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ようこそアラブへ

著:ハムダ なおこ

紙版

内容紹介

人格まで透視するような鋭い眼力を持つ、と思えば、物を順番に揃えることさえ覚束ないアラブ人、無計画なまま長期間放っておいても最後には超スピードで成功に導くアラブ人、毎日5回神に祈りながらも大っぴらにズルをするアラブ人。遠い異国の異教徒である彼らの価値観や倫理を、どうやったら日本人は理解できるのだろうか。
人間世界は不平等と最初から謳うクルアーンは、神の創る絶対的に平等の来世で天国へ行けるように、苦しい現世を全力で精進せよ、と人間に説いている。でも人間はいつだって愚かで間違いを犯す存在だ。その不完全な人間をいかに許し、慈しみ、共存していくかがイスラームの命題である。また人類共通の問題であり、未来への鍵でもある。
内戦がくすぶる中東社会で、燦然と輝き続ける未来都市ドバイ。高賃金、安全、宗教的な保護を求め世界中から集まる人々は、自らの能力を頼りに未来を摑もうと凌ぎあっている。その姿はまた未来の世界の縮図でもある。
世界人口の四分の一となったムスリムの思考や価値観を、日常生活を綴った身近なエッセイの中で解き明かす本著。そこに見えると必然は、新鮮な驚きに満ちている。

目次

 プロローグ 
第一章 湾岸アラブ(UAE)の人々 
 眼力
 年末を飾ったもの 
 エレガンス 
第二章 アラブからみた日本人 
 変化のあと 
 得手、不得手
第三章 言うは簡単でも――イスラームの奨励する断食、慈愛、孝行
 それぞれの抵抗 
 不平等の法則 
第四章 家族とわたし 
 暑い盛りのラマダーン
 キリの箱 
 エピローグ 

著者略歴

著:ハムダ なおこ
著者紹介
ハムダなおこ
日本UAE 文化センター代表、エッセイスト。
1989年早稲田大学文学部文芸科卒。
1990年、UAE 男性と国際結婚し、UAE に移住。3 男2 女をもうける。
2005~09年、アラブ・イスラームの生活について勉強会を主宰。
その後、日本人に向けて講演、エッセイなどでUAE 社会を紹介し続ける。
2008年、日本UAE 文化センターを創設。日本文化をUAE 地域社会に、UAE 文化を日本社会に伝える活動を続けている。
著書に『アラブからこんにちは』(国書刊行会、2013)、『アラブからのメッセージ』(潮出版社、2015)
翻訳書に『シャヒード100の命』(インパクト出版会)
2012年、第8 回「文芸思潮」エッセイ賞受賞。
2015年、第3 回「潮」アジア・太平洋ノンフィクション賞受賞。

ISBN:9784336061010
出版社:国書刊行会
判型:4-6
ページ数:228ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2016年12月
発売日:2016年12月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB