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王統と国家

近代ドイツ公法学における〈君侯法〉の展開

著:藤川 直樹

紙版

内容紹介

〈王統〉の法と〈国家〉の法、その緊張と交錯に迫る

 いまなお公法学者の関心を集める近代ドイツ公法学の古典理論。しかし、近代ドイツの基本的政治構造である立憲君主制についてはともかく、もう一つの側面「世襲君主制」にまつわる〈君侯法〉―王位継承や摂政、王室財政など当時の国制の中核テーマを含む―については、長らく注目がなされてきませんでした。そこで本書は、近代立憲君主制の背後にある「王統」(君主の親族組織)のもつ伝統的な法構造が、近代公法学によってどのように体系的・解釈学的に対応され、そこにいかなる対立と限界があったのかを歴史的アプローチにより分析。近代ドイツ公法学のドグマーティクを読み直すとともに、現代日本の皇室法の解釈論を考える一つの材料をも提供しうる、比類なき研究成果。

目次

序 章 「君侯法」とは何か
第一章 国家法人格の理論の成立と〈君侯法〉論の前哨――一八三〇・四〇年代――
第二章 王位継承法理論の転機と〈君侯法〉の形成――一八五〇・六〇年代――
第三章 公法学の「方法的転換」と〈君侯法〉論――一八七〇・八〇年代――
第四章 王位継承紛争と〈君侯法〉論争――一八九〇年代以降――

【詳細目次】
序章  「君侯法」とは何か
 第一節 問題の所在
 第二節 課題と視角

第一章 国家法人格の理論の成立と〈君侯法〉論の前哨――一八三〇年・四〇年代――
 第一節 クリューバーとアイヒホルンの対抗と世代交代
 第二節 ハノーファー憲法紛争とアルブレヒトの国家法人説
 第三節 マウレンブレッヒャーの国法学と「家産原理」
 第四節 シュタールの「家産原理」批判と男系親同意権
 第五節 反響と学説布置
 小括

第二章 王位継承法理論の転機と〈君侯法〉の形成――一八五〇・六〇年代――
 第一節 普通ドイツ国法の標準形成と王位継承法理論の転機
 第二節 ゲルバーの国法学における王位継承と〈君侯法〉
 第三節 シュルツェの王位継承法研究と「君侯法」の概念
 小括

第三章 公法学の「方法的転換」と〈君侯法〉論――一八七〇・八〇年代――
 第一節 ラーバントと「法学的方法」の確立
 第二節 シュルツェにおける男系親同意権の否定と「君侯法」
 第三節 シュルツェ学説の受容と限界
 第四節 帝国立法における私的君侯法の再編と「君侯法」の乖離
 小括

第四章 王位継承紛争と〈君侯法〉論争――一八九〇年代以降――
 第一節 リッペ侯位継承事件と男系親同意
 第二節 レーム〈君侯法〉論の挑戦
 第三節 〈君侯法〉の理論と実践
 小括

結語
あとがき
欧文目次・要旨
参考文献一覧
書翰史料一覧
人名索引
事項索引

著者略歴

著:藤川 直樹
神戸学院大学法学部准教授(2023年1月現在)

ISBN:9784335359385
出版社:弘文堂
判型:A5
ページ数:396ページ
定価:6000円(本体)
発行年月日:2023年02月
発売日:2023年02月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LND