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心理療法家の情緒的成熟

逆転移に含まれた超自我、自我理想、盲点を考える

著:ヴィック・セドラック
監:乾 吉佑
他訳:五十嵐 庸介

紙版

内容紹介

心理療法における逆転移を、患者が心理療法家のパーソナリティに潜在する一面を喚起する過程と捉え、心理療法家が自らのパーソナリティ要因と格闘することでいかに成長していくのかを、失敗も含めた豊富な臨床事例を交えながら明らかにする。心理療法家は臨床実践の中でどのような情緒的困難や抵抗に遭遇し、その超自我や自我理想は患者理解にどのような役割を果たすのか、世界的に活躍する心理療法家が詳細に検討する。

目次

目次

日本語版によせて
監訳者のことば
謝辞
はじめに

第1章 精神分析治療の目的
 イントロダクション
 臨床例:A氏
 A氏についての討論
 臨床例:B氏
 B氏についての討論
 臨床例:C氏
 討論

第2章 精神分析家の超自我
 イントロダクション
 超自我の概念
 エディプス・コンプレックスの後継としての超自我
 死の本能とクラインによる超自我への見解
 超自我概念の複雑さ
 通常の超自我と病理的超自我
 ストレイチー論文(1934)への討論
 2つの臨床ビネット

第3章 恐怖から不安へ
 イントロダクション
 臨床例:D夫人
 臨床素材の討論
 全体討論

第4章 精神分析家の自我理想
 イントロダクション
 自我理想の概念
 分析家の自我理想と自我理想間の葛藤
 精神分析家の抑うつ的/償いの自我理想
 専門的/精神分析的自我理想の発達
 分析家の自我理想と患者
 まとめのコメント

第5章 分析の失敗を考えること
 イントロダクション
 臨床例:A医師
 臨床例:F夫人
 討論
 さらなる臨床素材
 臨床例:G氏
 討論

第6章 スーパーヴィジョンの仕事
 イントロダクション
 スーパーヴィジョン1
 スーパーヴィジョン2
 結論

第7章 他のアプローチへの検討
 イントロダクション
 症例「狼男」
 関係精神分析
 自己心理学
 分析家の直観に基づいたアプローチ

第8章 終わりある敵意と終わりなき敵意
 イントロダクション
 臨床例:H氏
 討論
 臨床素材の続き
 さらなる討論
 臨床例:J夫人
 討論
 臨床素材の続き
 討論
 全体討論

文献
人名索引
事項索引
訳者あとがき

著者略歴

著:ヴィック・セドラック
ヴィック・セドラック(Vic Sedlak)
英国精神分析協会訓練分析家およびスーパーヴァイザー。PhD。ロンドンのタビストック・クリニックと精神分析協会で訓練を受け、イングランド北部でフルタイムの個人開業を行っている。ポーランドとドイツで後進の指導とスーパーヴィジョンにも取り組んでいる。2012年、京都大学客員教授。2019年から2021年まで国際精神分析学会理事。2022年7月より英国精神分析協会会長。
監:乾 吉佑
乾吉佑(いぬい・よしすけ)
1943年生まれ、東京都出身。上智大学理工学部生物化学科を経て、早稲田大学第二文学部心理学専修卒業後、慶應義塾大学医学部精神科入局。臨床心理士、精神分析家。専修大学名誉教授。現在、多摩心理臨床研究室主宰。主要著訳書『生い立ちと業績から学ぶ精神分析入門』(創元社,監修)、『医療心理学 実践の手引き』(金剛出版,単著)、『思春期・青年期の精神分析的アプローチ』(遠見書房,単著)など。
他訳:五十嵐 庸介
五十嵐庸介(いがらし・ようすけ)
1978年生まれ、東京都出身。専修大学大学院文学研究科修士課程修了。臨床心理士。現在、町田心理臨床カウンセリングオフィス主宰。

ISBN:9784422117850
出版社:創元社
判型:A5
ページ数:256ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2022年08月
発売日:2022年08月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM