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解析学基礎

著:原岡 喜重

紙版

内容紹介

―古典的な理論構成に則りつつ,現代の標準的概念を用いて解析学の基礎部分全体を再構成した,新たな定番書―
 解析学は変化を調べる数学で,自然現象に潜む数学的構造を深い洞察により明らかにしたものである。自然科学において解析学が応用される場面は多く,数学を専攻する人に限らず,理工系をはじめとした応用の立場からも解析学の基礎を学ぶ意義は大きい。
 本書は,微分積分学の具体的な計算(Calculus)をある程度習得した読者に向けて,解析学(Analysis)の基礎を無理なく自然な形で学べる教科書を目指して執筆された。
 本書では,集合と位相,線形代数,代数系の初歩などのように,通常は微分積分学の範囲外であるため用いられない事柄についても,論理が明解になり見通しがよくなるならば積極的に導入されている。これらの概念について未習の読者のために,序章で丁寧な解説も設けられている。
 本書で取り上げられる概念・用語・定理は網羅的になることを避けて精選されており,解析学の全体像を把握することができる。また,定理はその証明とともに身につけられるよう簡潔に記述され,証明は最も自然で素直なものが構成・考案されている。
 さらに演習問題については,解析学の基礎的な概念を習得するための演習問題,様々な実例に触れる演習問題が多数設けられ,詳細な解答も付加されている。
 初学者および解析学のユーザーの立場に立ち,わかりやすさと使いやすさを追求した教科書である。

目次

序章
0.1 ε-δ論法
 0.1.1 数列の極限
 0.1.2 級数の収束
 0.1.3 関数の極限
0.2 同値関係
0.3 集合と位相
 0.3.1 集合と写像
 0.3.2 位相
 0.3.3 距離
 0.3.4 可算集合
0.4 代数系
 0.4.1 群
 0.4.2 環
 0.4.3 体
0.5 線形代数
0.6 多項式

第1章 実数
1.1 Cauchy列
1.2 実数の構築
1.3 実数の基本性質
 1.3.1 実数の完備性
 1.3.2 実数の連続性
 1.3.3 実数の実現と非可算性
1.4 複素数
 1.4.1 複素数の代数的構成
 1.4.2 絶対値と偏角
1.5 Rnの位相
1.6 完備距離空間

第2章 関数
2.1 連続関数
 2.1.1 関数の極限
 2.1.2 連続性
2.2 微分
 2.2.1 微分可能性
 2.2.2 平均値の定理
 2.2.3 Taylorの定理
 2.2.4 l'Hospitalの定理

第3章 積分
3.1 Riemann積分の定義
3.2 基本的性質
3.3 微分積分学の基本定理
3.4 置換積分
3.5 部分積分
3.6 広義積分
3.7 面積,曲線の長さ
 3.7.1 面積
 3.7.2 曲線とその長さ
 3.7.3 円周率
3.8 線積分
3.9 Riemann-Stieltjes積分

第4章 級数,ベキ級数
4.1 級数
4.2 ベキ級数
4.3 両方向級数,2重級数
4.4 無限乗積
4.5 連分数

第5章 関数列
5.1 一様収束
 5.1.1 一様収束の定義
 5.1.2 一様収束する関数列の性質
 5.1.3 広義一様収束
5.2 関数項級数
 5.2.1 関数項級数としてのベキ級数
 5.2.2 Taylor展開可能性再考
5.3 連分数展開
5.4 Ascoli-Arzelàの定理

第6章 多変数関数
6.1 連続関数
6.2 偏微分
6.3 全微分可能
6.4 高階偏導関数
6.5 超曲面
6.6 積分記号下の微分法
6.7 重積分
 6.7.1 2重積分
 6.7.2 曲面積
 6.7.3 3重積分,n重積分

第7章 逆写像定理,陰関数定理
7.1 逆写像定理
7.2 陰関数定理
7.3 部分多様体
7.4 Lagrangeの未定乗数法

第8章 コンパクト性
8.1 コンパクト性の定義とRnのコンパクト集合
8.2 連続関数とコンパクト性

第9章 初等関数
9.1 指数関数
9.2 対数関数
9.3 三角関数
 9.3.1 三角関数の定義
 9.3.2 三角関数の基本性質
9.4 逆三角関数
9.5 ガンマ関数
9.6 初等関数の不定積分
 9.6.1 有理関数の不定積分
 9.6.2 指数関数の有理式の不定積分
 9.6.3 三角関数の有理式の不定積分
 9.6.4 無理関数の不定積分
 9.6.5 求積可能でない不定積分

ISBN:9784320114579
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:416ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2021年11月
発売日:2021年11月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBK