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胸さわぎの鴎外

著:西 成彦

紙版

内容紹介

古今東西の文学を縦横無尽に論じる、比較文学者西成彦による満を持しての鷗外論。戦時性暴力を静かに断罪する『鼠坂』、性欲処理に悩める男を描いた『舞姫』、民衆の語りを政治の語りに変えてみせた『山椒大夫』など、人間の身勝手さ、残酷さ、恥ずべき側面を、鷗外は見逃さない。魅力的な素材であったのだ。近代の申し子ともいうべき鷗外の冷徹なまなざしが明らかになる。その視線の下で恥じ入るべきは、レイプされた植民地の女や徴兵逃れの罪をおそれる移民の老婆ではなく、植民地帝国の男たち、そして恥を直視できない「腰砕け」のわれわれなのだ。

著者略歴

著:西 成彦
1955年生まれ。立命館大学先端総合学術研究科教授。専攻は、比較文学、元ポーランド文学。主な著書に『ラフカディオ・ハーンの耳』(岩波書店 1993年)、『イディッシュ‐移動文学論1』(作品社 1995年)、『ターミナルライフ 終末期の風景』(作品社 2011年)訳書に『ペインティッド・バード』(松籟社  2011年)『牛乳屋テヴィエ』(岩波文庫 2012年)などがある。 

ISBN:9784409160954
出版社:人文書院
判型:4-6
ページ数:220ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2013年12月
発売日:2013年12月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ