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音楽と政治

ポスト3・11クロニクル

著:宮入 恭平

紙版

内容紹介

3・11は音楽と政治の関係を変えた

1960年代のカウンターカルチャー以後、ポピュラー音楽と政治的言説の関係は常に問題となってきた。しかし、3・11はその関係を変化させ、これまでとは異なる近接性を呼び込んだのではないか。本書では、サウンドデモや愛国ソングなど、東日本大震災以後に起きた音楽をめぐる数々の出来事をたどり直し、多様な社会学的枠組みを使い、この問いに迫っていく。震災、原発事故、東京オリンピック、新型コロナ、そしてウクライナ戦争と、未曾有の事態が次々と押し寄せるなか、音楽はどんな姿を見せたのか。

サウンドデモ、SEALDs、「音楽の力」言説、斉藤和義〈ずっとウソだった〉、RADWIMPS〈HINOMARU〉、椎名林檎〈NIPPON〉、#SaveOurSpace、#WeNeedCulture etc.

「音楽に対する人びとの接し方は千差万別だが、文化産業がつくりだす消費財としての音楽は、売れるための商品にほかならない。そうであるためには、最大公約数の消費者に受け入れられる必要がある。そして、いつのまにか「音楽は中立的なものである」という「幻想」がまかりとおるようになってしまった。だからこそ、「音楽は政治的なものである」という「神話」が成り立つことにもなった。…本書では、3・11によって露呈した、音楽と政治の近接性を探る作業を試みる。そのために、3・11を起点として、それ以前に起こった出来事との連続性を紐解きながら、音楽と政治の関係について、さまざまな角度と尺度(分野、時代、そして国境を超えて)から考察することになる。」(本書より)

◎目次
序章 カウンターカルチャーの思想
第1章 「音楽の力」が意味するもの 
第2章 抵抗の音楽 
第3章 ストリートを取り戻せ!
第4章 シュプレヒコールの行方
第5章 ビッグ・ブラザーがあなたを見ている 
第6章 扇動の音楽
第7章 文化は人を窒息させる
第8章 情動の音楽
終章 非現実的な夢想家として 

目次

まえがき

序章 カウンターカルチャーの思想
 「この道しかない」のか? 若きカート・コバーンの悩み
 カウンターカルチャーの思想 アイデンティティとしてのロック

第1章 「音楽の力」が意味するもの 
 震災前夜 アフターマス 
 「音楽の力」が意味するもの チャリティと政治性

第2章 抵抗の音楽 
 〈ずっとウソだった〉が問いかけたもの 反原発と音楽 
 抵抗の音楽 もうひとつの「音楽の力」の可能性

第3章 ストリートを取り戻せ!
 サウンドデモ ストリートを取り戻せ!
 音楽と社会運動 「スタイリッシュなデモ」の確立

第4章 シュプレヒコールの行方
 SEALDsと音楽の近接性 
 「音楽に政治を持ち込むな」問題が意味するもの
 シニシズムの時代 シュプレヒコールの行方

第5章 ビッグ・ブラザーがあなたを見ている 
 公権力による市民監視 監視社会 
 ビッグ・ブラザーがあなたを見ている 自粛と監視

第6章 扇動の音楽
 「右傾化」する社会 「美しい国」の名のもとに
 扇動の音楽 イデオロギーを超えて 

第7章 文化は人を窒息させる
 音楽と政治の近接性 文化か、それとも文化産業か
 ポストコロナ時代の可能性と限界 文化は人を窒息させる

第8章 情動の音楽
 情動の音楽 マルチチュードの行方 
 〈象〉と〈乗り手〉 対立と分断

終章 非現実的な夢想家として 
 イマジン 海の向こうで戦争がはじまる 
 炭鉱のカナリア 非現実的な夢想家として

あとがき

著者略歴

著:宮入 恭平
【著者】宮入 恭平(みやいり・きょうへい)
1968年、長野県生まれ。学生時代からミュージシャンとして活動。2003年にハワイ大学マノア校でB.A.(社会学)を取得。帰国後、東京経済大学大学院コミュニケーション学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、立教大学、国立音楽大学ほか非常勤講師。専攻は社会学、ポピュラー文化研究、カルチュラル・スタディーズ。著書に『J-POP 文化論』(彩流社)、『ライブハウス文化論』、『ライブカルチャーの教科書』、『発表会文化論』(編著)、『「文化系」学生のレポート・卒論術』(共編著)、『ライブシーンよ、どこへいく』(共著、以上すべて青弓社)、『「趣味に生きる」の文化論』(共編著、ナカニシヤ出版)、訳書にスージー・J・タネンバウム『地下鉄のミュージシャン』(朝日新聞出版)など。

ISBN:9784409041253
出版社:人文書院
判型:4-6
ページ数:276ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2023年08月
発売日:2023年08月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDHC
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ