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教育格差のかくれた背景

親のパーソナルネットワークと学歴志向

著:荒牧 草平

紙版

内容紹介

教育格差を生む背景に親の学歴志向の差異があり、それが親族や友人に影響されていることを質問紙調査に基づいて実証的に析出する。

親の地位や豊かさが教育格差を生むというのは定説だが、その理由は明らかにされていない。本書は、従来の枠をこえて親の交際相手について調査した結果から、親族やママ友などの学歴や考え方が親の学歴志向を媒介して関与していることを実証的に析出する。教育格差の生成メカニズムに迫り、親への支援に結び付けようとする意欲的研究。

目次

まえがき

第1章 親戚が学歴に影響する?
 1.教育格差をどうとらえるか
 2.核家族枠組を超えて
 3.多世代効果の研究動向
 4.現代日本における家族制度や家族関係の影響
 5.議論の整理

第2章 祖父母とオジオバの影響
 1.親族が影響する背景
 2.データと変数
 3.諸仮説の検討
 4.親族効果の再検討
 5.資源Xとは何か

第3章 親族効果の背景
 1.家族・親族と教育期待
 2.親族効果の再確認
 3.親族の影響をとらえる視点
 4.親の教育期待を媒介した影響
 5.親族効果と準拠集団

第4章 パーソナルネットワークの視点から考える
 1.教育達成と親のパーソナルネットワーク
 2.パーソナルネットワークによる社会意識の形成
 3.先行研究における論点の整理
 4.議論
 5.分析枠組みと分析課題
 6.調査の概要

第5章 ネットワークと学歴志向
 1.教育格差とパーソナルネットワーク
 2.パーソナルネットワークと意識形成
 3.データと変数
 4.ネットワークの効果
 5.メンバーへの同化と同調

第6章 準拠枠としてのネットワーク
 1.子育て環境とパーソナルネットワーク
 2.パーソナルネットワークの機能
 3.研究方法
 4.ポスト育児期におけるサポート
 5.子どもの進路に関する交際
 6.参照状況の詳細
 7.準拠枠としてのネットワーク

第7章 地位アイデンティティと学歴志向
 1.ネットワークと学歴志向をつなぐもの
 2.地位の軌跡と地位アイデンティティ
 3.階層帰属意識の基本構造の多様性
 4.子育て期の女性の階層帰属意識
 5.複合的な効果の検討
 6.「地位と意識の関連」再考

終章 人づきあいと教育格差
 1.教育格差と学歴志向・ネットワーク
 2.格差生成メカニズムをめぐって
 3.「かくれた背景」に着目する意義と課題
 4.本書の限界と今後の課題

引用文献

付録1 調査票
 第1次調査調査票
 第2次調査調査票
 第3次調査調査票

付録2 第2次調査の自由記述欄への回答

あとがき
人名索引
事項索引
初出一覧

著者略歴

著:荒牧 草平
荒牧 草平(あらまき そうへい)
1970年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程単位修得退学。博士(人間科学)。現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授。専門は教育社会学、家族社会学。主著:『教育格差のかくれた背景』(勁草書房)、『学歴の階層差はなぜ生まれるか』(勁草書房)、『教育と社会階層:ESSM全国調査からみた学歴・学校・格差』(共編著、東京大学出版会)、『高校生たちのゆくえ:学校パネル調査からみた進路と生活の30年』(共編著、世界思想社)など。

ISBN:9784326603190
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:260ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2019年08月
発売日:2019年08月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA