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動物意識の誕生 下

生体システム理論と学習理論から解き明かす心の進化

著:シモーナ・ギンズバーグ
著:エヴァ・ヤブロンカ
訳:鈴木 大地

紙版

内容紹介

名だたる学者たちが問い続けた「意識」という難問。神経生物学者と哲学者が手をとり、意識の進化研究を新たなステージへ押し上げる!

何があればその生物に「意識」があるといえるのか? 多くの研究者がこの「進化の目印」を求めている。神経機構か、感覚器官か。否。「学習」こそがカギだと喝破する著者二人は、脊椎動物、節足動物、頭足類をも射程に捉え、意識がカンブリア爆発と同時に進化したと推定する。動物意識の源流へと向かう緻密な探究をともに追随する体験!

目次

Ⅱ 心の進化に起こった、いくつもの重大な移行

第六章 神経への移行、最低限の意識を構成する部品
 神経への重大移行──新たな情報システム
 最初の神経系と、それを備えていた動物
 刺胞動物での前身と実現可能化システム──全体感覚と非連合学習
 刺胞動物に制約下連合学習はあるのか?
 主観的体験の構成部品?

第七章 連合学習への移行──第一段階
 連合学習──区別と段階
 オペラント条件づけと古典的条件づけの区別──進化の視点
 連合学習の進化的起源に関する初期の見解
 学習の進化──細胞と分子のメカニズム
 階層をずっと下降する──細胞記憶と神経記憶の関係
 制約下連合学習の進化
 制約下連合学習する動物は最低限の意識を備えているか?

第八章 無制約連合学習への移行──サイコロの重心をずらす方法
 モデルを通した学習──結び合うパターン
 階層的推論を通した情報の統合
 無制約連合学習のトイ・モデル──その機能的特徴
 カテゴリー化し、動機づけを行う感覚状態としての心的表象
 無制約連合学習とそれを支える構造の分類学的な分布
 制約下連合学習から無制約連合学習へ──発生神経モジュールの重複と新奇なエングラムの使用

第九章 カンブリア爆発と、その魂あふれる派生
 エディアカラの園からカンブリアの軍拡競争へ
 カンブリア爆発の数多くの原因
 行動や学習に駆動された可塑性の進化
 ストレスと学習、そして両者の共進化
 ポパー型生物の進化

第十章 ゴーレムの苦境
 基本前提に立ち返る
 細胞の認知、意識を備えた生
 ゴーレムの苦境
 理性霊魂の進化

原注
訳注
訳者あとがき
図の出典
引用文献
索引

著者略歴

著:シモーナ・ギンズバーグ
シモーナ・ギンズバーグ(Simona Ginsburg)
イスラエル・オープン大学元准教授。専門は神経科学。
著:エヴァ・ヤブロンカ
エヴァ・ヤブロンカ(Eva Jablonka)
テルアビブ大学教授。専門は生物学の哲学。共著書にEvolution in Four Dimensions. MIT Press, 2005 など。
訳:鈴木 大地
鈴木 大地(すずき だいち)
筑波大学生命環境系助教、北海道大学人間知・脳・AI 研究教育センター(CHAIN)客員研究員。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て、現職。訳書に、シモーナ・ギンズバーグ&エヴァ・ヤブロンカ『動物意識の誕生(上・下)─生体システム理論と学習理論から解き明かす心の進化』(勁草書房、2021)、トッド・E・ファインバーグ&ジョン・M・マラット『意識の進化的起源─カンブリア爆発で心は生まれた』(同、2017)、同『意識の神秘を暴く─脳と心の生命史』(同、2020)。

ISBN:9784326154753
出版社:勁草書房
判型:4-6
ページ数:416ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2021年05月
発売日:2021年05月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PSV