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プライバシーなんていらない!?

情報社会における自由と安全

著:ダニエル・J・ソロブ
他訳:大島 義則
他訳:松尾 剛行

紙版

内容紹介

「プライバシー」と「安全」が衝突したとき、われわれはいかに考え行動すべきか。プライバシーの本質的価値を浮き彫りにする啓蒙書。

「やましいことがないのであれば、安全のために、あなたのプライバシーを開示するのは問題ないのでは?」。この問いを基点として、プライバシーの価値、安全との関係、憲法上の権利としてのプライバシーの性格、新しい技術との関係・対応について、豊富な具体例を通して詳細に論じる。危機に瀕するプライバシーを救うために。

目次

はしがき

第1章 はじめに
 1-1 プライバシーと安全小史
 1-2 プライバシー、安全及び法
 1-3 見取り図

PART1 価値 我々はいかにプライバシーと安全の価値を評価し衡量すべきか

第2章 やましいことは何もない論
 2-1 私にやましいことは何もない
 2-2 プライバシーの理解
 2-3 やましいことは何もない論の問題
 2-4 血、死、プライバシー
 2-5 やましいことは何もない論の沈黙

第3章 全か無かの誤謬

第4章 敬譲の危険
 4-1 執行府は安全についてより高い能力を有しているか
 4-2 安全への脅威の評価
 4-3 セキュリティ・シアター
 4-4 敬譲しないほうが安全である理由

第5章 プライバシーが単なる個人的権利ではない理由
 5-1 社会的価値としてのプライバシー
 5-2 行動の監視

PART2 有事 法はいかに国家安全保障の問題を扱うべきか

第6章 振り子論
 6-1 不必要な犠牲
 6-2 犠牲の拒絶

第7章 国家安全保障論
 7-1 国家安全保障法
 7-2 厳密にいえば何が「国家安全保障」か
 7-3 不適切な「国家安全保障」の発動
 7-4 「国家安全保障」の主張を統制下に置き続ける

第8章 犯罪・諜報の区分を消滅させることの問題
 8-1 二つの規制システム
 8-2 犯罪・諜報の区分の消滅

第9章 戦争権限論と法の支配
 9-1 大統領は法律に違反してもいいのか
 9-2 秘匿の必要性
 9-3 国家安全保障局の令状なしの監視プログラムへの訴訟提起
 9-4 法の支配の崩壊

PART3 憲法上の権利 憲法はいかにプライバシーを保護すべきか

第10章 修正四条と秘匿パラダイム
 10-1 一文の規制システム
 10-2 いかなる場合に修正四条は保護を与えるのか

第11章 第三者提供の法理とデジタル事件記録
 11-1 一九七〇年代に戻る旅
 11-2 デジタル事件記録と今日における第三者提供の法理
 11-3 癒着と強制
 11-4 誤った理由づけと開かれた問い
 11-5 技術に追いつくこと
 11-6 情報時代における修正四条

第12章 プライバシーの合理的期待を探求することの失敗
 12-1 問いの立て方を変える
 12-2 プライバシーの合理的期待テスト
 12-3 プラグマティックなアプローチ
 12-4 遺伝子情報と偽計
 12-5 修正四条を再生させる

第13章 嫌疑なき捜索論
 13-1 なぜ相当な理由により裏づけられた令状を要求するのか
 13-2 手続は機能するのか
 13-3 令状と相当な理由を越えて

第14章 違法収集証拠排除法則を維持すべきか
 14-1 ドリー・マップの自宅の捜索
 14-2 なぜ違法収集証拠排除法則があるのか
 14-3 違法収集証拠排除法則に伴う問題
 14-4 解決に向けて
 14-5 違法収集証拠排除法則の廃棄

第15章 刑事手続法としての修正一条
 15-1 共通の歴史
 15-2 刑事手続と修正一条の権利
 15-3 修正一条の果たす新たな役割

PART4 新技術 法はいかに変化していく技術に対応すべきか

第16章 愛国者法を廃止すればプライバシーは回復するか
 16-1 愛国者法はインターネット・プライバシーを縮小したのか、それとも拡張したのか
 16-2 愛国者法二一五条と国家安全保障書簡
 16-3 愛国者法の象徴的意義

第17章 法と技術の問題と、議会に任せろ論
 17-1 議会に任せろ論
 17-2 それでは、私の電子メールは保護されているのだろうか
 17-3 法と技術の問題の解決

第18章 ビデオ監視と公共空間におけるプライバシー否定論
 18-1 なぜ法は公共空間におけるビデオ監視を規制しないのか
 18-2 監視を規制する

第19章 政府はデータ・マイニングに従事すべきか
 19-1 政府によるデータ・マイニングの発達
 19-2 データ・マイニングの問題
 19-3 どのような場合に政府はデータ・マイニングに従事することが許されるべきか
 19-4 データ・マイニングへの懐疑

第20章 ラッダイト論、タイタニック現象、そして問題解決戦略
 20-1 生体認証の期待と脅威
 20-2 タイタニック現象
 20-3 問題解決戦略
 20-4 気をつけるべきケース

第21章 結論

訳者あとがき

索引

著者略歴

著:ダニエル・J・ソロブ
ダニエル・J・ソロブ(Daniel J. Solove)

ジョージ・ワシントン大学ロースクール、ジョン・マーシャル・ハーラン研究所教授。また、企業、法律事務所、医療機関、学校などにプライバシーとデータセキュリティのトレーニングプログラムを提供するTeachPrivacy の創設者でもある。プライバシー法の世界的な第一人者であり、著書や教科書も多数。Privacy + Security Blog やLinkedIn(thought leader)のブログでも、情報発信を行っている。
他訳:大島 義則
大島 義則(おおしま よしのり)

弁護士法人長谷川法律事務所弁護士(第二東京弁護士会所属)、専修大学法科大学院教授。2006年慶應義塾大学法学部法律学科卒。2008年慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2009年弁護士登録。主著として、『憲法ガール Remake Edition』(法律文化社、2018年)、『実務解説 行政訴訟』(編著、勁草書房、2020年)、ダニエル・J・ソロブ『プライバシーなんていらない!? 情報社会における自由と安全』(共訳、勁草書房、2017年)。
他訳:松尾 剛行
松尾 剛行(まつお たかゆき)
桃尾・松尾・難波法律事務所パートナー 弁護士(第一東京弁護士会)・ニューヨーク州弁護士. 主な著書・訳書『最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務』(共著, 勁草書房, 平成31年), 『都市行政の最先端』(共著, 日本評論社, 平成31年), 『AI・HRテック対応人事労務情報管理の法律実務』(弘文堂, 平成31年), 『ロボット法』(共訳, 勁草書房, 平成30年).

ISBN:9784326451104
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:288ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2017年04月
発売日:2017年04月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JBF