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スピノザ学基礎論

スピノザの形而上学 改訂版

著:松田 克進

紙版

内容紹介

スピノザ形而上学の基礎となる「実体」「属性」「様態」という諸概念を明確化し、深淵な迷宮『エチカ』からの脱出方法を示す。

多面的なスピノザ思想を読解するために──『エチカ』は前から順に読み進めても理解できない。第1部に出てくる基本概念の意味論的種明かしが第2部の頭で行われるからである。本書は、ここを集中的・徹底的に分析し、『エチカ』の基本概念かつスピノザの世界像の基礎・土台・根底でもある「実体」「属性」「様態」を明らかにする。

目次

はじめに


第1章 スピノザ形而上学を読解する方法
 第1節 『エチカ』の叙述の問題(1)──非線形性
 第2節 『エチカ』の叙述の問題(2)──構文論と意味論の混同
 第3節 新たな読解方法

第2章 スピノザ形而上学の解釈仮説の構築
 第1節 定理7(および証明・系・備考)
 第2節 定理8(および証明・系・備考)
 第3節 定理9(および証明・系・系証明)
 第4節 定理11(および証明・系・備考)
 第5節 定理12(および証明・備考)
 第6節 定理13(および証明・系・備考)
 第7節 解釈仮説のまとめ

第3章 二重因果性の問題
 第1節 2種類の因果性
 第2節 ゲルーの「二重因果性」解釈
 第3節 クレーファーによるゲルー批判
 第4節 解決策

第4章 属性の問題(1)──「属性論争」の展開
 第1節 属性の問題とは何か
 第2節 エルトマン対フィッシャーの論争
 第3節 ウルフソン対ゲルーの論争
 第4節 実在論的解釈の〈勝利〉

第5章 属性の問題(2)──行詰りと解決策
 第1節 フィッシャー解釈とその問題
 第2節 ゲルー解釈とその問題
 第3節 カーリー解釈とその問題
 第4節 解決策

付論1 スピノザ形而上学の近似モデルとしての1次元セルオートマトン
付論2 スピノザとウカシェヴィッチ──決定論を巡る対立──
付論3 哲学史研究の哲学的意義──哲学史との間合いの取り方──

結 び

文献表
事項索引
人名索引
『エチカ』参照箇所の索引

著者略歴

著:松田 克進
松田 克進(まつだ かつのり)
1963年大阪府生まれ。1986年京都大学文学部哲学科(哲学専攻)卒業。1991年京都大学大学院文学研究科(哲学専攻)博士後期課程単位取得満期退学。現在、龍谷大学文学部教授、博士(文学)。〈著書〉:『デカルト読本』(共著)(法政大学出版局、1998年)、『哲学の歴史・第5巻 デカルト革命』(共著)(中央公論新社、2007年)、『近世哲学史点描─デカルトからスピノザへ─』(行路社、2011年)、『デカルトをめぐる論戦』(共著)(京都大学学術出版会、2013年)、等。〈訳書〉:テッド・ホンデリック『あなたは自由ですか?─決定論の哲学』(法政大学出版局、1996年)、ベルナール・ブルジョワ『ドイツ古典哲学』(共訳)(白水社、1998年)、ジル=ガストン・グランジェ『科学の本質と多様性』(共訳)(白水社、2017年)、ピエール=フランソワ・モロー『スピノザ入門[改訂新版]』(共訳)(白水社、2021年)、等。

ISBN:9784326103225
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:340ページ
定価:5800円(本体)
発行年月日:2023年06月
発売日:2023年06月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDH
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1DDF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:1DDN