出版社を探す

クロスセクショナル統計シリーズ 9

こころを科学する

心理学と統計学のコラボレーション

編著:大渕 憲一
他編:照井 伸彦
他編:小谷 元子

紙版

内容紹介

「佳人薄命」「笑う門には福来る」など世間には人の心に関する多くの言説がある。それらはどこまで真実なのだろうか? 多くの人たちが一度は抱くこうした疑問に対して,近年の心理学的研究の中には,これに答えられそうなものを見出すことができる。本書では,心の言説に関する7つのテーマを取り上げ,心に関する最新の科学的研究をもとに,その真実性を吟味する。

本書は単なる教養書を超えて,心の科学的研究の方法を指南する。研究の成果だけではなく,研究の具体的なやり方,手続き,統計的分析方法をできるだけ詳しく紹介し,「心を科学する」とは,実際にはどのように行われるのかを読者にイメージしてもらえるよう工夫している。これによって,文系,理系を問わず,人間の心や行動の研究に関心を持つ学部・大学院の学生たちに対しても,その関心に応えられるものとなっている。

目次

はじめに:「こころ」の言説,その真実性を科学する(大渕憲一)

第1章 心の持ち方は,健康と寿命に影響するのか(川嶋伸佳)
1.1 心と健康
1.2 夫婦関係と健康
1.3 性格と健康
1.4 自己統制と健康
1.5 結語

第2章 心の特性から社会的成功を予測できるか(塩谷芳也)
2.1 パーソナリティと労働市場における成功
2.2 パーソナリティの構造
2.3 パーソナリティと就職
2.4 パーソナリティと仕事の成果
2.5 パーソナリティと賃金
2.6 結語

第3章 男と女の人間関係:男女の心はどう違うのか(上原俊介)
3.1 男女関係の仕組み
3.2 愛し合う心理
3.3 男女における人間観
3.4 良好な男女関係の形成と維持
3.5 結語

第4章 自由意志はどこまで自由か(福野光輝)
4.1 自由意志は存在するか
4.2 自由意志感覚は選択前か後か:選択におけるポストディクティブ効果
4.3 自由意志は幻か:他人の手の動きに自分の意志を感じる
4.4 自由意志の存在を信じることの意義:自由意志信念は道徳的行動を促進する
4.5 自由意志信念は他者に対する見方にも影響するか:自由意志信念が量刑判断に与える影響
4.6 結語

第5章 人の行動はどこまで遺伝の影響を受けているのか(高橋雄介)
5.1 行動遺伝学とは何か
5.2 行動遺伝学モデルの基礎
5.3 単変量遺伝分析
5.4 多変量遺伝分析
5.5 遺伝・環境交互作用
5.6 結語

第6章 犯罪者の更生は可能か:性犯罪者処遇プログラムの効果をめぐって(森 丈弓)
6.1 はじめに
6.2 再犯防止プログラム
6.3 性犯罪の態様と処遇プログラム
6.4 効果検証の実際
6.5 結語

第7章 民族紛争の解決は不可能なのか(柿本敏克)
7.1 集団間紛争解決の心理学:理論的枠組み
7.2 民族紛争理解の視点
7.3 異民族集団成員への道徳性評価と脅威の知覚,接触回避(研究例1)
7.4 外集団との接触が偏見を減らすのか,偏見が接触を減らすのか(研究例2)
7.5 偏見低減に及ぼす直接的接触と間接的接触の効果(研究例3)
7.6 ダイバーシティ政策と社会規範,集団間関係(研究例4)
7.7 結語

索 引

ISBN:9784320111257
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:248ページ
定価:3300円(本体)
発行年月日:2019年03月
発売日:2019年03月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JM