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複素関数入門

留数計算への道すじ

著:中島 匠一

紙版

内容紹介

本書は、複素関数論をなるべくわかりやすく解説することを目的とした「入門書」である。
執筆においては、「”入門書”としての性質を意識し、解説は可能な限り平易となるようにすること」、「応用的な定理などの紹介よりも、”基本事項”の解説に徹すること」、「例題を多く提示し、計算過程もなるべく略さず説明すること」の3点を常に念頭に置き、複素数の導入から、正則関数の諸理論を経て、留数定理による積分計算の求め方まで、終始懇切丁寧な解説を心掛けた。

複素関数は、純粋数学のみならず電気回路の設計のような実用面においても非常に豊かな広がりをもつ。本書で取り上げた「基本事項」を深く理解すれば、今後、複素関数に関するあらゆる応用例に出会ったとしても、戸惑うことなく対応できるだけの基礎力が身に着けられているはずである。

目次

第1章 複素数
1.1 複素数と,その演算
1.2 複素数平面
1.3 指数関数の拡張;オイラーの等式
1.4 複素数平面内の領域

第2章 複素関数
2.1 複素関数とは?
2.2 簡単な複素関数の例
2.3 多項式(関数)と有理関数
2.4 指数関数と対数関数
2.5 三角関数

第3章 正則関数
3.1 正則関数の定義と性質
3.2 正則関数の性質
3.3 コーシーリーマンの関係式
3.4 正則関数の例

第4章 複素関数の線積分
4.1 複素数平面上の曲線
4.2 複素関数の線積分
4.3 線積分の性質
4.4 実積分と線積分

第5章 コーシーの積分定理と積分公式
5.1 コーシーの積分定理
5.2 コーシーの積分公式
5.3 積分定理(=定理5.1)の証明
5.4 積分公式(=定理5.10)の証明

第6章 ベキ級数
6.1 ベキ級数と,その収束半径
6.2 ベキ級数が定める正則関数
6.3 ベキ級数の加減乗除
6.4 ベキ級数による指数関数三角関数の定義

第7章 正則関数の性質とその応用
7.1 正則関数のテイラー展開
7.2 正則関数の零点と,その位数
7.3 一致の定理
7.4 最大値の原理
7.5 リュービルの定理
7.6 代数学の基本定理

第8章 複素関数の特異点
8.1 複素関数の特異点
8.2 特異点でのローラン展開
8.3 極の位数と留数の計算法

第9章 留数定理とその応用
9.1 留数定理
9.2 留数定理による定積分の計算(その1)
9.3 留数定理による定積分の計算(その2)
9.4 留数定理による定積分の計算(その3)
9.5 留数定理による定積分の計算(その4)

付録 補足
A.1 複素数の数列と級数
A.2 実数変数の複素数値関数の微積分
A.3 集合の上限と数列の上極限

参考文献/索引

ISBN:9784320114760
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:384ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2022年08月
発売日:2022年08月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBK