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動物の境界

現象学から展成の自然誌へ

著:菅原 和孝

紙版

内容紹介

動物と人は異なる生き物なのか? 人類とは何かを問う瞠目すべき探求!

フッサール、メルロ=ポンティの現象学、ユクスキュルの生物学をベースに、敬愛するダーウィン、今西錦司、伊谷純一郎、レヴィ=ストロースを批判的に検討。雄大な構想力で、動物と人との境界、人と人との境界を問う、渾身の大作。

目次

山麓にて――緒言
動物への憧憬――やや長めのプロローグ

序章 〈動物の境界〉を孕む知の台座
  1 極東における歴史的無意識
  2 西欧思想における動物
  3 極東における知の植民地状況
  4 言語という分断線

第Ⅰ部 源流への遡行
第1章 現象学から自然誌へ――登攀路の探索
  1 生きた私への密着
  2 現象学的還元という名の破壊
  3 間身体性から歴史
  4 自然誌的態度へ向けて
第2章 環境世界のなかの動物――自然誌的態度の源流
  1 生物の存在論――今西錦司の本質直観
  2 環境世界と身体への介入――ユクスキュルの「機械的生物学」
  3 動物のメロディと主題――メルロ=ポンティにとっての動物性

第Ⅱ部 生活世界
第3章 同伴する――仲間動物の生政治
  1 人間の最良の友――犬と人の境界をめぐって
  2 擬人主義という問題系――猫を中心に
  3 生政治の主体としての動物
  4 世界はなぜこうなっているのか
第4章 共生する――牧畜の交通と論理
  1 共生の論理
  2 家畜との交通――その認知的・行動的基盤
  3 家畜化の論理
  4 われの外にある論理
第5章 敵対する――天敵の政治経済学
  1 人の被傷性
  2 害獣という問題圏
  3 水平的競合の諸相
  4 転形と植民地状況
  5 殺戮者としての食肉類
  6 日本でオオカミを待つ
  7 「暗澹」との向きあいかた

第Ⅲ部 観察と思考
第6章 分類する――種と階層の認知
  1 同一性指定の根拠としての分類
  2 プロトタイプか本質か?
  3 生物学的な分類の視座
  4 自然誌的態度にとって種とはなにか
第7章 本能を生きる――行動学の光と影
  1 行動学の原点――ローレンツとティンベルヘン
  2 社会構造をつくる行動――マントヒヒの行動学
  3 動物の「楽園」から
  4 「人間ぎらい」と知の制度化
第8章 偶然と必然を思考する――ダーウィンの経験と継承者たち
  1 自然誌的態度としての展成論――ビーグル号からの出発
  2 自然が選択する――種の起源』という胚珠
  3 継承と批判
  4 虚環境へ融けこむ自然誌
第9章 棲みわける――今西錦司の動物社会学
  1 動物社会学の礎
  2 種社会の論理
  3 展成論の挫折
  4 社会展成の一般理論は可能か
第10章 社会に内属する――伊谷純一郎と構造
  1 原猿類にみる社会構造の類型
  2 通時的構造の発見
  3 父系的な集団の構造
  4 社会構造の展成
  5 近親性交という問題圏
  6 主体の形成と反-主体の侵襲
第11章 記号としての動物――レヴィ=ストロースと神話論理
  1 悲しき熱帯における動物たち
  2 野生の思考における動物たち
  3 神話世界における動物たち
終章 世界の内側から展成に触れる――虚環境の自然誌
  1 自己言及的な位置づけ――尾根からの眺め
  2 夢界の存在論と虚環境の集極化
  3 社会が展成する
  4 開世界に立つ――〈動物の境界〉と〈啓蒙の近代〉

共在と喪失――やや長めのエピローグ
下山路にて――あとがきにかえて

ISBN:9784335551857
出版社:弘文堂
判型:A5
ページ数:720ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2017年01月
発売日:2017年01月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PSV