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現代表面科学シリーズ 4

表面新物質創製

編:日本表面科学会
担当編集:白石 賢二

紙版

内容紹介

 本巻では表面制御や表面との相互作用を利用した「表面を舞台としたナノスケールの新物質の創製」に焦点を当て,ナノスケールの表面制御技術を眺めてみた。
 第1章では,表面を舞台に行われる結晶成長において,結晶表面に形成させる欠陥を制御することで,Geアイランド,欠陥の非常に少ないGaN基板,無歪のGe等,多様な新物質が創成される実例を示す。第2章では,走査プローブ顕微鏡によって表面上の原子を人工的に1個ずつ移動させること,伝導性高分子ワイヤー1本ずつ操作することで,自然界に存在しないナノスケールの表面構造やナノデバイスの創製を実現した例を示す。第3章では,VLSI法によるボトムアップ的に形成するナノワイヤー,超分子化学合成技術を駆使したナノワイヤー・ナノドット形成,バイオ機能を巧みに利用したナノドット形成等の例を挙げながら,自己組織化技術を用いた表面ナノ物質創製について議論する。第4章「表面を利用した炭素系ナノ材料の創製」では,表面との相互作用を利用したグラフェンやカーボンナノチューブ創製の実際について,いくつかの実例を挙げながら議論する。
 各節はそれぞれの分野の第一線で研究に携わっている専門家によって執筆されており,その分野の概要と現在における到達点が理解できるように解説されている。一方,全体を通読することによって,表面が「ナノスケールのものづくり」の最高の舞台となっていることも実感できるはずである。

目次

第1章 欠陥制御エピタキシャル成長技術による表面物質創製
1.1 Si表面上Ge歪エピタキシャル成長によるナノアイランド形成
  1.1.1 はじめに
  1.1.2 Si表面上GeのStranski-Krastanov(SK)成長
  1.1.3 透過電子顕微鏡法によるhut clusterと格子欠陥の観察
  1.1.4 hut cluster上Geマクロアイランドの成長過程
  1.1.5 アイランド化を誘引する成長欠陥の多様性
  1.1.6 アイランド化機構の成長温度依存性
  1.1.7 Si(001)表面上Ge成長のその場反射高速電子線回折
  1.1.8 Si(001)表面上Geアイランドの形成メカニズム
  1.1.9 まとめ
1.2 高規則化刃状転位ネットワーク形成による均一歪Si1-xGex・Ge層の創製
  1.2.1 はじめに
  1.2.2 歪系ヘテロ界面における転位制御の意義
  1.2.3 60°転位と刃状転位
  1.2.4 ヘテロ界面における転位構造の変換と歪緩和制御
  1.2.5 歪緩和Si1-xGex層における局所領域微細構造の評価
  1.2.6 刃状転位ネットワークの有効性
  1.2.7 まとめ
1.3 GaNのエピタキシャル横方向成長と自己組織的転位伝播
  1.3.1 はじめに
  1.3.2 HVPEによるエピタキシャル横方向成長
  1.3.3 サファイアc面上GaN層中の貫通転位
  1.3.4 ELO-GaN膜中の転位・欠陥構造
  1.3.5 ELO初期の転位形態
  1.3.6 ELO-GaN膜の表面形態と成長様式
  1.3.7 転位が曲がるメカニズム
  1.3.8 ELO中期の転位形態
  1.3.9 自己組織的転位伝播のメカニズム
  1.3.10 マスク上欠陥形成と転位低減機構
  1.3.11 まとめ

第2章 走査プローブ顕微鏡による表面物質創製
2.1 原子操作による表面物質創製
  2.1.1 はじめに
  2.1.2 原子操作創成期(1980年代)
  2.1.3 原子操作の確立(1989~)
  2.1.4 機能創出(1990年代より)
  2.1.5 化学反応(ナノケミストリ)
  2.1.6 AFMによる原子操作の実現
  2.1.7 原子操作の将来像
  2.1.8 おわりに
2.2 原子操作による導電性分子デバイス
  2.2.1 はじめに
  2.2.2 分子配線材料と導電性高分子
  2.2.3 分子配線1本の電気物性測定法の確立
  2.2.4 導電性高分子1本の電気物性測定
  2.2.5 SPMを分子カッターとして利用した1本レベルの特性評価
  2.2.6 導電性ナノファイバー1本レベルでの電子機能計測
  2.2.7 おわりに

第3章 自己組織化によるナノワイヤ,ナノドット形成
3.1 VLS法によるナノワイヤ成長
  3.1.1 はじめに
  3.1.2 VLS成長法
  3.1.3 ナノワイヤの結晶構造
  3.1.4 ナノワイヤのヘテロ構造
  3.1.5 ナノワイヤの成長
  3.1.6 おわりに
3.2 シリコン基板上ナノワイヤのヘテロ構造,3次元構造
  3.2.1 シリコン(Si)基板上Ⅲ-Ⅴ族半導体成長
  3.2.2 ヘテロ構造で3次元デバイス
  3.2.3 実験
  3.2.4 軸方向のヘテロ構造による曲がったナノワイヤ
  3.2.5 動径方向のヘテロ構造によるコア-マルチシェルナノワイヤ
  3.2.6 長波長帯発光のためのGaInAs/AlInAsヘテロ構造ナノワイヤ
  3.2.7 おわりに
3.3 生体物質を用いた金属ナノドット形成
  3.3.1 はじめに
  3.3.2 タンパク質バイオテンプレートとナノ粒子
  3.3.3 フェリチンタンパク質とリステリアDpsタンパク質を用いたナノ粒子の作製
  3.3.4 応用展開および将来展望
3.4 自己組織化による界面のデザイン:有機膜形成
  3.4.1 はじめに
  3.4.2 アルカンチオールSAMの基本特性
  3.4.3 機能性自己組織化膜の基本特性
  3.4.4 機能性自己組織化膜の応用

第4章 表面を利用した炭素系ナノ材料の創製
4.1 基板表面上のグラフェンの創製
  4.1.1 グラフェン
  4.1.2 金属表面上でのグラフェン創製
  4.1.3 SiC表面上でのグラフェン創製
  4.1.4 SiC(0001)表面上でのエピタキシャルグラフェン成長の実際
4.2 表面構造を利用したカーボンナノチューブの配列制御
  4.2.1 単層カーボンナノチューブの成長
  4.2.2 表面原子列による配列制御
  4.2.3 原子ステップによる配列制御
  4.2.4 表面構造物を利用した自己組織化成長

ISBN:9784320033726
出版社:共立出版
判型:A5
ページ数:210ページ
定価:3300円(本体)
発行年月日:2011年09月
発売日:2011年09月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TBC