出版社を探す

認知科学の探究

心の生得性

言語・概念獲得に生得的制約は必要か

編:日本認知科学会
著:今井 むつみ

紙版

内容紹介

人間の知性とはいかなる性質のものか、人間の知性の起源は何なのか、人間が様々なことを学習していく上での生得的に備わった学習の基盤とは何か、という人間の本質を理解する本。
本書では、認知機構の生得性に関して、一つの立場に偏らないように、生得性を支持する立場、反対の立場の両方から論文を集めている。 雑誌「認知科学」Vol.4、 No.1 で特集した「言語獲得」を軸に構成した。

目次

第1章 第2言語獲得から見た言語生得性
1-1 はじめに
1-2 現象
1-3 第1言語獲得における格助詞脱落の研究
1-4 第2言語獲得における格助詞脱落
1-5 考察
1-6 結論
参考文献

第2章 語意学習制約の前提となる前言語的認知アーキテクチャー
2-1 はじめに
2-2 人間の自然言語における数の表現と基本概念
2-3 原初的個別性/同一性の基準―“one”,“another”(一つ,別のもう一つ)―としての物体
2-4 言語を話す以前の乳児は可算/不可算の区別を表現しているか
2-5 「物体」よりも細かいレベルでの個別性/同一性の基準(sortals)
2-6 sortalsと述語の区別
2-7 暫定的結論:生得/普遍論的立場は支持される
2-8 乳児における自然数の現象
2-9 結論:数概念のケースにおける語意を制約する発生的認識
参考文献

第3章 語意学習におけるプラグマティックス
3-1 はじめに
3-2 語を社会的相互作用の「流れ(フロー)のなかで」学ぶということ
3-3 大人はどの事物を発見しようと意図しているか特定すること
3-4 大人がどの動作を行おうと意図しているか特定すること
3-5 大人にとって何が新しいか特定すること
3-6 大人が自分に何をして欲しいと意図しているか特定すること
3-7 討論
参考文献

第4章 認知と言語の発達における類似性比較と類推の役割
4-1 はじめに
4-2 構造整列としての類似性と写像
4-3 類似性の履歴
4-4 演繹的推論
4-5 語の学習
4-6 カテゴリーに基づく推論:言語と類似性の相互関係
4-7 総合討論
参考文献

第5章 語意学習メカニズムにおける制約の役割とその生得性
5-1 はじめに
5-2 子どもがことばを学習する場面
5-3 子どもはどうやってことばの意味を学んでいるのか
5-4 ことばの学習における制約
5-5 語意推論のメカニズム:制約の適用はいかにコントロールされるか
5-6 生得性をめぐる討論
5-7 どこまでが生得で,どこまでが学習されるのか
参考文献

第6章 コネクショニズムと言語獲得メカニズムの研究方略
6-1 生得か,学習か
6-2 コネクショニズムのモデル
6-3 人称代名詞の学習のシミュレーション
6-4 コネクショニズムのモデルは言語獲得研究にどう貢献するか
参考文献

第7章 脳の皮質において表象はどのように現われるか
7-1 はじめに
7-2 新皮質および皮質下組織の構造と機能
7-3 可塑性と新皮質の機能と表現の発達
7-4 可塑性のパラドックスの解決―制約つき可塑性のアプローチ
7-5 制約つき可塑性の計算的モデル構成
7-6 結論
参考文献

第8章 知識の生得性を再考する―人間の表象変化を理解に発達はなぜ必須なのか?
8-1 はじめに
8-2 表象の生得主義に代わる理論
8-3 コネクショニストの視点
8-4 柔軟な脳の創造
8-5 おわりに
参考文献

索引

ISBN:9784320094345
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:270ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2000年08月
発売日:2000年07月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:CF