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日本人は右傾化したのか

データ分析で実像を読み解く

編:田辺 俊介

紙版

内容紹介

ヘイトスピーチ、日本スゴイ系番組、安倍政権の長期化……私たちは本当に右傾化したのか? 大規模な全国調査と統計学で検証する。

近年、世界各地でナショナリズムが噴出しているように見える。では日本でもナショナリズムが高まっているのか。2009年、2013年、2017年に行われた全国調査を分析し、右傾化の真相を「見える化」する。そこから導き出されるのは、日本人の右傾化は一部にとどまるが、階層格差がナショナリズムによって隠蔽される可能性だ。

目次

はじめに

序章 「右傾化」言説は何を生み出すのか[田辺俊介]
 1 二〇一〇年代の右傾化とナショナリズム
 2 「ナショナリズム」とは何か?
 3 解くべき課題とその方法

第1章 ナショナリズム――その「高まり」は本当か[田辺俊介]
 1 戦後日本の「ナショナリズム」とその変化
 2 ナショナリズム高揚論
 3 ナショナリズムの「変化」をいかに捉えるか
 4 ナショナリズムの「複雑化」

第2章 国への誇り――「日本スゴイ」の原因は不満や不安なのか[齋藤僚介]
 1 日本人の「国への誇り」
 2 ナショナル・プライドは不満や不安とどんな関係にあるのか
 3 現代日本のナショナル・プライドの実態
 4 国への誇りと現代日本

第3章 「移民」の影響認知――外国人増加の影響はどう考えられているか[濱田国佑]
 1 外国人労働者をめぐる意見の対立
 2 グローバル化の進展と外国人労働者
 3 外国人増加の影響はどのように認知されているのか
 4 外国人増加の影響認知を規定する要因
 5 二〇一〇年代における変化

第4章 排外主義――外国人増加はその源泉となるか[五十嵐彰]
 1 外国人増加と排外主義
 2 排外主義の定義と規定要因
 3 居住地における外国人と排外主義
 4 何が排外主義を高めるのか

第5章 「移民」の権利――誰が外国籍者の社会的権利を拒否するのか[永吉希久子]
 1 移民の権利をめぐる議論
 2 何が社会的権利の付与を拒否させるのか
 3 外国籍者に対する権利付与への態度とその規定要因
 4 外国籍者に対する社会的権利の付与を阻むもの

第6章 政党支持――イデオロギー対立軸はどう変化しているのか[米田幸弘]
 1 政党支持と対立軸
 2 支持政党と政治的価値志向
 3 データからみる支持政党と価値志向
 4 明確化する対立軸、弱まる対立軸──政権交代後の八年間の変化

第7章 投票行動――自民党への投票は右傾化によるものなのか[桑名祐樹]
 1 安倍政権の長期化と有権者
 2 イデオロギーとナショナリズム──投票参加との関係
 3 自民党投票者の特徴
 4 自民党への投票者は変容したのか

第8章 政治参加――ナショナリズムはどのように影響するのか[伊藤理史]
 1 政治参加をナショナリズムから考える
 2 政治参加の活動類型とナショナリズムとの関連
 3 三つの政治参加の活動類型とナショナリズムの異なる影響
 4 政治参加とナショナリズムの複雑な関連

第9章 脱原発――誰がなぜ原発に反対するのか[阪口祐介]
 1 原発事故と脱原発世論
 2 誰がなぜ脱原発へと向かうのか
 3 誰がなぜ脱原発を志向するのか
 4 持続する社会集団による意識差

第10章 若者――「右傾化」の内実はどのようなものか[松谷満]
 1 注目される若者の意識
 2 若者は保守化・右傾化しているのか
 3 「権威に従う」若者の背景
 4 若者の政権支持は何に起因するのか
 5 価値観のゆくえ

終章 「右傾化」現象が覆い隠す格差――多元的なナショナリズムをみつめる[田辺俊介]
 1 日本社会は右傾化していたか?
 2 ナショナリズムによる分極化と階層的分断
 3 ポスト平成、ポストオリンピック、ポスト安倍政権に向けて

あとがき
参考文献
巻末付表
索引

著者略歴

編:田辺 俊介
田辺 俊介(たなべ しゅんすけ) 
東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学, 同大学より博士(社会学)を取得. 東京大学社会科学研究所准教授などを経て, 現在:早稲田大学文学学術院教授. 専門は社会意識論, 計量社会学. 主著:『ナショナル・アイデンテイティの国際比較』(慶應義塾大学出版会, 2010年), 『民主主義の「危機」――国際比較調査からみる市民意識』(勁草書房, 2014年, 編著), 『外国人へのまなざしと政治意識――社会調査で読み解く日本のナショナリズム』(勁草書房, 2011年, 編著)など.

ISBN:9784326351794
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:344ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2019年09月
発売日:2019年09月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JP