構築主義とは何か
編:上野 千鶴子
内容紹介
社会的な規範や制度や出来事は、人々から独立に客観的に存在しているわけではない。それは言語に媒介され、構築されていると考えるのが構築主義である。理論的な背景はフーコーやウィトゲンシュタインなど。本書は社会学に端を発し人文諸科学を席巻しつつあるこの新しい方法についての初めての入門・解説書である。執筆者には中堅・若手の気鋭を動員し構築主義の可能性を広く探っている。
目次
はじめに[上野千鶴子]
序章 構築主義の系譜学[千田有紀]
1 構築主義の問題系
2 構築主義か構成主義か?
3 constructionism と constructivism
4 社会問題をめぐる系譜
5 物語叙述をめぐる系譜
6 身体をめぐる系譜
7 おわりに
第一章 臨床のナラティヴ[野口裕二]
1 医療化
2 病いの意味と語り
3 ナラティヴ・セラピー
4 三つの社会的構成
5 二つの物語
第ニ章 言説分析と構築主義[赤川学]
1 二つの constructionism――構成主義と構築主義
2 本質主義 VS 構成主義
3 客観主義 VS 構築主義
4 言説分析の方法
第三章 文学とジェンダー分析[飯田祐子]
1 文学の政治性
2 日本のフェミニズム批評
3 ジェンダーの記号性
4 文学とジェンダー分析
5 主体のレベル
6 行為としての〈女〉
7 文学という領域
第四章 〈文化〉?〈女〉?――民族誌をめぐる本質主義と構築主義[中谷文美]
1 はじめに
2 人類学の「ポストモダン的転回」――本質主義批判
3 アイデンティティの政治――構築主義批判
4 フェミニズムの隘路と人類学
5 フェミニスト民族誌の可能性
6 おわりに
第五章 歴史学における構築主義[荻野美穂]
1 「歴史の再審」について
2 「言語論的転回」の挑戦
3 ジェンダーと「空っぽのカテゴリー」
4 「歴史相対主義」の問題
第六章 構築主義と身体の臨界[加藤秀一]
1 客体としての身体、観念としての身体、現実としての身体
2 過程としての身体
3 二つの本質主義とその批判
4 身体の物質性、あるいは、身体は存在しない
第七章 構築されるセクシュアリティ――クィア理論と構築主義[伊野真一]
1 問題設定
2 レズビアン&ゲイ・スタディーズと構築主義
3 クィア・パースペクティヴの構築
4 理論と現実の交渉
5 理論と実践の交渉
6 「本質主義/構築主義」の彼岸
第八章 「資本主義社会はもはや異性愛主義を必要としていない」のか――「同一性(アイデンティティ)の原理」をめぐってバトラーとフレイザーが言わなかったこと[竹村和子]
1 社会構築主義と本質主義の皮肉な共犯関係
2 同一性(アイデンティティ)と他者性
3 資本主義社会と異性愛主義
4 承認の政治の脱構築
5 補遺――プロセスとしての希望の一事例
第九章 〈構築されざるもの〉の権利をめぐって――歴史的構築主義と実在論[北田暁大]
1 殺人の制作?
2 反実在論と構築主義
3 存在の金切り声
4 結語――〈構築されざるもの〉の権利
構築主義とは何か――あとがきに代えて[上野千鶴子]
1 はじめに
2 構築主義とは何か――系譜・理論・方法
3 カテゴリーの政治
4 カテゴリーの物質性
5 アイデンティティの政治
6 歴史相対主義を越えて
7 エイジェンシーとパフォーマティビティ――カテゴリーの変革へ向けて
事項索引
人名索引
ISBN:9784326652457
。出版社:勁草書房
。判型:4-6
。ページ数:336ページ
。定価:2800円(本体)
。発行年月日:2001年02月
。発売日:2001年02月20日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB。