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市民を育てる学校

アメリカ進歩主義教育の実験

著:佐藤 隆之

紙版

内容紹介

19世紀末頃、コロンビア大学の附属学校であるホーレスマン・スクールでは、デューイの思考教育論やキルパトリックのプロジェクト・メソッドを応用して、子どもの主体的な学びを展開し、市民を育成する試みが行われた。「ニューヨーク市学習」という単元において市民をどう育成しようとしたのか、学校の教育環境も視野に入れ考察する。

目次

はしがき

序 章 アメリカ進歩主義教育における市民育成の実験
 一 市民を育てる進歩主義学校
 二 学校全体で取り組む市民育成
 三 「ホーレスマン初等教育研究」という実験
 四 市民育成の原理としての「プロジェクト・メソッド」
 五 市民性プロジェクトの理論と実践――本書の概要

第一章 「主体的市民」を育てる――ホーレスマン初等部における実験
 一 初等部における先駆的試行
 二 遊びながら市民になる――「生活」と「付随」
 三 目的設定による主体性の喚起と展開――市民連盟
 四 クラブ活動で主体性を育む――少年クラブ
 五 目的設定とリーダーシップからみた主体性の含意

第二章 ホーレスマン・スクールの教育環境――市民育成の舞台
 一 環境が刺激する市民育成
 二 校舎と教室の環境
 三 教具が育てる市民――社会的組織を刺激する
 四 ニューヨーク市民を育てる――ニューヨーク市学習
 五 スクール・コミュニティにおける市民育成――講堂の活用
 六 環境を通しての「主体的市民」の育成と課題

第三章 市民性プロジェクトの立案と実践――ロイ・W・ハッチの市民性訓練論(1)
 一 なぜハッチか
 二 ホーレスマン・スクールとハッチ
 三 市民性プロジェクトの原理と実際――プロジェクト・メソッドを応用した歴史
 四 労働プロジェクトの実際
 五 授業の組織と展開
 六 市民性プロジェクトにおける理想の市民

第四章 市民性プロジェクトの理念と過程――ロイ・W・ハッチの市民性訓練論(2)
 一 「市民性の実践による市民性」という評価
 二 付随的市民性学習とプロジェクト・メソッド
 三 ハッチ市民性訓練の理念――“Training in Citizenship”の理念
 四 市民性訓練の過程の分析(1)――「習慣」と「理想」
 五 市民性訓練の過程の分析(2)――「態度」
 六 付随的市民性学習の過程

第五章 市民性の測定と指導――クララ・F・チャセルを中心とする市民性尺度の開発
 一 市民育成と教育測定
 二 ホーレスマン初等教育研究における市民性の測定
 三 通知表の改訂にともなう市民性チャートの作成
 四 市民性チャートの尺度化と課題
 五 市民性尺度開発のその後
 六 市民性尺度か市民性プロジェクトか

第六章 進歩主義の市民性教育論議――実験の背景
 一 ホーレスマン・スクールにおける市民育成の背景
 二 保守的な市民性教育とその方法
 三 市民性教育の再構築
 四 デューイの代案――従順、探究、公開性
 五 市民性教育の理念を求めて――愛国と自立のはざま

終 章 進歩主義教育のなかの「市民を育てる学校」――自発性・付随性‐指導性問題と「よい市民性」
 一 市民性教育の原点としての進歩主義教育
 二 アメリカ進歩主義教育における「よい市民(性)」の教育の本態
 三 「よい市民性」のための自発性とその指導
 四 教育過程における教師の存在
 五 付随を教える
 六 自己推進プロジェクトとしての市民性プロジェクト

あとがき
文 献
索 引

著者略歴

著:佐藤 隆之
佐藤 隆之(さとう たかゆき)
1966年生まれ. 早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学. 博士(教育学). 現在:早稲田大学教育・総合科学学術院教授. 主著:『キルパトリック教育思想の研究――アメリカにおけるプロジェクト・メソッド論の形成と展開』(風間書房, 2004年), 『日本のデューイ研究と21世紀の課題』(分担執筆, 世界思想社, 2010年), 『現代教育の争点・論点』(分担執筆, 一藝社, 2015年)ほか. 翻訳:『学校改革抗争の100年――20世紀アメリカ教育史』(共訳, 東信堂, 2008年), 『カリキュラムと目的――学校教育を考える』(共訳, 玉川大学出版部, 2015年)ほか.

ISBN:9784326299287
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:344ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2018年04月
発売日:2018年04月04日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNB