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利き脳論

著:坂野 登

紙版

内容紹介

誰でも自分独自の利き脳をもち、それをうまく使うことで能力を発揮できる――こうした単純な理解を超え、感情から認知へという進化の道筋の中に、人に共通した利き脳や個人に特有な利き脳、そして状況に応じて使い分けられる利き脳を位置づける。これまで比喩的に捉えられてきた概念に科学的な裏付けを与える、著者渾身の集大成。

目次

序 章 利き脳とは一体何だろう

利き脳論の展開

第一章 利き脳論の始まり
 1 利き脳の考えは一九世紀に始まった
 2 こころを切り替える不思議な女性
 3 脳のモードとこころのモード

第二章 感情の戦略の違いから利き脳が生まれた
 1 感情はとっさの戦略である
 2 感情は分化して左右の半球と結びついた
 3 利き脳は対処の戦略の違いから生まれた

第三章 感情と認知の利き脳は前頭葉にある
 1 感情モードは前頭葉と結びついている
 2 不安が認知と感情を結びつける
 3 感情と認知は前頭葉で一つになる

第四章 欲求に応えるための左脳の戦略
 1 ほしいお金は大きく見える
 2 左半球の戦略で見えの歪みが起きる
 3 うまく行くとボールは大きく見える

第五章 ことばと音楽は脳で結ばれている
 1 ことばのリズムは音楽に反映される
 2 左右の耳で感情を聴き分ける
 3 音楽経験は利き脳を変える

第六章 ことばの力は認知の世界を変える
 1 高い音は薄い音、低い音は厚い音
 2 ことばは色の識別力を変える
 3 感情やことばで時間の判断は影響される
 4 左脳との結びつきが重要である

利き脳論の検証

第七章 利き脳を実験室でつくり出す
 1 脳の左右差を実験に利用する
 2 課題を与えて注意をスイッチする
 3 共通モードを個人に特有な腕組みに切り替える
 4 戦略として脳を利用するという考え

第八章 腕組みは計画性と関係している
 1 人類学や遺伝学での研究
 2 指組みと腕組みの発達と知的活動
 3 腕組みと順序性の記憶と創造性

第九章 指組みは認知的指向と関係している
 1 指組みは腕組みとどう違うのだろうか
 2 指組みを図形テストで測る
 3 関心のあり方の個人差としての指組み

終わりに
文献と注
索引

著者略歴

著:坂野 登
坂野登(さかの のぼる) 1962 年、京都大学大学院文学研究科博士課程単位修了。翌年、文学博士。ライプチッヒ大学医学部臨床神経生理学部門研究助手(1964-1966)、京都大学教育学部助教授・教授(1970-1997)、ライプチッヒ大学心理学研究所ブント記念講座客員教授(1980-1981)、神戸親和女子大学教授、名古屋女子大学教授などを歴任。現在、京都大学名誉教授。専門は教育神経心理学。主な著書に、“Latent left-handedness: Its relation to hemispheric and psychological functions.”(VEB Gustav Fisher Verlag Jena)、『脳と教育――心理学的アプローチ』(編著、朝倉書店)、『脳バランス力とこころの健康』(青木書店)、『二つのこころと一つの世界――心理学と脳科学の新たな視角』(新曜社)がある。

ISBN:9784326299263
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:244ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2017年12月
発売日:2017年12月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MB