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次世代信号情報処理シリーズ 1

信号・データ処理のための行列とベクトル

複素数、線形代数、統計学の基礎

著:田中 聡久

紙版

内容紹介

【書籍の特徴】
 ディジタルの時代には,信号は数ある「データ」の一種にすぎなくなり,これを適切に処理・解析するには,数学の知識がますます重要になってきています。特に,線形代数や統計学は重要で,その理解なしには研究開発が困難になるだけでなく,既存のアルゴリズムの理解や実装も難しいでしょう。本書では,信号処理研究者として長年研究してきた筆者独自の視点で,機械学習や最適化と密接につながっている現代の信号処理を理解するために必要な基礎数学を網羅しました。

【著者からのメッセージ】
 一般的に,数学書はとてもレベルが高く,現実の課題に直面している技術者,研究者にとっても難しく感じられます。また個別技術の専門書は,数学の解説が断片的で,知識の点と点がなかなかつながっていきません。本書は,数学書と技術専門書の間を埋めることを目的としています。信号処理技術者や研究者,またこの分野に参入しようとしている大学生や大学院生が,高等学校の数学知識(プラスα)で読めるように配慮してあります。また,一通り大学初年度の数学を学んだものの,数年後に研究や開発で必要となったとき,どのように学び直したらいいのかわからない,という人でも理解しやすいように記述しました。なお,本書では直接触れていませんが,プログラミング言語のPython やMATLAB を意識した表記や構成になっています。

目次

1. 複素数
1.1 実数,虚数,複素数
1.2 複素数の演算
 1.2.1 共役
 1.2.2 複素数の加算
 1.2.3 複素数の乗算
 1.2.4 複素数の有理化と除算
1.3 複素数平面と極座標表示
 1.3.1 複素数平面
 1.3.2 極座標
 1.3.3 複素数演算の複素数平面における意味
1.4 フーリエ級数
 1.4.1 複素正弦波
 1.4.2 フーリエ級数
1.5 むすび
章末問題

2. ベクトル
2.1 ベクトルとは
2.2 ベクトルの基本演算
2.3 ベクトルの幾何的解釈
 2.3.1 和算
 2.3.2 スカラ積
 2.3.3 減算
 2.3.4 ベクトルの長さ
2.4 ベクトル空間
2.5 むすび
章末問題

3. 行列
3.1 行列の基本
 3.1.1 行列の考え方
 3.1.2 行列の定義
 3.1.3 行列の線形写像性
3.2 行列の基本演算
 3.2.1 行列の和
 3.2.2 行列の転置
 3.2.3 行列の積
 3.2.4 特別な行列
3.3 連立1次方程式と行列
 3.3.1 連立方程式の行列記法
 3.3.2 ガウスの消去法と階数
3.4 逆行列
 3.4.1 逆行列の定義
 3.4.2 2×2行列の逆行列
 3.4.3 逆行列の性質
 3.4.4 連立方程式の求解による逆行列の求め方
 3.4.5 ユニタリ行列
3.5 行列式
 3.5.1 行列式の定義
 3.5.2 行列式の性質
 3.5.3 逆行列と行列式
3.6 むすび
章末問題

4. 基底と部分空間
4.1 一次独立性と基底
 4.1.1 ベクトルの一次独立性
 4.1.2 基底
 4.1.3 基底の交換と展開係数
4.2 部分空間
 4.2.1 部分空間の定義
 4.2.2 部分空間どうしの関係
 4.2.3 行列により決まる部分空間
4.3 むすび
章末問題

5. 内積と直交性
5.1 内積とノルム
 5.1.1 ユークリッド空間
 5.1.2 正定値行列
 5.1.3 内積の公理
 5.1.4 ノルム
 5.1.5 内積とノルムの性質
 5.1.6 コサイン類似度
 5.1.7 さまざまな内積空間
5.2 正規直交基底とその応用
 5.2.1 正規直交展開
 5.2.2 ユニタリ行列
 5.2.3 正射影
 5.2.4 グラム・シュミットの正規直交化
 5.2.5 部分空間の直交性と直交補空間
5.3 ユークリッド空間への変換
5.4 むすび
章末問題

6. 固有値分解
6.1 固有値問題
 6.1.1 固有方程式,固有空間
 6.1.2 固有値・固有ベクトルの図形的意味
 6.1.3 固有値分解と対角化
6.2 エルミート行列の固有値問題
 6.2.1 固有値の実数性
 6.2.2 固有ベクトルの直交性と対角化
 6.2.3 固有値分解
 6.2.4 正定値行列と固有値
 6.2.5 行列平方根
6.3 一般化固有値問題
 6.3.1 一般化固有値分解
 6.3.2 エルミート行列の同時対角化
6.4 むすび
章末問題

7. 特異値分解,一般逆行列
7.1 特異値分解
 7.1.1 特異値と特異ベクトル
 7.1.2 特異値分解の導出
 7.1.3 特異値と特異ベクトルによる表現
 7.1.4 特異値分解は値域の正規直交基底を与える
7.2 一般逆行列
 7.2.1 ムーア・ペンローズ一般逆行列
 7.2.2 特異値分解による表現
 7.2.3 逆行列を介した表現
 7.2.4 一般逆行列による正射影の表現
 7.2.5 連立1次方程式の解
7.3 むすび
章末問題

8. 確率ベクトル
8.1 確率
 8.1.1 標本空間と事象
 8.1.2 確率の公理
 8.1.3 多変量の確率
8.2 確率密度関数と正規分布
 8.2.1 累積分布関数
 8.2.2 確率密度関数
 8.2.3 多変量の確率密度関数
 8.2.4 正規分布
8.3 平均と分散
 8.3.1 平均と期待値
 8.3.2 分散と共分散
 8.3.3 白色化
8.4 むすび
章末問題

9. パラメータの推定
9.1 最尤推定
 9.1.1 確率分布のパラメータ
 9.1.2 尤度関数
 9.1.3 正規分布の最尤推定
9.2 回帰モデルの最尤推定
 9.2.1 回帰分析
 9.2.2 最尤推定と最小2乗法
9.3 線形回帰の最小2乗法
 9.3.1 単回帰の2乗誤差関数
 9.3.2 重回帰の2乗誤差関数
 9.3.3 射影定理
 9.3.4 正規方程式と最小2乗解
9.4 主成分分析と次元削減
9.5 むすび
章末問題

付録:ベクトル・行列関数の微分
A.1 実数パラメータによる微分と最急降下法
 A.1.1 評価関数の微分
 A.1.2 最急降下法
A.2 全微分による勾配の求め方
 A.2.1 全微分
 A.2.2 トレース
 A.2.3 全微分を用いた微分計算例
A.3 複素数パラメータによる微分
A.4 むすび
章末問題

引用・参考文献
章末問題解答
索引

ISBN:9784339014013
出版社:コロナ社
判型:A5
ページ数:224ページ
定価:3300円(本体)
発行年月日:2019年07月
発売日:2019年07月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBF