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創造性をデザインする

建築空間の社会学

著:牧野 智和

紙版

内容紹介

自発性を育む学校、アイデアが生まれやすいオフィス──人々の創造性を誘発しようとする現代的建築空間を社会学の観点から分析する。

私たちが日常的に利用する空間は今日、どのような問題意識と希望のもとでどのように設計され、私たちのふるまいや心理にどのような影響を与えようとするものなのか。フーコー派社会学の立場による学校建築・オフィスデザイン・公共空間デザインの分析から、現代的建築空間が創出するハイブリッドな「主体性」のあり方を明らかにする。

目次

はじめに

第一章 主体性のハイブリッドな構成――建築空間の社会学的分析に向けて
 1 私たちの行為と建築空間
 2 行為を物理的にデザインする――建築空間への社会学的アプローチの現状
 3 ミシェル・フーコーの「権力の物理学」に立ち戻る――本書のスタンス
 4 主体性はどうデザインされているのか――本書の目的

第二章 アクティビティを喚起する学校建築――「ポスト規律訓練」的学校空間の組み立てとその系譜
 1 学校とはどのような場所なのか――規律訓練の空間としての学校?
 2 学校建築の社会学に向けて――本章における研究のスタンス
 3 戦前における学校建築の定型化・画一化――戦後学校建築の前提条件
 4 「計画性」という希望――戦後の再出発と新たな定型化・画一化
 5 開かれた学校建築への期待――一九七〇~九〇年代前半
 6 アクティビティを喚起する学校建築――一九九〇年代後半以降
 7 「ポスト規律訓練」的学校空間における自由とは

第三章 オフィスデザインにおけるヒト・モノ・コトの配置――「クリエイティブ・オフィス」の組み立てとその系譜
 1 「ハイブリッドデザイン」としてのオフィス
 2 能率と「流れ」への埋め込み――一九五〇~六〇年代
 3 創造性への注目と空間の多様化――一九七〇~九〇年代
 4 ワークプレイスという視点とハイブリッド化――一九九〇年代中盤
 5 創造的なアクティビティのデザイン――一九九〇年代後半以降
 6 創造的主体性とその棲み分け

第四章 公共性の触媒を創り出す――公共空間のハイブリッドデザイン(一)
 1 都市開発の要所としての公共空間
 2 公共空間デザインの分析に向けて――本書における研究のスタンス
 3 現代的公共空間デザインの源流――ジェイコブズとゲールに注目して
 4 公共空間におけるアクティビティ誘発のディテール
 5 公共性の触媒を創り出す

第五章 編集・自分ごと・戦術――公共空間のハイブリッドデザイン(二)
 1 公共空間をめぐる規制緩和
 2 公共空間を編集する――リノベーションとマネジメントをめぐる挑発的提案
 3 「自分ごと」と「織り込み」のデザイン――まちづくりワークショップの派生的展開
 4 自分で公共空間を創り出す
 5 公共空間に戦術を仕掛ける――タクティカル・アーバニズムとプレイスメイキング
 6 公共空間を創り出す主体性とその解釈

終 章 創造性をデザインする
 1 アクティビティを誘発する建築空間
 2 創造性をデザインする
 3 規律訓練から管理へ?
 4 今後の課題――建築の社会学に向けて

あとがき
参考文献
索 引

著者略歴

著:牧野 智和
牧野 智和(まきの ともかず) 1980年、東京都生まれ。2009年、早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(教育学)。現在:大妻女子大学人間関係学部准教授。主著:『自己啓発の時代――「自己」の文化社会学的探究』(勁草書房、2012)、『日常に侵入する自己啓発――生き方・手帳術・片づけ』(勁草書房、2015)、『ファシリテーションとは何か――コミュニケーション幻想を超えて』(共編著、ナカニシヤ出版、2021)。

ISBN:9784326654345
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:356ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2022年06月
発売日:2022年06月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AM