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メタ倫理学入門

道徳のそもそもを考える

著:佐藤 岳詩

紙版

内容紹介

善いとか悪いってどういうこと? 倫理の問題に答えなんてあるの? 一歩下がって考えることで、深くて広い新しい世界が見えてくる。

「私たちは何をすべきか」を考える規範倫理学に対して、一歩後ろから「そもそも、なすべき正しいこととは何なのか」を考えるメタ倫理学。暗黙の前提をひっくり返し、議論の土台を新しく整備して、先入観や思い込みに気づかせてくれるのがメタ倫理学の役割だ。初学者向けに丁寧に論点を整理し、読者が自分の倫理を考える旅へといざなう。

目次

はじめに

Ⅰ 道徳のそもそもをめぐって

第一章 メタ倫理学とは何か
 1 倫理学とは何か
 2 倫理学の分類
 3 メタ倫理学は何の役に立つのか
 4 メタ倫理学では何が問われるのか
 5 本書の構成

第二章 メタ倫理学にはどんな立場があるか
 1 客観主義と主観主義
 2 道徳的相対主義
 3 客観主義と主観主義のまとめ

Ⅱ 道徳の存在をめぐって

第三章 「正しいこと」なんて存在しない――道徳の非実在論
 1 道徳の存在論
 2 錯誤理論――道徳の言説はすべて誤り
 3 道徳の存在しない世界で
 4 道徳非実在論のまとめ

第四章 「正しいこと」は自然に客観的に存在する―― 道徳実在論①自然主義
 1 実在論の考え方と二つの方向性
 2 素朴な自然主義(意味論的自然主義)――もっともシンプルな自然主義
 3 還元主義的自然主義――道徳を他の自然的なものに置き換える
 4 非還元主義的自然主義――道徳は他と置き換えられない自然的なもの
 5 自然主義全般の問題点
 6 自然主義的実在論のまとめ

第五章 「正しいこと」は不自然であろうと存在する――道徳実在論②非自然主義的実在論
 1 神命説
 2 強固な実在論
 3 理由の実在論
 4 非自然主義的実在論のまとめ

第六章 そもそも白黒つけようとしすぎじゃないのか――第三の立場と静寂主義
 1 準実在論――道徳は実在しないが、実在とみなして構わない
 2 感受性理論――道徳の実在は私たちの感受性を必要とする
 3 手続き的実在論――道徳は適切な手続きを通して実在する
 4 静寂主義――そもそも実在は問題じゃない
 5 第三の立場および第Ⅱ部のまとめ

Ⅲ 道徳の力をめぐって

第七章 道徳判断を下すとは自分の態度を表すことである――表出主義
 1 道徳的な問いに答えること
 2 表出主義
 3 表現型情緒主義――道徳判断とは私たちの情緒の表現である
 4 説得型情緒主義――道徳判断とは説得の道具である
 5 指令主義――道徳判断とは勧めであり指令である
 6 規範表出主義――道徳判断とは私たちが受け入れている規範の表出である
 7 表出主義のまとめ

第八章 道徳判断を下すとは事実を認知することである――認知主義
 1 認知主義
 2 内在主義と外在主義
 3 ヒューム主義――信念と欲求は分離されねばならないか
 4 認知は動機づけを与えうるか
 5 道徳判断の説明のまとめ

第九章 そもそも私たちは道徳的に善く振る舞わねばならないのか
 1 Why be Moral問題
 2 道徳的に善く振る舞うべき理由などない
 3 道徳的に善く振る舞うべき理由はある――プリチャードのジレンマ
 4 道具的価値に基づく理由
 5 最終的価値に基づく理由――理性主義
 6 そもそも理由なんていらなかった?――直観主義、再び
 7 Why be Moral問題および第Ⅲ部のまとめ

おわりに

あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引

著者略歴

著:佐藤 岳詩
佐藤 岳詩(さとう たけし)

1979年北海道岩見沢市に生まれる. 2010年北海道大学大学院文学研究科博士課程修了. 博士(文学). 現在, 熊本大学大学院人文社会科学研究部准教授. 著書:『R・M・ヘアの道徳哲学』(勁草書房, 2012年), 『性(愛・性・家族の哲学②)』(共著, ナカニシヤ出版, 2016年), 主論文:「ハイブリッド表出主義と指令主義の再評価」『倫理学年報』第61集(2012), 「現代徳倫理学における自然主義と徳の規準」『実践哲学研究』第36号(2013), 「倫理学における内的視点と外的視点――「全一性に基づく反論」と間接功利主義」『西日本哲学年報』第23号(2015).

ISBN:9784326102624
出版社:勁草書房
判型:A5
ページ数:352ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2017年08月
発売日:2017年09月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDTQ