ハイエクといっしょに現代社会について考えよう
著:蔵 研也
内容紹介
混沌を極める現在、二〇世紀を代表する社会哲学者ハイエクの登場が待望されている。世界と日本の経済・社会の現状と近未来を占う現実的かつ有効な視点とは? ハイエクの経済理論、自由の社会哲学と市場メカニズムへの洞察の今日的意味をわかりやすく説く。
目次
はじめに
I 自由の経済
1 ハイエクかケインズか――市場と貨幣のドラマ
ケインズ経済学/オーストリア学派/経済循環の理論/失われた三〇年/アベノミクスが残してきたもの/短期のケインズと長期のハイエク
2 経済成長にインフレは必要なのか
インフレと信用創造/失われた三〇年と異次元緩和/貨幣錯覚/デフレ時代の経済成長
3 すべての通貨はインフレを起こす――仮想通貨による金融革命
通貨価値は変動する/金本位主義から不換紙幣へ/『貨幣発行自由化論』/ビットコインの誕生/多元的通貨の併存/中央銀行デジタル通貨が大手を振る
II 自由の政治
4 自由とは何か
自由の発展/自由の様相/精神的自由と経済的自由/自由の確保と産業保護政策の違い
5 自由は経済格差を生み出すのか
所得の不平等による恩恵/分配の正義/個人に対する経済的保護/社会主義と文化
6 民主主義、その理念と現実
民主主義は自由主義にあらず/民主主義による自由の束縛/自由を奪う法律――ドローンや自動運転の禁止
7 社会制度の進化――日本型労働慣行と社会の硬直化
自生的秩序/アダム・スミスの「見えざる手」/ハイエクの制度進化論/日本の労働慣行/法制度が社会の硬直化を招くとき
8 国家と自由――フランス的理性主義批判
フランス的理性主義と構築主義/エドマンド・バークの主張/小さな政府
9 保守主義の射程――伝統と現代の対立
保守主義・自由主義・社会主義/保守というイズム/産業規制の張本人/国家主義と社会主義/不合理な慣習の意味/LGBT
III 自由の法
10 法の支配――法治主義の各国事情
法制度の進化・発展/「法の支配」/アメリカ立憲主義/法治主義
11 誰のための、何のための法か――自然法思想と法実証主義
自然法思想/法実証主義/長期的な視点からの制度設計/日本国憲法への移植
12 法制度の進化を妨げるもの――日本のケース
自由主義的な法制度/配偶者控除/退職金の優遇税制/民族固有の伝統
IV 市場と社会の未来
13 分権的な知識の利用と壁――イノベーションの進展のために
「所与」の知識という前提/価格システム/競争による情報の活用/生産技術の変化/ドラッグラグ/医療の治験制度
14 福祉国家のゆくえ――シルバー民主主義という陥穽
社会主義の凋落/福祉国家/所得の再分配政策/社会保障制度の選択/福祉国家の肥大化/“隷従への道”
15 社会主義に未来はあるか――自由のために闘いはつづく
計画経済の崩壊/起業家精神の衰退/ヴィジョナリーの時代/分散した知識を活用するには
あとがき
索引・註
ISBN:9784393611180
。出版社:春秋社
。判型:4-6
。ページ数:264ページ
。定価:2200円(本体)
。発行年月日:2022年09月
。発売日:2022年09月22日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCA。