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懐疑主義の勧め

信頼せよ、されど検証せよ

著:ピッパ・ノリス
訳:山﨑 聖子

紙版

内容紹介

ヨーロッパ価値観研究と世界価値観調査に基づき、過度な冷笑主義にもやみくもな軽信性にも陥らない懐疑的信頼の重要性を示す。

社会的不寛容の深刻化、政党間の対立の激化、ポピュリズムの台頭、民主主義の後退に対する反省をきっかけに、信頼のあり方への懸念が高まっている。本書は、現代社会理論の規範的見解に挑戦するとともに、世界中の多様な社会から得たエビデンスを提示することで、信頼と信頼性という現象を新たな視点から見直し、その原動力に迫る。
【原著】Pippa Norris, In Praise of Skepticism: Trust but Verify(Oxford University Press, 2022)

目次

序文と謝辞

第1部 はじめに

第1章 信頼の二面性
 I 判断の類型
 II 懐疑的な信頼性判断
 III 本書の構成

第2章 懐疑的信頼の一般理論
 I 信頼の起源に関する議論
 II 懐疑的信頼の理論
 III 媒介条件

第3章 エビデンス
 I 信頼の理解に向けた各種手法
 II 信憑性の検証
 III 結論

第2部 何が信頼を生み出すのか

第4章 世界的な信頼動向の比較
 I 信頼動向に関する議論
 II 世界的な信頼動向・パターンに関するエビデンス比較
 III 信頼に関係する社会人口統計学的属性
 IV 結論

第5章 有能性
 I 信頼と信頼性に関するパフォーマンス理論
 II 信頼と家計状況
 III 政府の有能性と信頼性
 IV 結論と考察

第6章 清廉性と公平性
 I エージェンシーの説明責任はなぜ重要なのか
 II 政府の質についての主観的認識と信頼
 III 信頼に値する統治についての客観的指標
 IV 軽信的信頼と冷笑的不信はなぜ問題なのか:コロナ禍の事例
 V 結論と考察

第3部 結論

第7章 懐疑主義の勧め
 I 信頼の恩恵に関する従来の見解
 II 概念的・理論的枠組みの修正
 III 実証的発見
 IV 自由民主主義への含意

注釈
訳者あとがき
参考文献
索引

著者略歴

著:ピッパ・ノリス
ピッパ・ノリス(Pippa Norris)
比較政治学者。ハーバード大学で30年以上教鞭を執り、現在は同大ケネディ・スクールのPaul F. McGuire講師。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で政治学の博士号を取得。エジンバラ大学、ウォーリック大学、ロイファナ大学、ベルゲン大学から名誉博士号を授与されている。世界各国の世論と選挙、政治制度と文化、ジェンダー、政治コミュニケーションなどを研究しており、Electoral Integrity ProjectおよびGlobal Party Surveyのディレクターほか、役職多数。

訳:山﨑 聖子
山﨑 聖子(やまざき せいこ)
電通総研研究主幹。世界価値観調査の日本主宰および科学諮問委員会理事。慶應義塾大学大学院法学研究科国際公法修士。東京大学客員准教授、帝京平成大学講師などを歴任。世界の人びとの意識や価値観の変化をふまえ、社会動向を分析・研究。共著書に『日本人の考え方 世界の人の考え方II──第7回世界価値観調査から見えるもの』(勁草書房、2022)、『世界主要国価値観データブック』(同友館、2008)、訳書に『文化的進化論』(勁草書房、2019)『宗教の凋落?』(勁草書房、2021)他。

ISBN:9784326303311
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:324ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2023年10月
発売日:2023年10月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB