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Pythonによるバイオインフォマティクス

原著第2版

著:Sebastian Bassi
監訳:樋口 千洋
他訳:石井 学

紙版

内容紹介

データサイエンスという産業および研究領域の浸透と昨今の深層学習の発展を背景に,プログラミング言語Pythonの重要性は非常に高く認知されている。Pythonは化学,生物学の研究で利用され,システム記述言語としても利用されてきた。

これまでにもバイオインフォマティクスのためのプログラミング言語に関する書籍はいくつか出版されているが,バイオインフォマティクスにそれらの言語が有効であるとして,言語の解説に終始するというものが大半であった。その点本書は極力バイオ研究の話題を扱いながら,メモリ管理など,Python利用をつきつめると問題になる項目までをカバーしている。

いずれの専門領域にもあてはまるかもしれないが,バイオインフォマティクスの場合には非常に尖った知識やスキルが必要になる。必ずしも自身がその知識やスキルを有する必要はなく,第三者に委ねられればいいのであるが,その場合でも知識やスキルを評価するスキルは必要になる。本書は,そうした人々も念頭に,研究をサポートする技術者をはじめ,実験主体の研究者やこれからバイオ系の研究を始める若い方々へ向けても有益な情報となりうる。Jupyter notebookやGoogle Colabを用いてスクリプトを対話的に実行することで読者の理解も深まるだろう。

なお,今回の作業では,著者であるSebastian Bassiと頻繁にやりとりし,可能な限り正確な訳出を心がけた。現在では古くなっている情報については,該当箇所を書き換える,あるいは訳注として対応し,単なる原著第2版の邦訳以上のものとなっている。

原著:Python for Bioinformatics Second Edition, Routledge, 2017.

目次

第1章 はじめに
1.1 対象とする読者
1.2 本書の利用方法
1.3 なぜプログラムを学ぶのか?
1.4 基本的なプログラミングの概念
1.5 なぜPythonなのか?
1.6 追加資料

第2章 最初の一歩
2.1 Pythonのインストール
2.2 インタラクティブモード
2.3 バッチモード
2.4 エディタを選択する
2.5 その他のツール
2.6 追加資料
2.7 おさらい

第3章 プログラミングの基礎:データ型
3.1 文字列(Strings)
3.2 リスト(List)
3.3 タプル(Tuples)
3.4 シーケンスに共通すること
3.5 辞書(Dictionaries)
3.6 Set(集合)
3.7 オブジェクトの命名
3.8 変数への値の代入とオブジェクトへの名前の束縛(Binding)
3.9 追加資料
3.10 おさらい

第4章 プログラミング:フロー制御
4.1 if-else文
4.2 for文
4.3 while文
4.4 break文:ループ処理から抜け出す
4.5 ここまでのまとめ
4.6 追加資料
4.7 おさらい

第5章 ファイルの取扱い
5.1 ファイルの読み込み
5.2 ファイルへの書き込み
5.3 CSVファイル
5.4 pickle文:変数の中身の保存と取得
5.5 JSONファイル
5.6 ファイルの取扱い:os, os.path, shutil,およびpath.pyモジュール
5.7 追加資料
5.8 おさらい

第6章 コードのモジュール化
6.1 コードのモジュール化序論
6.2 関数(Functions)
6.3 モジュール(Module)とパッケージ(Package)
6.4 追加資料
6.5 おさらい

第7章 エラー処理
7.1 エラーハンドリングの紹介
7.2 カスタマイズされた例外の作成
7.3 追加資料
7.4 おさらい

第8章 オブジェクト指向プログラミングの概要
8.1 オブジェクトパラダイムとPython
8.2 専門用語を知る
8.3 クラスの作成
8.4 継承(Inheritance)
8.5 特殊なメソッド
8.6 コードの非公開化
8.7 追加資料
8.8 おさらい

第9章 Biopythonの紹介
9.1 Biopythonとは何か?
9.2 Biopythonのインストール
9.3 Biopythonのコンポーネント
9.4 結論
9.5 追加資料
9.6 おさらい

【II 高度なトピック】

第10章 Webアプリケーション
10.1 PythonにおけるWebプログラムの紹介
10.2 PythonでのCGI
10.3 WSGI
10.4 Pythonで動的なWebサイトを作る別の方法
10.5 スクリプトのセキュリティ
10.6 Pythonプログラムをどこでホストするか
10.7 追加資料
10.8 おさらい

第11章 XML
11.1 XMLの紹介
11.2 XMLドキュメントの構造
11.3 XML文書の中のデータにアクセスする方法
11.4 サマリー
11.5 追加資料
11.6 おさらい

第12章 Pythonとデータベース
12.1 データベースの紹介
12.2 データベースに接続する
12.3 MySQLにデータベースを作成
12.4 事前計画
12.5 SELECT:データベースへのクエリ
12.6 Pythonからデータベースへのアクセス
12.7 SQLite
12.8 NoSQLデータベース:MongoDB
12.9 追加資料
12.10 おさらい

第13章 正規表現
13.1 正規表現(REGEX)の紹介
13.2 reモジュール
13.3 バイオインフォマティクスにおける正規表現
13.4 追加資料
13.5 おさらい

第14章 Pythonでのグラフィクス
14.1 Bokehの紹介
14.2 Bokehのインストール
14.3 Bokehの使用
14.4 追加資料

【III コメント付きPythonソースコードレシピ】

第15章 配列の一括操作
15.1 課題について
15.2 課題1:ランダム配列によるFASTAファイルの作成
15.3 課題2:FASTAファイルから空でない配列の抽出
15.4 課題3:FASTAファイルのすべてのレコードを修正

第16章 ベクターコンタミネーションフィルタのWebアプリケーション
16.1 課題について
16.2 追加資料

第17章 Primer3を用いたPCRプライマーの検索
17.1 課題について
17.2 可変領域に隣接するプライマー設計
17.3 Biopythonによる可変領域に隣接するプライマー設計
17.4 追加資料

第18章 プライマーセットの融点計算
18.1 課題について
18.2 追加資料

第19章 GenBankファイルから特定のフィールドを除く
19.1 選択されたタンパク質配列の抽出
19.2 選択した遺伝子の上流領域を抽出する
19.3 追加資料

第20章 スプライシングサイトの推定
20.1 課題について

第21章 マルチプルアライメントのためのWebサーバ
21.1 課題について
21.2 追加資料

第22章 データベースに格納されたデータを用いたマーカ位置の描画
22.1 課題について

第23章 制限のあるDNA変異
23.1 課題について
23.2 追加資料

【IV 付録】

付録A 共同開発:GitHubによるバージョン管理
付録B PythonAnywhereにおけるBottleアプリケーションのインストール
付録C ScientificPythonチートシート

索引

ISBN:9784320058156
出版社:共立出版
判型:B5
ページ数:448ページ
定価:6000円(本体)
発行年月日:2021年02月
発売日:2021年03月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PSAK