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わかる図形科学

著:平野 元久
著:吉田 一朗

紙版

内容紹介

本書は図学の入門的教科書であり,みなさんが技術者として備えるべき次の3つの学力の修得を学習目標としています.①平面図形から3次元物体の形状・寸法を読みとる「論理的思考力」を修得する.②平面図形から製品の3次元情報を構築する「空間認識力」を修得する.③図形の性質を解析幾何学と作図の二つの方法の連携によって理解する「図形理解力」を修得する.①によれば,物体から平面図形を作図できるようになり,逆に平面図形から物体の形状・寸法を読み取ることができるようになります.②によれば,平面図形に描かれた物体を構成する点,線,平面および立体間の幾何学的関係を読み解き,直線の実長などを測ることができるようになります.③によれば,2直線の平行・垂直などの図形の性質を理解するために,図形の方程式と,視覚・直感に訴える図形表現の二つの相補的な方法を操ることができるようになります.

本文中には25項目の『役立つポイント』を掲載し,演習問題・試験問題を解くときに役立つ投影図の基本的性質の要点をまとめました.付録のWebサイトには演習問題とその解答を用意し,図学の理解を深められるようにしました.

本書では,第1章「図学の基礎」から,第2章「平面図形」,第3章「正投影と主投影」,第4章「1次副投影」,第5章「直線」,第6章「平面」,第7章「高次副投影」の順に図学の基礎を学びます.第8章「直線と平面の関係」では,第7章までに学んだ主投影,1次副投影,高次副投影や本章で学ぶ切断平面法などの図学の技法を応用し,直線と平面の幾何学的関係として,「直線と平面の交点」,「平面と平面の交線」,「平面と平面がなす角」を解明する技法を学びます.第9章「平行と垂直」では,第8章までの図学の技法を総合し,「直線と直線」,「平面と平面」,「直線と平面」の平行と垂直,および,ねじれ2直線間の最短距離を導く技法を学びます.第10章「立体に関する相互関係(切断・相貫)」では,立体と平面との相互関係で用いられる「切断」と,立体と立体との相互関係で用いられる「相貫」を学びます.第11章「展開」では,立体・柱面・錐面の展開,曲面をもつ立体の展開を学び,展開図の作図手順を例題等によって修得します.

【著者からのメッセージ】
図学では直線と円弧の2つの作図だけが許されます.これにより,幾何学の証明問題の論証を積み重ねるように目的の作図を実行できます.ここに,「学問とは何をすることか」の答えがあります.作図を楽しみながらその答えを探してみてください.

目次

1. 図学の基礎
1.1 図学と幾何学
1.2 図形と図学
1.3 図学を学ぶ意義
1.4 作図の基礎
1.5 基本の作図題
章末問題
2. 平面図形
2.1 直線図形
 2.1.1 比例尺
 2.1.2 角のn等分
 2.1.3 三角形
 2.1.4 正五角形
 2.1.5 正n角形
2.2 円と円弧
2.3 円錐曲線(楕円・放物線・双曲線)
 2.3.1 円錐曲線の性質
 2.3.2 円錐曲線の解析幾何学による表現
 2.3.3 円錐曲線の作図
2.4 螺線と転跡線
 2.4.1 アルキメデス螺線
 2.4.2 対数螺線
 2.4.3 サイクロイド曲線
 2.4.4 インボリュート曲線
章末問題
3. 正投影と主投影
3.1 投影の基本
3.2 透視投影
3.3 正投影と主投影図
 3.3.1 正投影
 3.3.2 主投影図
 3.3.3 第一角法と第三角法
3.4 基準線
3.5 主投影図と視図
3.6 主投影図の配置と表記の規則
 3.6.1 主投影図の配置
 3.6.2 主投影図の表記の規則
3.7 主投影図の基本的性質
3.8 点の主投影図
3.9 直線の主投影図
 3.9.1 直線上にある点の投影
 3.9.2 交わる2直線の投影
3.10 かくれ線
章末問題
4.1 次副投影
4.1 平面図からの副投影(副立面図)
4.2 正面図からの副投影(副平面図)
4.3 側面図からの副投影(副側面図)
4.4 平面の端視図と実形
章末問題
5. 直線
5.1 直線の実長
5.2 主要な直線(主直線)
5.3 主投影面に傾く直線
5.4 特別な位置の直線
5.5 直線の点視図
5.6 直線上の点
章末問題
6. 平面
6.1 平面の表現
6.2 特別な位置の平面
6.3 平面上の点
6.4 平面上の直線
6.5 平面上の特別な直線
6.6 平面の端視図
章末問題
7. 高次副投影
7.12 次副投影図の作図
7.2 直線の点視図
7.3 平面の実形
章末問題
8. 直線と平面の関係
8.1 直線と平面の交点
 8.1.1 副投影による交点の作図
 8.1.2 切断平面による交点の作図
8.2 平面と平面の交線
 8.2.1 副投影による2平面の交線
 8.2.2 切断平面による2平面の交線
 8.2.3 複数の切断平面による複数平面の交線
8.3 平面と平面がなす角度
 8.3.1 二面角(2平面の交線が与えられている場合)
 8.3.2 二面角(2平面の交線が与えられていない場合)
 8.3.3 平面と主投影面との二面角
章末問題
9. 平行と垂直
9.1 平行な直線
9.2 平行な2平面
9.3 平面に平行な直線と直線に平行な平面
9.4 直交する直線
9.5 直線に垂直な平面
9.6 平面に垂直な直線
9.7 ねじれ2直線の共通垂線
 9.7.1 点視図を用いる方法
 9.7.2 一つの直線に平行な平面を用いる方法
 9.7.3 ねじれ2直線の水平最短距離
章末問題
10. 立体に関する相互関係(切断・相貫)
10.1 切断(平面と立体の相互関係・交わり)
10.2 相貫(立体と立体の相互関係・交わり)
章末問題
11. 展開
11.1 立体の展開(展開図)
11.2 柱面の展開
11.3 錐面の展開
11.4 曲面の近似展開
章末問題
参考文献
索引

ISBN:9784339046779
出版社:コロナ社
判型:A5
ページ数:192ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2022年05月
発売日:2022年04月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBM