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シリーズ 数理生物学要論 2

「空間」の数理生物学

編:日本数理生物学会
編:瀬野 裕美

紙版

内容紹介

生物集団あるいは生命現象のダイナミクスの特性は環境との相互作用によって定まる。とりわけ、環境の空間的非一様性は、生物集団の空間分布、生命現象の非均一性を条件づける重要な要因であり、それらの相互関係を理解することが現象の研究の鍵になりうることを示す生物科学研究は数知れない。環境の非一様性が生物現象の特性を限定する要因になるだけではなく、生物現象自体により環境条件が変化するというフィードバック関係も存在する。
本書は、12人の執筆者による、「空間」次元に関わる生命現象の数理モデル研究に関するモノグラフを編集したものである。第1~6章には、生物個体群ダイナミクスにおける空間的非一様性や空間分布に関する気鋭の数理モデル研究のモノグラフが収められている。個体群ダイナミクスの基礎的な数理モデル、その数理モデリングの考え方は、集団生物学や個体群生物学の発展的・応用的な数理モデリングの基礎になっているばかりではなく、より広い数理生物学(Mathematical Biology)のさまざまな数理モデリングの基礎となっている。第7~10章では、生物の形態形成、特に、細胞集団が織りなす空間パターンに関する数理モデル研究の四つのモノグラフが収められている。形態形成に関する生物科学のさまざまな問題は理論・数理生物学における長年の課題として研究され続けています。その数理モデル研究も実に多様に発展してきた。本書に収められたモノグラフそれぞれが独特の数理モデリングの内容になっていることが読者の方々に伝わることだろう。

目次

第1章 不均一環境下における生物集団の分布拡大パターン(重定南奈子・川崎廣吉・杵崎のり子)

第2章 パッチ状環境における群集動態モデル(難波利幸)

第3章 メタ個体群モデル(佐藤一憲)

第4章 格子空間における個体群動態(泰中啓一)

第5章 ペア近似による格子モデルの解析(佐藤一憲)

第6章 個体性を保ったダイナミクスモデル(高須夫悟)

第7章 蝶の羽のカラーパターンとその多様性の生成(関村利朗)

第8章 分岐構造形成の数理モデル:維管束植物の葉脈パターンと神経細胞の樹状突起形成を例に(巌佐 庸・望月敦史)

第9章 ミクロとマクロをつなぐ多面体細胞モデル(本多久夫)

第10章 フェーズフィールドモデル(小林 亮)

参考文献

索引

ISBN:9784320056848
出版社:共立出版
判型:B5
ページ数:226ページ
定価:4600円(本体)
発行年月日:2009年05月
発売日:2009年05月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PS