西洋における宗教と世俗の変容
イスラームの定着と葛藤
編:伊達 聖伸
編:見原 礼子
内容紹介
国際比較研究の視座を踏まえ、西洋各国の政治・社会・日常生活におけるイスラームの定着と葛藤をめぐる課題を分析する。
宗教的なものと世俗的なものの再編の諸相を描くシリーズ「西洋における宗教と世俗の変容」第2巻。第二次世界大戦後のヨーロッパの高度経済成長を支えてきたムスリム移民。各国ごとに異なった彼らに対する包摂と排除の論理を比較の視座から読み解き、そこで経験されているムスリムとの共存をめぐる多様なリアリティに迫る。
目次
シリーズ巻頭言
総 論
西洋における宗教と世俗の変容――イスラームの定着と葛藤[伊達聖伸・見原礼子・安達智史・佐藤香寿実・山下泰幸・和田知之]
はじめに――日本における研究動向と本書の方法・射程
一、国際比較調査の結果からみるイスラームとの共存の現実
二、西洋において焦点化されるイスラームをめぐる論点――フランスを中心に
三、ヨーロッパ諸国への広がり
四、ヨーロッパから北米へ
各 論
〈第Ⅰ部 フランスのイスラーム/ムスリム〉
第1章 セクシュアル化する共和国のイスラーム改革運動――フランスにおける「インクルーシブ・モスク」の取り組み[佐藤香寿実]
はじめに
一、共和国価値とジェンダー・セクシュアリティ
二、「インクルーシブ・モスク」とその主導者たち
三、「インクルーシブ・モスク」の思想的特徴
おわりに
第2章 ジェンダー化されたイスラモフォビアとムスリム女性たちの運動[山下泰幸]
はじめに
一、ジェンダー化されたイスラモフォビアとフェモナショナリズム
二、ムスリム女性たちの抵抗運動とフェミニズム
おわりに
第3章 「学校とイスラーム」をめぐる論争下を生きるフランスのムスリム高校生たち――マルセイユ北地区の事例を通して[山本繭子]
はじめに
一、マルセイユのムスリムの若者たち
二、高校生たちから見た学校とイスラーム
三、考察
おわりに
〈第Ⅱ部 ヨーロッパにおけるイスラーム/ムスリム〉
第4章 イタリアにおけるムスリム共同体――公的承認の重要性と困難[アレッサンドロ・フェラーリ/伊達聖伸・見原礼子訳]
はじめに
一、イタリアにおけるムスリム諸団体の形成
二、制度的承認を求めるムスリムのさまざまな試み
おわりに
第5章 過激主義と向き合うということ――ブリュッセル・モランベークにおけるテロ事件後のコミューン再生に向けた歩み[見原礼子]
プロローグ
一、モランベークの概要
二、テロ事件後のモランベーク
おわりに
第6章 ドイツにおけるムスリムと多数派社会の交渉――キリスト教会を転用したハンブルクのアル=ヌール・モスクを中心に[和田知之]
はじめに
一、ドイツの政教制度におけるイスラーム
二、ローカルなスケールからみたイスラーム
三、教会からモスクへの転用現象
四、社会的統合のナラティブ
おわりに
〈第Ⅲ部 ヨーロッパのイスラーム/ムスリムを相対化する〉
第7章 フランスとケベックのイスラームを比較する――人口動態、イスラモフォビア、エージェンシー[伊達聖伸]
はじめに
一、歴史的前提、ムスリム人口の構成、社会のなかでの位置
二、「イスラモフォビア」という厄介な概念
三、言説のなかのエージェンシー
おわりに――比較の三つの層
第8章 ムスリムのマジョリティ性とマイノリティ性――アフリカ系アメリカ人とボスニア・ヘルツェゴビナの事例より[立田由紀恵]
はじめに
一、アフリカ系アメリカ人ムスリム――マイノリティ社会におけるマイノリティ宗教
二、ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるイスラーム
三、ボシュニヤック人とヨーロッパのムスリム移民
四、結論
第9章 ポスト世俗時代におけるムスリム女性のスポーツ参加[安達智史]
一、ポスト世俗時代におけるムスリム女性とスポーツ
二、イスラームとスポーツ
三、女性のスポーツ参加の促進に向けた国際的動向
四、国際的スポーツ組織によるムスリム女性の包摂
五、西洋におけるムスリム女性のスポーツ参加をめぐる問題①――ライシテとスポーツ
六、西洋におけるムスリム女性のスポーツ参加をめぐる問題②――イギリスのケース
おわりに――ポスト世俗時代における女性のエンパワーメント
ISBN:9784326103393
。出版社:勁草書房
。判型:A5
。ページ数:336ページ
。定価:4000円(本体)
。発行年月日:2024年03月
。発売日:2024年03月28日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRP。