明治・大正時代の東京スカイツリーである浅草十二階と、盛り場に集う群衆。稀代の民間学者に導かれて、東京の歴史が幕を開ける。
稀代の郷土史家にして考証家、喜多川周之。遺された膨大な資料をもとに、関東大震災前の東京・盛り場=浅草にたつ凌雲閣十二階とそこに集う有名無名の群衆を描く。
パノラマ的視界を現出させた、当時のめざましい高層建築、日本初のエレベーター、初めての美人コンテスト、そして関東大震災による倒壊。話題に事欠かない凌雲閣十二階の消長が、日本近代の諸相、人々の好奇心のありようを鮮やかに照らし出す。
本書は喜多川周之という人物とその業績をていねいに辿りながら、脱皮を繰り返すように成長していく東京、そして日本近代の様相、人々の欲望をみごとに捉えた歴史社会学の成果。図版多数、読物としても面白い内容。「記録と記憶」と題された当時の貴重な資料は必見。