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近代家族とフェミニズム 増補新版

著:落合 恵美子

紙版

内容紹介

日本の〈近代家族〉論はここから始まった──フェミニズムから出発し、家族研究の新時代を切り拓いた名著の増補新版。

愛情で結ばれ男女の分業を前提とした近代家族はいかにして誕生したのか。視角と方法としての歴史社会学を駆使し、「家族」「出産」「育児」「フェミニズム」といった諸論点に果敢に挑んだ記念碑的著作。重要論文はそのままに、近代家族論争を経て「家族の戦後体制」論へと連なる同時期の関連論文を収録。新たに自著解題を付す。

目次

増補新版への序文
はしがき

Ⅰ 近代家族論の誕生

1 〈近代家族〉の誕生と終焉──歴史社会学の眼
 1 〈外〉の家族
 2 歴史社会学の眼
 3 〈近代家族〉の誕生と終焉

2 家族社会学のパラダイム転換
 1 パラダイムとマンタリテ
 2 家族社会学史の中のパラダイム
 3 集団論的パラダイムの背後仮説
 4 集団論的パラダイムの危機
 5 構造主義的アプローチの可能性

3 近代家族をめぐる言説
 はじめに
 1 近代家族論の流れ
 2 近代家族定義の試み
 3 近代家族システムと国家
 4 家は近代家族か
 5 多様な家族システムの近代化

Ⅱ 出産と育児の歴史社会学

4 出産の社会史における二つの近代
 1 「出産」研究の萌芽と現代社会
 2 歴史人口学から見た二つの近代
 3 出産をめぐる心性と社会関係
 4 二つの近代の社会学的意味
 5 近代化過程における家族変動論へ

5 江戸時代の出産革命──日本版「性の歴史」のために
 1 日本版「性の歴史」のために
 2 江戸時代の出産革命
 3 留意すべきこと

6 近世末における間引きと出産──人間の生産をめぐる体制変動
 1 徳川体制からの人口学的離陸
 2 異質なマンタリテの衝突
 3 農村における妊娠の理解
 4 拡散する産科学のまなざし
 5 変化の推進者
 6 人間は誰のものか

7 近代家族における子どもの位置──妊娠・出産の意味を考える
 1 子どもの位置は変わりつつあるか
 2 近代家族における子どもの位置
 3 日本の場合
 4 現代家族における子どもの位置

8 現代家族の育児ネットワーク
 1 調査研究のあらまし
 2 育児援助の諸相
 3 育児の困難と要望
 4 地域の育児ネットワーク
 5 結 論

9 家族の社会的ネットワークと人口学的世代──一九六〇年代と八〇年代の比較から
 1 社会的ネットワークとしてのコミュニティ
 2 都市家族の「孤立化」と社会的ネットワーク──欧米の研究から
 3 六〇年代日本家族の社会的ネットワーク
 4 人口学的世代
 5 八〇年代日本家族の社会的ネットワーク
 6 二一世紀への展望

Ⅲ フェミニズムとジェンダーの歴史社会学

10 フェミニズム理論における「家内性」と「近代」
 1 問題の構図
 2 マルクス主義フェミニズム
 3 女性人類学
 4 女性の社会史
 5 家内性と近代

11 フェミニズムの諸潮流
 1 フェミニズム論の百花撩乱
 2 「フェミニズム」という言葉
 3 フェミニズムの二つの波
 4 フェミニズムの諸潮流

12 近代とフェミニズム──歴史社会学的考察
 1 なぜ「近代」か?
 2 「近代」をめぐる思想史
 3 「母性主義」とは何か
 4 フェミニズムの歴史社会学

13 ビジュアル・イメージとしての女──戦後女性雑誌が見せる性役割
 はじめに
 1 戦後派娘から奥様へ──『主婦の友』一九四五~六五年
 2 「性解放」と白人志向──『女性自身』一九五八~七五年
 3 多義的な少女たち──『non.no』一九七一~九七年
 4 性の体制の成立と崩壊

補章 お産と社会学とわたし

自著解題 〈近代家族〉の歴史社会学とその後

参照文献
初版目次
初出一覧
索  引

著者略歴

著:落合 恵美子
落合 恵美子(おちあい えみこ) 1958年、東京生まれ。1980年、東京大学文学部卒業。1987年、東京大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。現在、京都大学大学院文学研究科教授。著書:『21世紀家族へ』(有斐閣、第1版1994年、第4版2019年)、『徳川日本の家族と地域性』(編著、ミネルヴァ書房、2015年)、『アジアの家族とジェンダー』(共編著、勁草書房、2007年)、『親密圏と公共圏の再編成』(編著、京都大学学術出版会、2013年)、『リーディングス アジアの家族と親密圏』(共編著、全3巻、有斐閣、2022年)、その他多数。

ISBN:9784326654369
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:416ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2022年06月
発売日:2022年06月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB