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結晶

成長・形・完全性

著:砂川 一郎

紙版

内容紹介

 結晶成長の原子的過程やメカニズムの理解は20世紀後半の研究を通じての理解をもとに、条件を厳密に制御することにより、完全性、均質性の高いバルクの単結晶や薄膜を育成する方法が開発され、望ましい特性を持つ結晶材料が合成され、今日の半導体やオプトエレクトロニクス工業の発展をもたらす原動力となった。薬品、調味料、写真材料など微細結晶を大量に必要とする工業晶析の分野、蛋白質の利用分野でも結晶成長機構の理解が重要になってきている。
 本書はモルフォロジーを切り口として、地球深部や生物界など複雑な現象を解析することを、また結晶のルーツを知ることを主な狙いとしている。

目次

第I編 基本描像
第1章 序論
1.1 結晶についての関心
1.2 結晶成長,概念の誕生
1.3 形,完全性,均質性
1.4 複雑,複合系

第2章 結晶の示す形
2.1 結晶のモルフォロジー-その課題
2.2 晶癖と晶相

第3章 結晶成長
3.1 平衡論的熱力学と運動学的熱力学
3.2 駆動力
3.3 熱+物質輸送
3.4 物質輸送の実態
3.5 層流・対流
3.6 核形成
3.7 格子欠陥
3.8 界面
3.9 渦巻成長
3.10 成長機構と結晶のモルフォロジー
3.11 形態不安定性
3.12 駆動力と結晶のモルフォロジー
3.13 モルフォドロム
3.14 元素分配
3.15 包有物

第4章 多面体結晶の形を決めるもの
4.1 多面体結晶の形
4.2 構造形
4.3 平衡形
4.4 成長形

第5章 結晶面の表面マイクロトポグラフ
5.1 3種類の結晶面
5.2 観察方法
5.3 渦巻ステップ
5.4 円形と多角形の渦巻
5.5 あやおり模様
5.6 ステップ間隔
5.7 中空孔の形成
5.8 複合渦巻
5.9 束ね合い
5.10 エッチング
5.11 表面マイクロトポグラフと晶相,晶癖

第6章 単結晶の完全性,均質性
6.1 単結晶中にみられる不完全性,不均質性
6.2 成長縞,成長分域のでき方
6.3 転移の起源と空間的な分布

第7章 結晶の規則的共生
7.1 規則的共生関係
7.2 双晶
7.3 平行連晶など
7.4 エピタキシー
7.5 離溶,偏析,スピノーダル分解

第8章 多結晶集合体の形,組織
8.1 幾何学的選別作用
8.2 縞模様の形成
8.3 球晶
8.4 木苺状の多結晶集合体
8.5 多成分系での組織形成

第II編 複雑・複合系への応用(ケーススタディー)
第9章 ダイヤモンド
9.1 構造,物性,用途
9.2 成長対溶解
9.3 単結晶と多結晶
9.4 単結晶ダイヤモンドのモルフォロジー

第10章 水晶
10.1 シリカ鉱物
10.2 構造形
10.3 成長形
10.4 条線面
10.5 単結晶の成長形
10.6 双晶
10.7 松茸水晶
10.8 薄板状結晶
10.9 めのう

第11章 黄鉄鉱と方解石
11.1 黄鉄鉱の晶相、晶癖
11.2 表面マイクロトポグラフ
11.3 成長条件と晶相
11.4 多結晶集合体
11.5 方解石の晶癖
11.6 方解石の表面マイクロトポグラフ

第12章 気相成長でできる鉱物
12.1 ペグマタイト中の結晶成長
12.2 後大山作用でできた赤鉄鉱
12.3 火山岩の晶洞中の赤鉄鉱と金雲母

第13章 交代作用や変成作用でできる結晶
13.1 熱水交代作用でできたカオリン鉱物
13.2 トラピッチェ・エメラルドとトラピッチェ・ルビー
13.3 広域変成作用でできた白雲母

第14章 生命活動でできる結晶
14.1 生体中の結晶成長の種々相
14.2 生命活動に必須のものとしてできる無機の結晶
14.3 排泄作用でできる結晶
14.4 貯蔵庫の役割を果たす結晶
14.5 理由がまだわからない結晶

付表1 結晶軸の規約
付表2 14 Bravais格子と7結晶の軸長、軸角
付表3 結晶面と晶帯の指数づけ
付表4 対称の要素と記号
付表5 32晶族(点群)に含まれる対称の要素と一般面のステレオ投影

ISBN:9784320034228
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:324ページ
定価:7500円(本体)
発行年月日:2003年01月
発売日:2003年01月16日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:RBGG