「批判」の政治理論
ハーバーマスとホネットにおける批判の方法論
著:成田 大起
内容紹介
ハーバーマスとホネットにとって「批判」とは何か。批判理論を代表する両者の批判の方法論を捉え、現代政治理論との対話を試みる。
ハーバーマスとホネットは批判を介して理論と実践がいかに関わるのか、理論家と当事者の関係を論じる「批判の方法」を探求してきた。本書は両者の主著を読み解きその方法論を「再構成的批判」として析出する。またロールズ、ウォルツァー、フレイザーらとの論争を検討し、規範的政治理論の文脈で批判理論の独自性を明らかにする。
目次
序 章 批判的な政治理論と批判の方法論──再構成的批判とは何か
1 問題関心と主張
2 本書の研究史上の位置づけ
3 再構成的批判とは何か
4 本書の射程
5 本書の構成
第Ⅰ部 ハーバーマスとホネットの批判理論
第一章 ハーバーマスによる再構成的批判の確立──認識論から言語論へ
1 六〇年代の思想形成と『認識と関心』における再構成的批判
2 「言語論的転回」と『コミュニケーション的行為の理論』における再構成的批判
第二章 ハーバーマスによる再構成的批判の展開──討議理論の形成から宗教論まで
1 『事実性と妥当』における再構成的批判
2 『事実性と妥当』以後の論点──理論と実践の関係再び
第三章 ホネットによる再構成的批判の確立──承認論と社会的病理論
1 規範的社会変革の理論としての承認論
2 社会的病理の諸理論──物象化と新自由主義のイデオロギー的承認
第四章 ホネットによる再構成的批判の展開──『自由の権利』を中心に
1 『自由の権利』の背景
2 承認をめぐる規範の発展史
3 『自由の権利』における社会的病理論──ホネットの「植民地化」論
第Ⅱ部 政治理論の中のハーバーマスとホネット
第五章 批判の様々な方法論──正当化可能性と実現可能性という論争軸
1 批判の方法論と政治理論方法論の接合
2 コーエンとフォアストの外在的批判
3 ウォルツァーとローティの文脈主義的批判
4 ロールズの構成主義的批判
第六章 再構成的批判に対する異論の検討
1 アーペルとアレンによる異論──正当化の意味と射程をめぐって
2 ハーバーマスからの応答
3 ホネットからの応答
第七章 ハーバーマス-ロールズ論争
1 ハーバーマスによるロールズ批判とその誤読
2 ロールズによるハーバーマス批判とその誤読
3 論争がハーバーマスに与えた影響
第八章 ホネット-フレイザー論争──「再分配」と「承認」の論じ方
1 フレイザーの問題提起とホネットによる応答
2 論争後の共闘可能性──社会主義の理念をめぐって
終 章 ハーバーマスとホネットの相違および今後の課題
1 感情と倫理の位置づけ
2 社会進化ないし進歩の位置づけ
3 今後の課題
あとがき
参考文献一覧
索引
ISBN:9784326303304
。出版社:勁草書房
。判型:A5
。ページ数:312ページ
。定価:5000円(本体)
。発行年月日:2023年08月
。発売日:2023年08月30日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB。