聖母子への祈り
初期フランドル絵画の祈祷者像
著:今井 澄子
紙版
内容紹介
なぜ祈禱者はかくも大胆に描かれたのか?
ロベール・カンパン《太陽の聖母子》の源泉となった聖母マリアの図像系譜、ヤン・ファン・エイク《ロランの聖母子》に反映された注文主ニコラ・ロランの野心、ロヒール・ファン・デル・ウェイデン《聖母子を描くルカ》に隠された画家自身の「擬装」肖像――。さまざまな角度からフランドル絵画を鮮やかに照射し、新たな知見を示す、気鋭の研究者による刺激的論考。
目次
序章
第一章 初期フランドル絵画の黎明期の社会的・宗教的背景
第二章 初期フランドル絵画における祈禱者表現の革新性と宗教画の機能
第三章 祈禱者の中央への進入
――ロベール・カンパン作《太陽の聖母子》の上下構図
第四章 祈禱者の対等性
――ヤン・ファン・エイク作《ロランの聖母子》の大胆な祈禱者
第五章 祈禱者の「擬装」
――ロヒール・ファン・デル・ウェイデン作《聖母子を描く聖ルカ》にみる「擬装」肖像の開拓
第六章 祈禱者表現の継承と展開
終章
あとがき