湖の科学
著:ワーウィック ヴィンセント
訳:占部 城太郎
内容紹介
湖沼学の新定番!
科学としてのエッセンスを損なわず,
総合科学である湖の広い領域をカバーした,
コンパクトな入門書
本書は湖沼の科学に焦点をあてている。といっても難しいものではなく,読者が湖を訪ねたときに一層魅力的に感じたり,水面下にある様々な現象をもっと知りたくなったりするような,好奇心の手助けになることを本書は目指している。
各章では湖の物理,化学,生物について簡潔にわかりやすく紹介するとともに,それらの異なる側面が実は互いに関連していること,その関連が私達の生活にも密接に関係していること,さらにそれらは地球温暖化とも無縁ではないことを紹介する。
湖に棲む生物や水質を調べ,研究していくと,必然的に水の化学や物理,さらには地質や人間社会の知識が必要になる。湖の科学が総合科学であるのは必然であり,その道筋を示したのが,本書に登場してくるフランソワ・フォーレル博士といえるだろう。
本書は,スイスの生態学者であり,陸水研究のパイオニアであるフランソワ・アルフォ・フォーレル博士と彼が研究したジュネーブ湖を中心に話を進めている。
原著者ワーウィック・ヴィンセント博士は日本のこともよく知っており,本書では琵琶湖の研究例も取り上げている。今回の日本語版出版にあたって,日本の湖沼での研究例などが加筆されている。訳者は原著者の友人であり,陸水学の第一人者である。
陸水学あるいは湖沼科学は物理・化学・生物の総合学問であるため,専門書は膨大な厚みにならざるを得ない。このため,一般や学生に面白さを伝えにくい分野である。本書は,科学としてのエッセンスを損なわず,広い領域をカバーしたコンパクトな入門書であり,この分野では極めて稀有な書籍である。
[原著: Lakes: A Very Short Introduction (Very Short Introductions), Oxford University Press, 2018]
目次
日本語版によせて
日本語版への序文
1 はじめに
2 湖:深さのある水体
湖の誕生と消滅
湖盆の形態
変動する水位
過去を記録する湖の堆積物
3 太陽光と水の動き
透明か濁った水か
水の色
水の不思議
湖の季節性と鉛直混合
湖面を賑わす波
水面と水面下で発生する緩やかな波
湖流
4 生命を支える湖
太陽が支える生態系
酸素濃度の変動
見えない生物を調べる
物質の循環
生産層
5 食物連鎖と高次生産
湖底の生物群集
プランクトン食物網
移動する生物
あなたは貴方の食べたものでできている
外来種
6 極限の湖
塩水湖
極域と高山の湖
熱水湖
7 湖と社会
ダム湖
緑化する湖
有害な植物プランクトン
湖の再生
湖と未来
図版の出典リスト
参考図書:さらに学びたい方へ
訳者あとがき
索引
ISBN:9784320058361
。出版社:共立出版
。判型:4-6
。ページ数:192ページ
。定価:2200円(本体)
。発行年月日:2022年04月
。発売日:2022年04月28日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:RBKC。