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関係の病としてのおとなの発達障碍

著:小林 隆児

紙版

内容紹介

●人間関係がうまくいかない原因は、乳幼児期の親子関係にあった!

最近増加している成人の発達障碍。
「発達障碍」と診断されることで、長年抱えていた不安が解消されて安堵する患者さんがいる一方、治療法は確立されておらず、診断が一人歩きしている現状であることは否めません。

著者は小児精神科医として、長年にわたり自閉症スペクトラムの治療とカウンセリングに携わった経験から、乳幼児期の親子関係、とりわけ母から子への働きかけが、子どもの発達に与える影響の大きさに注目しています。

子どもからの「甘えたくても甘えられない」複雑な甘えのシグナルを見逃さず、子どもが抱える不安を適切に解消してあげることで、親子のコミュニケーションは豊かで実り大きなものとなります。
逆に、緊張感の絶えない親子関係では、子どもはつねに不安にさらされ、他人と安定したコミュニケーションを築くことがむずかしくなってしまうのです。
発達障碍の治療において、こうした人間関係の原型を見抜くことが重要であることは言うまでもありません。

本書では、おとなの発達障碍に苦慮する精神科医のために、「関係をみる」精神療法のコツをすべて開示しています。
臨床家は限られた臨床の機会において、自らの全存在をかけて患者と向き合い、己の感性で「母と子の関係の病」を見抜く必要があると提言し、多くの症例を挙げて治療のポイントを解説します。
人間が人間を診断し、治療するという精神科医療の原点を、卓越した筆力で感動的に描き出した、ライフワークの到達点です。

目次

第1章 発達障碍を再考する
第2章 乳幼児期の関係病理からみた発達障碍の成り立ち
第3章 おとなの発達障碍問題の混沌とした状況を紐解く鍵
第4章 発達障碍当事者の体験を「関係」から読み解く
第5章 おとなの発達障碍に対する精神療法は今どのように考えられているか
第6章 なぜおとなの発達障碍に対する精神療法は難しいか
第7章 おとなの発達障碍に対する精神療法の勘どころ
第8章 おとなの発達障碍に対する精神療法の実際

著者略歴

著:小林 隆児
1949年鳥取県米子市生まれ。児童精神科医、医学博士、日本乳幼児医学・心理学会理事長。1975年九州大学医学部卒業。福岡大学医学部精神医学教室入局後、福岡大学医学部講師、大分大学教育学部助教授、東海大学健康科学部教授、大正大学人間学部教授を経て、2012年より西南学院大学人間科学部教授、2014年より西南学院大学大学院臨床心理学専攻教授を併任。現在に至る。クリニックおぐら(東京都世田谷区)でも診療を行う。(2018年7月現在)

ISBN:9784335651786
出版社:弘文堂
判型:A5
ページ数:232ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2018年07月
発売日:2018年07月23日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ