係
2 特別地方公共団体
⑴ 特別区
⑵ 地方公共団体の組合
⑶ 財産区
⑷ 合併特例区
第3章 住民の権利と義務
第1節 住民の意義
1 「住所を有する者」の意義
2 地方自治法上の外国人の取扱い
第2節 住民の権利
1 役務の提供を受ける権利
2 選挙権・被選挙権
3 直接請求権
⑴ 直接請求制度の趣旨と種類
⑵ 条例の制定又は改廃の請求
⑶ 事務の監査請求
⑷ 議会の解散請求
⑸ 解職の請求
⑹ 合併協議会設置の請求
4 住民投票
⑴ 住民投票の意義と種類
⑵ 住民投票の問題点
⑶ 住民投票条例制定上の留意点
第3節 住民の義務
第4章 地方公共団体の事務
第1節 地方公共団体の事務に関する基本規定
第2節 地方公共団体の事務区分の改正
1 機関委任事務の廃止
2 団体事務の区分の見直し
第3節 自治事務と法定受託事務
1 自治事務
2 法定受託事務
3 機関委任事務から自治事務及び法定受託事務への移行
4 自治事務と法定受託事務の取扱い上の相違点
⑴ 自治事務に関する国の特別の配慮義務
⑵ 国等の関与等と関与に関する係争処理
⑶ 行政不服審査
⑷ 議会の議決事項の追加
⑸ 条例の制定権(基本的に相違なし)
第4節 市町村の事務と都道府県の事務
第5節 地方公共団体の事務処理に当たっての原則
1 住民福祉増進の原則
2 能率化の原則
3 法令適合の原則
第5章 条例と規則(自治立法権)
第1節 条例制定権の根拠
第2節 条例制定権の範囲の実質的拡大
1 機関委任事務の廃止に伴う拡大
2 事務の例示規定(自治法旧2条3項)の廃止に伴う拡大
第3節 条例制定権の範囲と限界
1 条例制定権の範囲(地方公共団体の事務)
⑴ 憲法上の法律留保事項
⑵ 地方公共団体の事務でない事項
⑶ 執行機関の専属的権限に属する事務
2 条例制定権の限界
⑴ 法律と条例との関係に関する一般理論
⑵ 判例の傾向
⑶ 憲法に違反しないこと
第4節 必要的条例事項
1 権利制限・義務賦課行為
2 個別条例事項
第5節 条例と罰則
第6節 条例の提案、議決、公布、施行
1 条例の提案
2 条例の議決
3 条例の公布
4 条例の施行
第7節 規則
1 長が定める規則
2 長以外の執行機関が定める規則・その他の規程
第6章 議会
第1節 議会の地位等
1 第89条第1項(公選の議員による議事機関としての議会の設置)
2 第89条第2項(議会の権限の総則的確認)
3 第89条第3項(議員の職務遂行上の心構え)
(以上1~3は、令5.5.8施行)
4 議会と執行機関との相互牽制方式
第2節 議員
1 議員の地位
⑴ 議員の身分の取得及び任期
⑵ 兼職・兼業の禁止(兼業禁止の緩和は、令5.3.1施行)
⑶ 議員報酬及び費用弁償
⑷ 政務活動費
⑸ 議員の身分の喪失
2 議員定数
第3節 議会の権限
1 議決権
2 検査権・監査請求権
⑴ 検査権
⑵ 監査請求権
3 調査権
4 意見表明権
⑴ 意見提出権
⑵ 諮問答申権
⑶ 請願等の受理
5 自律権
⑴ 決定権
⑵ 選挙権
⑶ 委員会設置権
⑷ 規則制定権
⑸ 規律権
⑹ 懲罰権
第4節 議会の組織
1 本会議
2 委員会
3 議長・副議長
4 議会事務局等
第5節 議会の運営
1 議会の招集(定例会と臨時会)(災害等による開会日の変更は、令4.12.16施行)
2 議会の会期と開閉
3 議会の会議における諸原則
⑴ 会議公開の原則
⑵ 定足数の原則
⑶ 多数決の原則
⑷ 一事不再議の原則
⑸ 会期不継続の原則と閉会中審査
4 会議の運営
⑴ 案件の提出
⑵ 議事
第6節 地方議会に係る手続きのオンライン化(令6.4.1施行)
第7章執行機関
第1節 執行機関の意義と組織原理
1 執行機関の意義
2 執行機関の多元主義と一体性の原則
第2節 長
1 長の地位
⑴ 任期等
⑵ 兼職禁止
⑶ 兼業禁止
⑷ 長の身分の喪失
2 長の権限
⑴ 統轄・代表権
⑵ 事務の管理及び執行権
⑶ 内部統制に関する方針の策定等(令2.4.1施行)
⑷ 職員の任命権及び指揮監督権
⑸ 処分の取消し・停止権
⑹ 公共的団体等の監督権
⑺ 事務組織権
3 長の権限の代理と委任等
⑴ 長の権限の代理
⑵ 長の権限の委任
⑶ 補助執行(専決・代決)
4 長の補助機関
第3節 長と議会の関係
1 再議
⑴ 一般的再議
⑵ 違法な議決又は選挙に対する再議又は再選挙
⑶ 義務費を削除又は減額する議決に対する再議
⑷ 非常災害費等を削除又は減額する議決に対する再議
2 議会による不信任議決と長の措置
3 専決処分
⑴ 法律の規定による専決処分
⑵ 委任専決
第4節 長以外の執行機関(委員会又は委員)
1 委員会又は委員の種類と所掌事務
2 委員会又は委員の設置理由
3 委員会又は委員の構成及び委員の選任方法
4 委員会又は委員の補助組織
5 監査制度の充実強化
⑴ 監査基準に従った監査等の実施(令2.4.1施行)
⑵ 監査委員の権限の強化等(令2.4.1施行)
⑶ 監査専門委員の設置(平30.4.1施行)
第5節 長と他の執行機関との関係
第6節 附属機関
第7節 地域自治区
1 一般制度としての地域自治区
2 合併特例法上の地域自治区の特例
第8章 財務
第1節 会計年度及び会計の区分
1 会計年度
2 会計区分
第2節 予算
1 予算の意義
2 予算の調製及び議決
3 予算の内容
⑴ 歳入歳出予算
⑵ 継続費
⑶ 繰越明許費
⑷ 債務負担行為
⑸ 地方債
⑹ 一時借入金
⑺ 歳出予算の各項の経費の金額の流用
4 補正予算、暫定予算
5 予算の公表
6 予算を伴う条例、規則等についての制限
7 予算の執行
⑴ 予算の執行手続
⑵ 予算の流用制限
⑶ 事故繰越し
⑷ 予算の執行に関する長の調査権等
第3節 収入
1 収入の意義と種類
2 主な歳入科目
⑴ 地方税
⑵ 分担金
⑶ 使用料
⑷ 旧慣使用の使用料及び加入金
⑸ 手数料
⑹ 地方債
⑺ 地方交付税
⑻ 地方譲与税
⑼ 交通安全対策特別交付金
⑽ 国庫支出金及び都道府県支出金
3 収入の方法と滞納処分等
⑴ 調定と納入通知
⑵ 収入の方法(指定納付受託者は、令4.1.4施行)
⑶ 滞納処分等
第4節 支出
1 支出の意義
2 支出の制限
3 支出負担行為
4 支出の方法
第5節 契約
1 契約の意義
2 契約締結の方法
⑴ 一般競争入札
⑵ 指名競争入札
⑶ 随意契約
⑷ せり売り
⑸ 総合評価競争入札
3 地方公共団体の調達手続の特例政令
4 契約の履行の確保
第6節 現金及び有価証券
1 会計管理者による現金等の出納及び保管
2 金融機関の指定
3 私人の公金取扱いの制限と公金事務の私人への委託制度の見直し
⑴ 私人の公金取扱いの制限
⑵ 指定公金事務取扱者に対する公金の徴収若しくは収納又は支出に関する事務の委託(令6.4.1施行)
4 出納の閉鎖
第7節 決算
1 決算の認定と公表(一部平30.4.1施行)
2 歳計剰余金の処分
第8節 時効
第9節 財産
1 財産の範囲とその管理・処分の原則
2 公有財産
⑴ 公有財産の範囲と分類
⑵ 公有財産に関する長の権限
⑶ 行政財産の管理及び処分
⑷ 普通財産の管理及び処分
⑸ 旧慣による公有財産の使用
3 物品
4 債権
5 基金
⑴ 基金の種類
⑵ 基金の管理
第10節 財政状況の公表等
第9章 住民監査請求・住民訴訟と職員の賠償責任
第1節 住民監査請求・住民訴訟の意義と利用状況
1 住民監査請求・住民訴訟の意義
2 住民監査請求・住民訴訟の利用状況
第2節 住民監査請求
1 住民監査請求の要件
⑴ 請求権者
⑵ 請求対象
⑶ 請求の内容
⑷ 請求の手続
⑸ 請求期間
2 住民監査請求の効果
⑴ 監査委員のとるべき措置
⑵ 勧告を受けた機関等がとるべき措置
第3節 住民訴訟
1 住民訴訟の性格と行政事件訴訟法上の位置付け
2 住民訴訟の要件
⑴ 出訴権者(原告)
⑵ 出訴できる場合
⑶ 住民訴訟の対象
3 住民訴訟の請求の内容
⑴ 1号請求
⑵ 2号請求
⑶ 3号請求
⑷ 4号請求
4 出訴期間
5 別訴の禁止
6 裁判管轄
7 住民訴訟の手続及び効果
8 勝訴住民の弁護士費用
第4節 地方公共団体の長等の損害賠償責任の一部免責(令2.4.1施行)
1 長等の損害賠償責任の一部免責制度の導入
2 善意かつ重大な過失がないこと
3 一部免責条例がある場合の議会の請求権放棄議決の是非
第5節 会計職員等の賠償責任
1 会計職員等の賠償責任の内容と趣旨
2 会計職員等に対する4号請求の第二段階の訴訟
第10章 公の施設
第1節 公の施設の意義と利用原則
1 公の施設の意義
2 公の施設の利用原則
⑴ 利用原則一般
⑵ 利用拒否の正当な理由
⑶ 利用上の不当な差別的取扱い
⑷ 公の施設の利用と憲法89条
第2節 公の施設の設置・管理
1 条例による設置・管理
2 公の施設の区域外設置
3 指定管理者制度
第11章 国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係
第1節 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等
1 関与等のルールの確立
⑴ 関与の意義と類型
⑵ 関与の法定主義
⑶ 関与の基本原則
⑷ 関与の一般的根拠と要件等
2 法定受託事務に係る処理基準
3 関与等の手続
第2節 国の関与に関する係争処理
1 国地方係争処理委員会
⑴ 委員会の設置等
⑵ 審査の申出
⑶ 委員会による審査と勧告等
⑷ 国の行政庁の措置等
⑸ 調停
2 国の関与に関する訴え
⑴ 訴えの提起
⑵ 判決の効力
3 地方公共団体の不作為に関する国の訴え
第3節 自治紛争処理委員
1 調停
2 都道府県による関与に関する審査及び勧告
第4節 地方公共団体相互間の協力関係
1 連携協約
⑴ 連携協約の締結
⑵ 連携協約に係る紛争の処理方策の提示
2 協議会
3 機関等の共同設置
4 事務の委託
5 事務の代替執行
6 職員の派遣
7 条例による事務処理の特例
第12章 その他
1 外部監査契約制度(一部平30.4.1施行)
⑴ 外部監査契約制度の概要
⑵ 包括外部監査契約
⑶ 個別外部監査契約
2 郡の区域
3 市町村区域内の町又は字の区域
4 地縁による団体
5 長、議長の連合組織
6 国と地方の協議の場
7 平成26年の行政不服審査法の改正と地方自治法
⑴ 行政不服審査法と地方自治法上の処分との関係
⑵ 行政不服審査法の改正
⑶ 行政不服審査法の改正に伴う地方自治法の改正
⑷ 行政不服審査法の改正と地方公共団体
参考資料1 「 地方公共団体における内部統制制度の導入・実施ガイドライン」の策定について(通知)(抄)
参考資料2 監査基準について総務大臣が示す指針の策定について(通知)(抄)
参考資料3 地方自治法施行令等の一部を改正する政令の公布及び施行について(通知)(抄)
参考資料4 地方自治法の一部を改正する法律(令5年法律第19号)新旧対照条文(抄)
参考文献
索引Ⅰ 参考判例索引(掲載順)
索引Ⅱ 参考判例索引(時系列順)
索引Ⅲ 資料索引
ISBN:9784474095274
。出版社:第一法規
。判型:A5
。ページ数:428ページ
。定価:3500円(本体)
。発行年月日:2024年04月
。発売日:2024年04月15日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPT。