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気候正義

地球温暖化に立ち向かう規範理論

編:宇佐美 誠

紙版

内容紹介

人類が直面する最大の難題―地球温暖化。政治も社会も大きな転換が求められる今、哲学・倫理学の重要論点を掘り下げる。

目次

はしがき

Ⅰ グローバルな地平

第1章 生計用排出と奢侈的排出[ヘンリー・シュー]
 1 序論
 2 国際的正義の枠組み
 3 包括性対正義

第2章 気候正義の分配原理[宇佐美誠]
 1 温室効果ガス排出権の分配的正義
 2 過去の排出は権利を基礎づけるか
 3 平等分配は望ましいか
 4 発展の権利は排出を根拠づけるか
 5 基底的ニーズの充足へ
 6 気候正義と分配的正義

第3章 部分的遵守状況における義務の範囲──気候変動問題を事例として[佐野亘]
 1 はじめに
 2 「肩代わり」の義務への批判
 3 肩代わりの義務を正当化する議論
 4 気候変動問題への示唆

Ⅱ 世代間の地平

第4章 未来世代に配慮すべきもう一つの理由[森村進]
 1 はじめに
 2 シェフラーの議論の紹介
 3 シェフラーの依存テーゼの実践的含意

第5章 気候変動の正義と排出をめぐる通時的問題──世代間正義を軸として[井上彰]
 1 はじめに
 2 気候変動の正義をめぐる諸問題
 3 契約論に基づく世代間正義──正義に適った貯蓄原理をめぐって
 4 現代の平等論に基づく世代間正義論
 5 結語

第6章 気候変動の歴史的責任[宇佐美誠・阿部久恵]
 1 主題の設定
 2 責任概念の解明
 3 集合責任か責任継承か
 4 受益者負担論
 5 結論

Ⅲ 諸学の内省

第7章 環境の経済哲学序説[後藤玲子]
 1 はじめに
 2 気候変動問題への経済的アプローチ
 3 存在における収束不可能性と行為におけるリーチ可能性
 4 連続性の事実の哲学
 5 結びに代えて

第8章 気候変動においてカントは動物を考慮するか[瀧川裕英]
 1 気候変動と正義
 2 カントと動物
 3 間接的義務テーゼ
 4 カント主義者と動物
 5 我汝契約と動物

人名索引
事項索引

著者略歴

編:宇佐美 誠
宇佐美 誠(うさみ まこと)
京都大学教授。法哲学専攻。『公共的決定としての法』(木鐸社、1993年)、『決定』(東京大学出版会、2000年)、『法学と経済学のあいだ』(編著、勁草書房、2010年)、『ドゥオーキン』(共編著、勁草書房、2011年)、『法思想史の新たな水脈』(共編著、昭和堂、2013年)ほか。

ISBN:9784326102723
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:216ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2019年01月
発売日:2019年01月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQ