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医薬データ解析のためのベイズ統計学

著:Emmanuel Lesaffre
著:Andrew B Lawson
監訳:宮岡 悦良

紙版

内容紹介

 本書は,近年,非常に注目を集めているベイズ統学計に関する医薬統計分野における非常に優れた書“Bayesian Biostatistics”の翻訳である。
 ベイズ統計学の入門基礎(第Ⅰ部)から,MCMCなどを含めた最近の計算法,モデル化や変数選択法など(第Ⅱ部),そして,バイオアッセイ,測定誤差,生存解析,画像解析などの専門的トピック(第Ⅲ部)にわたり,ベイズ統計の手法を,医学薬学での豊富な例を用いて解説している。
 また,WinBUGSやSASなどの統計ソフトを用いたデータ解析を詳しく紹介しており,医薬統計分野の実務家にとっても参考となる。

目次

第I部 ベイズ法の基本概念

第1章 統計的推測の方法3
1.1 頻度論的アプローチ:批判的な考察
  1.1.1 古典的な統計アプローチ
  1.1.2 エビデンスの指標としてのP値
  1.1.3 エビデンスの指標としての信頼区間
  1.1.4 2 つの頻度論の理論的枠組みの歴史的背景
1.2 尤度関数にもとづく統計的推測
  1.2.1 尤度関数
  1.2.2 尤度原理
1.3 ベイズ流アプローチ:基本的考え方
  1.3.1 はじめに
  1.3.2 ベイズの定理― 離散型の単純な例
1.4 展望
演習問題

第2章 ベイズの定理:事後分布の計算
2.1 はじめに
2.2 ベイズの定理:2値の場合
2.3 ベイズ統計学における確率
2.4 ベイズの定理:離散値の場合
2.5 ベイズの定理:連続値の場合
2.6 2項分布の場合
2.7 正規分布の場合
2.8 ポアソン分布の場合
2.9 h(θ)の事前分布と事後分布
2.10 ベイズ流アプローチと尤度論的アプローチ
2.11 ベイズ流アプローチと頻度論的アプローチ
2.12 ベイズ流アプローチでのいくつかの流儀
2.13 ベイズ流アプローチの歴史
2.14 終わりに
演習問題

第3章 ベイズ推測入門
3.1 はじめに
3.2 確率による事後分布の要約
3.3 事後分布の要約量
  3.3.1 事後分布の位置とばらつきの特徴付け
  3.3.2 事後区間推定
3.4 予測分布
  3.4.1 頻度論的アプローチによる予測
  3.4.2 ベイズ流アプローチによる予測
  3.4.3 応用
   3.4.3.1 正規分布の場合
   3.4.3.2 2項分布の場合
   3.4.3.3 ポアソン分布の場合
3.5 交換可能性
3.6 事後分布に対する正規近似
  3.6.1 尤度の正規近似にもとづくベイズ流の解析
  3.6.2 事後分布の漸近的性質
3.7 事後分布に対する数値計算
  3.7.1 数値積分
  3.7.2 事後分布からのサンプリング
   3.7.2.1 モンテカルロ積分
   3.7.2.2 汎用サンプリングアルゴリズム
  3.7.3 事後要約量の選択
3.8 ベイズ流仮説検定
  3.8.1 信用区間にもとづく推論
  3.8.2 ベイズファクター
  3.8.3 ベイズ流仮説検定と頻度論の仮説検定
   3.8.3.1 P値,ベイズファクター,事後確率
   3.8.3.2 Jeffreys-Lindley-Bartlett のパラドックス
   3.8.3.3 検定と推定
3.9 終わりに
演習問題

第4章 複数のパラメータ
4.1 はじめに
4.2 同時事後分布と周辺事後分布での推測
4.3 μとσ2が未知の正規分布
  4.3.1 μとσ2に関する事前の知識がない場合
  4.3.2 過去のデータが利用可能な場合
  4.3.3 専門家の知識が利用可能な場合
4.4 多変量分布
  4.4.1 多変量正規分布と関連する分布
  4.4.2 多項分布
4.5 ベイズ推測の頻度論的な性質
4.6 事後分布からのサンプリング:合成法
4.7 ベイズ流線形回帰モデル
  4.7.1 線形回帰の頻度論的アプローチ
  4.7.2 無情報ベイズ流線形回帰モデル
  4.7.3 線形回帰分析の事後要約量
  4.7.4 事後分布からのサンプリング
  4.7.5 情報のあるベイズ線形回帰モデル
4.8 ベイズ流一般化線形モデル
4.9 より複雑な回帰モデル
4.10 終わりに
演習問題

第5章 事前分布の選択
5.1 はじめに
5.2 ベイズの定理の逐次利用
5.3 共役事前分布
  5.3.1 1変量分布
  5.3.2 正規分布 ― 平均と分散が未知
  5.3.3 多変量分布
  5.3.4 条件付き共役と準共役事前分布
  5.3.5 超事前分布
5.4 無情報事前分布
  5.4.1 はじめに
  5.4.2 無情報
  5.4.3 無情報事前分布選択の一般的原理
   5.4.3.1 Jeffreysの事前分布
   5.4.3.2 データ変換尤度原理
   5.4.3.3 無情報事前分布を選択するための形式的ルール
  5.4.4 非正則事前分布
  5.4.5 弱情報/漠然事前分布
5.5 情報のある事前分布
  5.5.1 はじめに
  5.5.2 データにもとづく事前分布
  5.5.3 事前知識の抽出
   5.5.3.1 抽出テクニック
   5.5.3.2 識別可能性の問題
  5.5.4 典型的な事前分布
   5.5.4.1 懐疑的事前情報
   5.5.4.2 熱狂的事前分布
5.6 回帰モデルにおける事前分布
  5.6.1 正規線形回帰
   5.6.1.1 無情報事前分布
   5.6.1.2 共役事前分布
   5.6.1.3 過去のデータと専門家知識にもとづく事前分布
  5.6.2 一般化線形モデル
   5.6.2.1 無情報事前分布
   5.6.2.2 共役事前分布
   5.6.2.3 過去のデータと専門家知識にもとづく事前分布
  5.6.3 ベイズ法のソフトでの事前分布の特定
5.7 事前分布のモデル化
5.8 その他の回帰モデル
5.9 終わりに
演習問題

第6章 マルコフ連鎖モンテカルロサンプリング
6.1 はじめに
6.2 ギブス・サンプラー
  6.2.1 2変量ギブス・サンプラー
  6.2.2 一般的なギブス・サンプラー
  6.2.3 備考
  6.2.4 ギブス・サンプリングのまとめ
  6.2.5 スライス・サンプラー
6.3 メトロポリス(-ヘイスティングス)・アルゴリズム
  6.3.1 メトロポリス・アルゴリズム
  6.3.2 メトロポリス-ヘイスティングスアルゴリズム
  6.3.3 備考
  6.3.4 メトロポリス(-ヘイスティングス)・アルゴリズムのまとめ
6.4 MCMC法の正当性
  6.4.1 MHアルゴリズムの特徴
  6.4.2 ギブス・サンプラーの特徴
6.5 サンプラーの選択
6.6 リバーシブルジャンプMCMCアルゴリズム
6.7 終わりに
演習問題

第7章 マルコフ連鎖の収束の評価と改善
7.1 はじめに
7.2 マルコフ連鎖の収束の評価
  7.2.1 マルコフ連鎖に対する収束の定義
  7.2.2 マルコフ連鎖の収束の判定
  7.2.3 収束を評価するためのグラフを用いた方法
  7.2.4 形式的な診断法(formal diagnostic tests)
  7.2.5 モンテカルロ標準誤差の計算
  7.2.6 形式的な診断法の実際の経験
7.3 収束の加速
  7.3.1 はじめに
  7.3.2 加速の方法
7.4 収束の評価と加速のための実践的な手引き
7.5 データ拡大
7.6 終わりに
演習問題

第8章 ソフトウェア
8.1 WinBUGSと関連ソフトウェア
  8.1.1 最初の解析
  8.1.2 サンプラーに関する情報
  8.1.3 収束の診断と加速
  8.1.4 ベクトルと行列の操作
  8.1.5 バッチモード
  8.1.6 トラブルシューティング
  8.1.7 有向非巡回グラフ
  8.1.8 モジュールの追加:GeoBUGSとPKBUGS
  8.1.9 関連ソフトウェア
8.2 SASを用いたベイズ分析
  8.2.1 GENMODプロシジャを用いた解析
  8.2.2 MCMC プロシジャを用いた解析
  8.2.3 その他のベイズ分析用プログラム
8.3 その他のベイズ分析用ソフトウェアとその比較
  8.3.1 その他のベイズ分析用ソフトウェア
  8.3.2 ベイズ分析用ソフトウェアの比較
8.4 終わりに
演習問題


第II部 統計モデルのためのベイズ法

第9章 階層モデル
9.1 はじめに
9.2 ポアソン・ガンマ階層モデル
  9.2.1 はじめに
  9.2.2 モデルの指定
  9.2.3 事後分布
  9.2.4 パラメータの推定
  9.2.5 事後予測分布
9.3 完全ベイズ流アプローチと経験ベイズ流アプローチ
9.4 正規階層モデル
  9.4.1 はじめに
  9.4.2 正規階層モデル
  9.4.3 パラメータの推定
  9.4.4 事後予測分布
  9.4.5 完全ベイズ流アプローチと経験ベイズ流アプローチの比較
9.5 混合モデル
  9.5.1 はじめに
  9.5.2 線形混合モデル
  9.5.3 一般化線形混合モデル
  9.5.4 非線形混合モデル
  9.5.5 さらなる拡張
  9.5.6 変量効果と事後予測分布の推定
  9.5.7 レベル-2分散の事前分布の選択
9.6 事後分布の性質
9.7 収束の評価と加速
9.8 ベイズ流と頻度論的階層モデルの比較
  9.8.1 レベル-2分散の推定
  9.8.2 ML推定,REML推定とベイズ推定の比較
9.9 終わりに
演習問題

第10章 モデル構築とモデル評価
10.1 はじめに
10.2 モデル選択に関する指標
  10.2.1 ベイズファクター
   10.2.1.1 モデル選択における利用
   10.2.1.2 ベイズファクターの計算
   10.2.1.3 ベイズファクターの賛否
   10.2.1.4 様々なベイズファクター:擬似ベイズファクター
  10.2.2 モデル選択のための情報量理論の指標
   10.2.2.1 AICとBIC
   10.2.2.2 デビアンス情報量規準
   10.2.2.3 モデル選択の情報量規準の評価と最近の発展
  10.2.3 予測損失関数にもとづくモデル選択
10.3 モデル評価
  10.3.1 はじめに
  10.3.2 モデル評価の手法
   10.3.2.1 頻度論のモデル評価
   10.3.2.2 ベイズ流の外れ値の検出
  10.3.3 感度分析
  10.3.4 事後予測確認
  10.3.5 モデルの拡張
   10.3.5.1 はじめに
   10.3.5.2 分布の仮定の一般化
   10.3.5.3 リンク関数の一般化
   10.3.5.4 線形性の仮定の緩和
10.4 終わりに
演習問題

第11章 変数選択
11.1 はじめに
11.2 古典的な変数選択
  11.2.1 変数選択法
  11.2.2 頻度論における正則化
11.3 ベイズ流変数選択:概念と課題
11.4 ベイズ流変数選択入門
  11.4.1 小さなKに対する変数選択
  11.4.2 大きいKに対する変数選択
11.5 Zellnerのg-事前分布にもとづく変数選択
11.6 リバーシブルジャンプMCMCにもとづく変数選択
11.7 スパイク・スラブ事前分布
  11.7.1 確率的探索変数選択
  11.7.2 ギブス変数選択
  11.7.3 SSVSを用いた従属変数選択
11.8 ベイズ流正則化
  11.8.1 ベイズ流LASSO回帰
  11.8.2 エラスティックネットとベイズ流LASSOのさらなる拡張
11.9 多数の回帰変数がある場合
11.10 ベイズ流モデル選択
11.11 ベイズ流モデル平均化
11.12 終わりに
演習問題


第III部 ベイズ法の応用

第12章 バイオアッセイ
12.1 バイオアッセイの要点
  12.1.1 細胞アッセイ
  12.1.2 動物アッセイ
12.2 包括的なin vivoの実例
12.3 エイムス・サルモネラ変異原性分析
12.4 マウスリンフォーマ試験(L5178Y TK+/-)
12.5 終わりに

第13章 測定誤差
13.1 連続型の測定誤差
  13.1.1 変数の測定誤差
  13.1.2 線形モデルと非線形モデルの予測子における2種類の測定誤差
  13.1.3 予測子の測定誤差の調整
   13.1.3.1 hdl-ldlの例の解析
  13.1.4 非加法誤差(nonadditive error)とその他の拡張
13.2 離散型の測定誤差
  13.2.1 誤判別の原因
  13.2.2 2値予測因子の誤判別
   13.2.2.1 例:IRAS多施設共同試験
  13.2.3 2値応答変数の誤判別
   13.2.3.1 例: Signal-Tandmobiel試験における虫歯の既往を得点化する際の誤判別誤差
13.3 終わりに

第14章 生存時間解析
14.1 基本用語
  14.1.1 生存時間の分布
  14.1.2 打ち切り
  14.1.3 変量効果の特定
  14.1.4 一般的なハザードモデル
  14.1.5 比例ハザードモデル
  14.1.6 変量効果を含むコックス回帰モデル
14.2 ベイズモデル
  14.2.1 ワイブル生存時間モデル
  14.2.2 ベイズ加速モデル
14.3 応用例
  14.3.1 胃がん研究
  14.3.2 Louisiana 州における前立腺がん研究:空間加速モデル
14.4 終わりに

第15章 経時的解析
15.1 固定期間
  15.1.1 はじめに
  15.1.2 古典的な成長曲線の例
   15.1.2.1 線形構造
   15.1.2.2 共分散構造
   15.1.2.3 事前分布
   15.1.2.4 ラットデータへの適用
  15.1.3 代替のデータモデル
   15.1.3.1 てんかんの例
15.2 ランダムなイベント時間
15.3 欠測データの処理
  15.3.1 はじめに
  15.3.2 応答欠測
  15.3.3 欠測メカニズム
   15.3.3.1 完全なランダム欠測(MCAR, Missing completely at randam)
   15.3.3.2 ランダム欠測(MAR, Missing at randam)
   15.3.3.3 非ランダム欠測(MNAR,Missing not at random)
  15.3.4 ベイズ流の検討
  15.3.5 予測子の欠測
15.4 経時応答と生存時間応答の同時モデリング
  15.4.1 はじめに
  15.4.2 例題
   15.4.2.1 経時モデル
   15.4.2.2 生存モデル
   15.4.2.3 結合モデル
   15.4.2.4 結果
15.5 終わりに

第16章 空間データへの応用:疾病地図と画像解析
16.1 はじめに
16.2 疾病地図
  16.2.1 一般的な空間疫学的な問題
   16.2.1.1 相対リスク
   16.2.1.2 標準化
   16.2.1.3 交絡因子と貧困指標
  16.2.2 いくつかの空間統計学的な問題
  16.2.3 カウントデータモデル
  16.2.4 応用分野:疾病地図・リスク推定
  16.2.5 応用分野:疾病クラスタリング
   16.2.5.1 フォーカスドクラスタリング
   16.2.5.2 ノンフォーカスドクラスタリング
   16.2.5.3 フォーマルモデル
  16.2.6 応用分野:生態学的解析
16.3 画像解析
  16.3.1 fMRIのモデル化
   16.3.1.1 空間モデル
   16.3.1.2 時間的な(temporal)モデル
   16.3.1.3 時空間(spatio-temporal)モデル
  16.3.2 ソフトウェアについての注意

第17章 最終章
17.1 本書で取り上げたもの
17.2 さらなる発展
  17.2.1 医学における意思決定
  17.2.2 臨床試験
  17.2.3 ベイジアンネットワーク
  17.2.4 バイオインフォマティクス
  17.2.5 欠測データ
  17.2.6 混合分布モデル
  17.2.7 ノンパラメトリックベイズ法
17.3 他の著書

付録:確率分布
A.1 はじめに
A.2 1変量連続型分布
A.3 1変量離散型分布
A.4 多変量分布

参考文献

索引

ISBN:9784320111141
出版社:共立出版
判型:菊判
ページ数:660ページ
定価:9000円(本体)
発行年月日:2016年02月
発売日:2016年02月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PBT