あいまいな喪失と家族のレジリエンス
災害支援の新しいアプローチ
他編著:黒川 雅代子
他編著:石井 千賀子
他編著:中島 聡美
内容紹介
[序文 ポーリン・ボス、柳田邦男]
災害により行方不明となった人の家族や、住み慣れた故郷を離れることを余儀なくされた家族は、終結の見込めない「あいまいな喪失」を抱え込むことになる。そうした状況に置かれた人びとに対し、支援者は何ができるだろうか。
本書は、あいまいな喪失理論の提唱者ポーリン・ボスのもとで直接学び、東日本大震災に遭った家族の支援を長年つづけてきた編者たちが中心となって書かれた、実践的入門である。
・あいまいな喪失とは? その2つのタイプについて
・ジェノグラムを用いた家族支援の方法とは
・子どもに対しては、どのような支援が必要か
・3組の家族から考えるあいまいな喪失とレジリエンスとは
・支援者に求められるセルフケアとは
など、あいまいな喪失に立ち向かうために必要なことを1冊に集約。
心理・精神保健領域の専門家だけでなく様々な支援者が活用できるよう、あいまいな喪失が通常の喪失とどのように違うかといった基本的な事柄から書き起こし、具体的な支援の手順を解説していく。臨場感あふれる事例提示によって、支援の実際をありありと思い浮かべながら読み進めることができるだろう。
目次
読者の皆様へ(ポーリン・ボス)
序文――危機のなかにおける人間再生の道標(柳田邦男)
はじめに(黒川雅代子)
第1章 あいまいな喪失と悲嘆の概念と理論(中島聡美)
1 喪失と悲嘆
2 あいまいな喪失の概念と理論
3 あいまいな喪失の影響
4 あいまいな喪失への支援
5 まとめ
コラム1 あいまいな喪失と家族――精神障害の場合(後藤雅博)
コラム2 地域の回復のために大切なこと(福地 成)
第2章 家族療法とあいまいな喪失(石井千賀子)
1 はじめに
2 家族の視点からあいまいな喪失をとらえる
3 ジェノグラム
4 家族全体を視野にいれた4 ステップ支援
5 事例1――母親が行方不明の家族
6 事例2――避難生活を送る家族
7 まとめ
コラム3 “あいまいさ”の使い勝手(生島 浩)
コラム4 ボス博士「あいまいな喪失は,あいまいなままでいい!」のシステム論的な理解(長谷川啓三)
第3章 子どものあいまいな喪失(髙橋聡美・瀬藤乃理子)
1 災害後の環境の変化と子どもたちへの影響
2 子どもの死別体験(確実な喪失)とグリーフ
3 子どもの「あいまいな喪失」とその支援
4 家族を見る視点――震災によってあいまいな喪失を経験した事例
5 まとめ
コラム5 あいまいな存在(渡辺俊之)
コラム6 死別を生きる子どもたち(西田正弘)
コラム7 学校支援を通して見る,子どもの「あいまいな喪失」(中村志寿佳)
第4章 あいまいな喪失とレジリエンス(黒川雅代子)
1 あいまいな喪失とレジリエンス
2 義理の父の死,夫が行方不明の香織さん
3 福島第一原発事故により故郷を失っている文子さん
4 夫と母親が認知症の真紀子さん
5 3 組の家族を通して考えるあいまいな喪失
コラム8 記者として,家族として(黒田大介)
コラム9 認知症と「あいまいな喪失」(和田秀樹)
コラム10 家族の色(髙倉天地)
第5章 あいまいな喪失を支援する人のケア(瀬藤乃理子)
1 はじめに
2 支援する人に生じる問題と危険な兆候
3 支援する人のレジリエンス
4 支援者が自分自身を守る方策
5 あいまいな喪失を支援する人へのトレーニング
6 被災地での「あいまいな喪失事例検討会」を通して
7 レジリエンスの糸口を求めて
コラム11 なぜ,この仕事をしているのか,ここで働いているのか(黒澤美枝)
コラム12 あいまいな喪失の悲しみを支える治療者として(米虫圭子)
コラム13 JDGS(Japan Disaster Grief Support)プロジェクトとあいまいな喪失(瀬藤乃理子)
おわりに(石井千賀子)
ISBN:9784414416510
。出版社:誠信書房
。判型:A5
。ページ数:190ページ
。定価:2500円(本体)
。発行年月日:2019年03月
。発売日:2019年03月15日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM。