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複雑系フォトニクス

レーザカオスの同期と光情報通信への応用

著:内田 淳史

紙版

内容紹介

 本書では,「複雑系フォトニクス」という学際分野の基礎とその応用について概説する。複雑系フォトニクスとは,複雑系とフォトニクスの研究分野が融合した学問分野である。複雑系とは,カオスや非線形ダイナミクスに関する研究分野であり,一方でフォトニクスとは,レーザや光学に関する研究分野である。各々の研究分野で独自に発展してきた基礎知識を本書では融合し,複雑系フォトニクス分野として新たに構築することを試みている。
 本書では,半世紀に渡る複雑系フォトニクスに関する数多くの基礎知識や研究活動について概説する。はじめにカオスおよびレーザに関する基礎知識について述べ,様々なレーザにおけるカオスの発生方法について紹介する。また,複雑なカオス信号が同一の振る舞いを示すというカオス同期の基礎についても述べる。次に複雑系フォトニクスの工学応用の例として,レーザカオス同期を用いた光秘密通信とその実装方式について詳細に述べる。さらにレーザカオスを用いた高速物理乱数生成について紹介する。加えて,情報セキュリティにおける安全な秘密鍵配送や,リザーバコンピューティング,およびリモートセンシングへの工学応用についても取り扱う。最後に実験や数値計算,および理論解析の非線形解析手法について具体的に紹介し,戻り光を有する半導体レーザを例として詳細に解説する。

目次

第1章 序論
1.1 はじめに
1.2 レーザとカオスの基礎
1.3 レーザカオスを用いた工学応用

第2章 カオスとレーザの基礎
2.1 離散時間システムのカオス
2.2 連続時間システムのカオス
2.3 レーザの基礎理論
2.4 カオスとレーザの関連性
第2章 補足

第3章 レーザにおけるカオスの生成方法
3.1 レーザにおけるカオスの生成方法の分類
3.2 戻り光を有する半導体レーザにおけるカオス発生
3.3 半導体レーザにおけるその他のカオス発生方法
3.4 半導体レーザを用いた電気-光システムにおけるカオス
第3章 補足

第4章 レーザにおけるカオス同期
4.1 カオス同期の概念
4.2 カオス同期の歴史
4.3 ローレンツモデルにおけるカオス同期の例
4.4 レーザにおける結合方法とカオス同期の種類
4.5 半導体レーザにおけるカオス同期
4.6 特殊なカオス同期
4.7 コンシステンシー
第4章 補足

第5章 レーザカオスを用いた光秘密通信
5.1 秘密通信の歴史
5.2 カオスを用いた秘密通信
5.3 符号化-復号方式
5.4 レーザカオスを用いた光秘密通信の歴史
5.5 レーザカオスを用いた光秘密通信の実装例
5.6 レーザカオスを用いた光秘密通信における安全性(セキュリティ)

第6章 レーザカオスを用いた高速物理乱数生成
6.1 はじめに
6.2 乱数生成器の種類
6.3 レーザカオスを用いた高速物理乱数生成の実装例
6.4 光ノイズを用いた物理乱数生成方式
6.5 ランダム性向上のための後処理方式
第6章 補足

第7章 レーザカオスを用いたその他の工学応用
7.1 情報理論的セキュリティに基づく安全な秘密鍵配送
7.2 レーザカオスを用いたリザーバコンピューティング
7.3 レーザカオスを用いたリモートセンシング

ISBN:9784320035980
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:336ページ
定価:4800円(本体)
発行年月日:2016年04月
発売日:2016年04月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TJK