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けいそうブックス

政治に口出しする女はお嫌いですか?

スタール夫人の言論vs.ナポレオンの独裁

著:工藤 庸子

紙版

内容紹介

女は政治に口出しするな?会話と文章を武器にナポレオン独裁に抵抗、自由主義思想の祖となったスタール夫人の闘いを描く。

目次

はじめに─政治と女性とヨーロッパをめぐるいくつかの問題提起

ヨーロッパは「民主主義」のモデルだろうか?
 スタール夫人とアレント
 「民主主義」という語彙
 サロンは「公共圏」か?
 「ソシエテ」とは何か?
 「精神」としてのヨーロッパ
 女性の姓と名

第1幕 アンシャン・レジームのサロン─女たちの声
 ロンドンで国会を見学する十歳の少女
 英才教育と語学力
 「世論」と「公開性」の政治家ネッケル
 十八世紀のソシアビリテ─文化としての会話
 ジョフラン夫人からネッケル夫人へ

第2幕 革命の勃発と立憲王党派のサロン─政治化する会話
 世論と革命と失神について
 「フランスの精神」が輝いたとき
 アメリカ独立革命とパリのアメリカ人たち
 ガヴァヌア・モリスの『日記』─アメリカ人の見たフランス革命

第3幕 恐怖政治からボナパルト登場まで─「黄金のサロン」と「活動」としての会話
 恐怖政治とは何であったのか?
 政治と雄弁と「活動」について
 共に考える伴侶バンジャマン・コンスタン
 将軍ボナパルトをめぐる幻想と幻滅

第4幕 レマン湖の畔コペのサロン─政治に文学が挑むとき
 『文学論』はなぜ違反的なのか?
 『デルフィーヌ』─結婚と離婚と宗教をめぐる「オピニオン小説」
 『コリンヌまたはイタリア』─女性の自立を求めて
 「口語的」な文学と断裁された『ドイツ論』

第5幕 反ナポレオンとヨーロッパの精神
 『自殺論』と亡命の旅─ロシア、スウェーデン、イギリス
 奴隷貿易の廃止は最後の「活動」となるだろう
 「巨大なパトス」としての自由─アレントとスタール夫人の革命論
 スイスから世界を見る
 おわりに─スタール夫人の「会話」からアレントの「言論」へ

補遺:スタール夫人の言葉(翻訳)
 ①─公開書簡『パリに集結した君主たちへの呼びかけ─黒人奴隷貿易廃止のために』(一八一四年)
 ②─ウィルバーホース宛て私信(一八一四年十一月四日)
 ③─トマス・ジェファソン宛ての私信(一八一七年二月十二日)

年譜
図版出典一覧
参考文献
人名索引

著者略歴

著:工藤 庸子
工藤 庸子(くどう ようこ)
フランス文学, ヨーロッパ地域文化研究. 東京大学名誉教授. 主要著書に, 『恋愛小説のレトリック――『ボヴァリー夫人』を読む』(1998年), 『ヨーロッパ文明批判序説――植民地・共和国・オリエンタリズム』(2003年), 『近代ヨーロッパ宗教文化論――姦通小説・ナポレオン法典・政教分離』(2013年), 『評伝 スタール夫人と近代ヨーロッパ――フランス革命とナポレオン独裁を生きぬいた自由主義の母』(いずれも東京大学出版会, 2016年), 主要な訳書に, 『いま読むペロー「昔話」』訳・解説(羽鳥書店, 2013年), マルグリット・デュラス『ヒロシマ・モナムール』(河出書房新社, 2014年). 編著に, 『論集 蓮實重彦』(羽鳥書店, 2016年)など, 共著に『〈淫靡さ〉について』(羽鳥書店, 2017年)など.

ISBN:9784326654178
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:196ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2018年12月
発売日:2018年12月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB