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心理職の組織への関わり方

産業心理臨床モデルの構築に向けて

編:新田 泰生
編:足立 智昭

紙版

内容紹介

世界経済の大変動を受けて、組織心理臨床の現場では、従来の心理臨床モデルが必ずしも通用しなくなっている。組織と関わる心理臨床の特徴として、個人の内界にばかり目を向けるのではなく、職場環境さらに組織全体を視野に入れたアプローチが必要となる。しかし、個々の実践家の臨床戦略が、相互の対話を通じて共有化されているかといえば、いまだ不十分な状況にあるといわざるをえない。この現状を打破し、組織への関わりのモデル化を模索していくことが望まれている。このような問題意識のもと本書では、組織の第一線で活躍するベテランたちが、組織ならではの困難や工夫、戦略について、自身の臨床経験をもとに証言する。心理職はいかに組織に関わるべきか。組織での実践はいかにモデル化できるのか。組織に関わる心理臨床家が、自身の取り組みを発展させていくために役立ててほしい一冊。

目次

まえがき
刊行を祝して

第1章 方法論を意識した産業心理臨床(新田泰生)
 第1節 「組織に関わる」産業心理臨床へ
 第2節 方法論を意識した産業心理臨床

第2章 心理職と組織の多面的な関わり
 第1節 私と産業保健活動との関わり――企業内心理職として(森崎美奈子)
 第2節 長時間時間外労働者健診に参画した経験に基づいて産業・組織臨床における心理職の有用性を考える――長時間働いても病気にならない人のサバイバル・スキルとは?(足立智昭)
 第3節 外部機関としての関わり――役割と責任を意識したコンサルテーション(松浦真澄)
 第4節 組織の健康を支えるメンタルヘルス対策教育・研修の進め方(森口修三)

第3章 ストレスチェック制度に活かす心理職の専門性
 第1節 衛生学・公衆衛生学領域における心理臨床の展開(松井知子)
 第2節 ストレスチェック制度――高ストレス者スクリーニングにおける臨床心理士の役割(市川佳居)
 第3節 ストレスチェック制度と職場環境改善(長見まき子)

第4章 「組織のメンタルヘルス体制作り」と「再就職支援」の最前線――現場からのモデルづくり,ビジョンづくりをめぐって
 第1節 司会の挨拶 (森口修三・松井知子)
 第2節 話題提供 ① 「少しだけ」方法論を意識しての産業心理臨床(新田泰生)
 第3節 話題提供 ② 組織臨床コンサルタントという発想――惨事ストレス対策を根づかせる海上保安庁での10年間の活動から(廣川 進)
 第4節 話題提供 ③ 再就職支援会社で支援を受けている精神疾患を抱えた中高年男性の失業体験プロセス――実践で活かせる研究の方法論の視点(馬場洋介)
 第5節 指定討論 (髙橋美保)
 第6節 質疑応答

あとがき

著者略歴

編:新田 泰生
神奈川大学人間科学部教授
編:足立 智昭
島根大学教育学部准教授

ISBN:9784414416138
出版社:誠信書房
判型:A5
ページ数:168ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2016年07月
発売日:2016年07月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBF