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確率解析への誘い

確率微分方程式の基礎と応用

著:成田 清正

紙版

内容紹介

 偶然現象の数理モデルに熱い視線が注がれている今日,学びのツールとして重要な確率解析の中から,確率微分方程式についての基礎から応用までの道のりを丁寧に辿り深い内容を面白く伝える。
大学初年次の学習内容だけで必要な理論を読み解き,金融などタイムリーな話題に絡めた応用までの展開を具体的にイメージできるようにした。
そこで,次の5点を念頭においた。
・確率論の基礎概念から偶然不規則な揺らぎノイズの応用までを平易に通覧して,この1冊だけで知的経験の拡大が図れるようにする。
・スマート社会において,リスクを最小にしてマネジメントあるいはデザインしようと努める学生・教育者・実務家を対象に,高度な専門分野への架け橋となるようにする。
・伊藤清先生による確率積分の勘所を,具体的な読み取りの繰り返しによって押さえることができるようにする。
・「非常に簡単な問題も,詳しく調べれば一般的な例にも繋がる・分かる」という実感がもてるようにする。そのために,節ごとにキーポイントとなる例題と問を設ける。
・線形現象,測度の変換,パラメータの統計的推定,経路の安定性問題,人口動態,競争と共存,ブラック・ショールズモデルへの道案内もする。

偶然現象を学びたいと思うすべての読者に向けて詳しく解説する。

目次

第1章 解析学からの準備
1.1 数列の極限
1.2 函数の極限
1.3 微分法
1.4 積分法
1.5 2変数関数の偏微分
1.6 2重積分
1.7 無限級数
1.8 関数項級数
1.9 常微分方程式
1.10 関数の変動と2次変分

第2章 確率論の基礎概念
2.1 離散型の確率モデル
2.2 連続型の確率モデル
2.3 確率変数の平均
2.4 確率変数の変換と収束
2.5 独立性と共分散
2.6 正規分布
2.7 条件付き平均
2.8 連続時間の確率過程

第3章 ブラウン運動
3.1 ブラウン運動の定義
3.2 ブラウン運動の増分
3.3 ブラウン運動の見本経路
3.4 ガウス過程としてのブラウン運動
3.5 マルコフ過程としてのブラウン運動

第4章 伊藤の確率積分
4.1 階段過程に対する確率積分
4.2 適合過程に対する確率積分
4.3 マルチンゲールをつくるリーマン和
4.4 確率積分の実際
4.5 確率積分の2次変分と共変動
4.6 伊藤過程と確率微分
4.7 伊藤の単純公式
4.8 伊藤の一般公式
4.9 多次元の伊藤公式
4.10 ストラトノビッチ積分
4.11 マルチンゲールの表現定理

第5章 確率微分方程式
5.1 確率微分方程式で表されるモデル
5.2 ドリフトと拡散の係数
5.3 確率微分方程式の解の存在と一意性
5.4 リプシッツ条件と線形増大度条件の役割
5.5 多次元の確率微分方程式

第6章 確率微分方程式の解の性質
6.1 マルコフ過程としての解
6.2 チャップマン・コルモゴロフ方程式
6.3 解の積率評価
6.4 拡散過程としての解
6.5 コルモゴロフの前向きと後ろ向きの方程式
6.6 拡散過程の関数の平均と偏微分方程式
6.7 時間的に一様な拡散過程と不変測度

第7章 応用トピックス
7.1 線形確率微分方程式
7.2 確率測度の変換とギルサノフの公式
7.3 パラメータの統計的推定
7.4 確率微分方程式の解の安定性
7.5 人口動態のロジスティックモデル
7.6 競争と共生のロトカ・ボルテラモデル
7.7 カルマン・ブーシーのフィルター問題

第8章 金融のブラック・ショールズモデル
8.1 オプションとブラック・ショールズモデル
8.2 裁定機会,リスク中立確率,市場の完備性
8.3 ブラック・ショールズの偏微分方程式
8.4 熱方程式とブラック・ショールズのPDE
8.5 リスク中立確率とマルチンゲールによる価格付け
8.6 ヘッジ戦略

関連図書/索引

ISBN:9784320111431
出版社:共立出版
判型:菊判
ページ数:384ページ
定価:4300円(本体)
発行年月日:2016年09月
発売日:2016年09月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBT