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新にっぽん診断

腐敗する表層、壊死する深層

著:斎藤 貴男
著:前田 朗

紙版

内容紹介

 1964年、東京オリンピックを迎えようとする時期に出版された『にっぽん診断―オリンピックの後どうなる』(三一新書)は日高六郎、佐藤毅らが、60年安保から64年のオリンピックと新幹線開業、68年の明治100年、70年の大阪万博へと沸き立つ日本の実相を批判的に解析しました。
 そして2020年、本書では2018年の明治150年、19年の天皇代替り、20年のTOKYO2020、25年の大阪万博、27年のリニア新幹線、30年の札幌オリンピックと続くスケジュールに、極限的な政治腐敗、長期化する経済停滞、深刻化する人間蔑視の「暗い」日本政治・経済が刻み込まれていることに焦点を当てました。「脱出口の見えない日本」が浮き彫りになります。
 この矛盾を乗り切るために設定された「新しい帝国主義」と「新しい生活様式」という欺瞞的な棄民国家の始まりを意味します。「新しい帝国主義」と「新しい生活様式」は、果てしなき監視社会化の帰結であると同時に、この国が自国民に対して棄民政策を押し付けるだけでなく、周辺諸国民にふたたび悪夢の日々をよみがえらせる危険があります。
 現代日本は表層だけが腐敗しているのではなく、深層において静かな壊死が進行しており、構造的に自壊する危険があることに警鐘を鳴らします。

目次

第1章 菅政権をどう見るか―アベコベ政権からアベスガ政権へ
第2章 新型コロナの時代―さらに加速する監視社会化
第3章 東京電力に見る日本的システム―嘘と隠蔽と排除の構造
第4章 戦争経済大国の実像―朝鮮戦争、ベトナム戦争、高度経済成長
第5章 消費税増税から改憲へ―棄民国家の行く末

著者略歴

著:斎藤 貴男
 1958 年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒、英国バーミンガム大学修士(国際学MA)。新聞記者、週刊誌記者を経てフリーに。格差、監視、企業社会などさまざまな社会問題をテーマに精力的な執筆活動を行っている。
 著書に『夕やけを見ていた男――評伝梶原一騎』(新潮社)『カルト資本主義』『機会不平等』(以上文藝春秋)『安心のファシズム』『民意のつくられかた』『ルポ改憲潮流』『ジャーナリストという仕事』(以上岩波書店)『消費税のカラクリ』『「東京電力」研究 排除の系譜』(以上講談社)『分断される日本』(角川書店)『戦争経済大国』(河出書房新社)『日本が壊れていく――幼稚な政治、ウソまみれの国』(ちくま新書)『驕る権力、煽るメディア』(新日本出版社)等。
著:前田 朗
 1955 年、札幌生まれ。中央大学法学部、同大学院法学研究科を経て、現在、東京造形大学教授(専攻:刑事人権論、戦争犯罪論)。朝鮮大学校法律学科講師、日本民主法律家協会理事、NGO 国際人権活動日本委員会運営委員、救援連絡センター運営委員。
 著書に『増補新版ヘイト・クライム』、『ヘイト・スピーチ法研究序説』、『ヘイト・スピーチ法研究原論』、『ヘイト・スピーチと地方自治体』、『憲法9条再入門』、『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか』[編]、『ヘイト・クライムと植民地主義』[編]、『思想はいまなにを語るべきか』[共著](以上、三一書房)、『軍隊のない国家』(日本評論社)、『パロディのパロディ─井上ひさし再入門』(耕文社)、『旅する平和
学』、『メディアと市民』、『思想の廃墟から』[共著](以上、彩流社)等。

ISBN:9784380200083
出版社:三一書房
判型:4-6
ページ数:224ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2020年12月
発売日:2020年12月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB